悪筆なんだよ 〜私がザウルスを棄てた訳(1)


 ノッケからその方面に後ろから刺されそうなタイトルですが(笑)。基本的に私、ことザウルスに関しては開発・製造のシャープ以外には何の恨みも持っていませんので、その辺勘違いしないよーにお願いします。(逆に感謝してる位ですよ。わすのPDA文章叩き上げてくれたのはまぎれもなく熱心なザウルスユーザさん達でしたから。)

 さて。タイトルにもあるように、私がVisorを使い始める前はザウルスポケットMI-110(以下ザウポケ)をずうっと使っていました。その期間、約2年半。

 外でのメールチェック及びWeb閲覧に関してはこれ無しでは何もできない状態でしたし、その他にもスケジュールやアクションリスト(PalmのToDoにあたる)、とっさの手書きメモについてもそこそこ使ってはいました。

 ザウポケ買った時は、それこそ天にも昇る気持ちだったのは今でも覚えています。当時PDA(というか電子手帳やーね)=ザウルスみたいなもんでしたし、そのイメージもあいまってか、ザウルスシリーズ各種のお値段もそれこそかなり高かった。やっと出た初ボーナスを迷わずローンに当ててザウポケを手にしたときにはそれこそいじくり倒してたものでした。

 が。

 その浮かれ気分が高過ぎたのでしょうか。愛おしさは消え失せいつしかそれは憎悪へと変貌していました。

 私の性格とザウルスの開発思想にはいくつかの、永遠に埋まることの無い深い溝が存在していたんですな。これは店頭でいじっただけじゃわからない、カタログ眺めただけじゃわからない。いじっていじっていじくり倒して、それでやっと解る、そんな事がいくつもある。

 という訳でして、まぁ挨拶代わりという訳で、何回かに分けて、私とザウルスが正式に離婚(ってザウルスって女だったんかコラ)した理由を書き連ねてみたいと思います。

 で、重ねて書いておきますが、これらはあくまで私の性格と合わなかったのであり、絶対的に機能を否定している訳ではない点にご注意ください。ヘンないちゃもん付けてくんなよ。来ても踏む。ハイヒールのかかとでぐいぐい踏む。おらおら女王様とお呼びっ!

 こらこら。

 さて。「何が合わなかったの?」と聞かれるとまず私はこう答えます。すりガラスの向こう側、目には涙、手にはハンカチ。

 「手書き入力ができないんですぅぅぅ」。

 こらこらこら、そこ。脱力すんな。

 ザウルスが内臓している手書き入力の認識率は日本随一である、というのがある意味世間の常識と言ってもいい位広く浸透してると思います。

 どんなにクソ難しい漢字でも、例えば「糞馬鹿野郎」と書こうが、それがぴしっっと「糞馬鹿野郎」と認識してくれる。FEPの煩雑な変換にも不慣れなローマ字入力も必要なく、必要な時に使い慣れた日本語をスラスラと入力できる。

 はず。

 なんですよ。本当であれば。しくしくしく。再び涙、ハンカチかみ締めて歯ぎしり。ぎりぎりぎり。しつこい。

 いきなり弱点晒してしまいますが、実は私相当の悪質なんです。普通に悪筆と名乗ろうもんなら他の悪筆の人に「一緒にすんな」と石投げられる位に悪筆。どんなんだそれは。

 自分としては思いっきり丁寧に書いたつもりの文字であっても他人には「解読不能の暗号」となることもしばしばなんですね。

 そんな人間がいくら丁寧に漢字を書こうが、全然認識してくれないんです。何回書いても。何十回書いても。

 でも漢字はまだいいんです。ザウルスでも似たような漢字を列挙してくれますからまだ判別ができます。そんな私を奈落の底に突き落としたのが「ひらがな・カタカナ」問題。

 ご存知の通り、通常日本語文章の内約3割〜4割が漢字、残りがひらがな・もしくはカタカナというのが読みやすく書きやすい、と言われております。したがって、通常メモ取りする時とかでも、漢字なんかよりも圧倒的にひらがなカタカナを書く頻度の方が高いんです。

 ところが。私の書くひらがなやカタカナは、

 ほぼ100%認識されない

 んですー。しくしくしく。

 「う」を書くと「る」が出てくる、「る」を書くと「う」が出てくるなんてのは朝飯前で。「こ」を書くと「ク」、「ク」を書くと「つ」、「つ」を書くと「こ」・・・こんなんばっかり。極めつけは「ん」を書いたら「℃」になってしまう、なんてのもありました。なんで記号なんだー。

 言っときますが、液晶パネルが壊れてる訳ではないです、現に私のザウポケを知り合いがいじってて一言「へぇすごいね、日本語ほぼ全部一発で出るじゃん」。画面を見ると「今日3時に営業部長と新製品の打ち合わせ会議、長くなるかもしれないので後はよろしく」と流暢な日本語が・・・。悔しさと悲しさでその夜涙で枕を濡らしましたよ。ちょっとウソ。

 クセ字入力とかのTIPSも試してみたのですが、結局はそれでも手書き入力にもなじめず、結局手書き入力は「使われない機能」となってしまいました。

 ある意味シャープに限った話ではなく、手書き入力の分野ってもう既に基礎は出来上がってると思うんですよ。だから逆を言えばこれから劇的な変貌を遂げる望みも薄いのでは、という読みもできると。現に今でもザウルスの新機種が出る度に手書き入力試したりしてるのですが、相変わらず私の文字では認識率はボロボロってのが現状です。

 こうなるともうなんか振り上げた拳の降ろし場所がなくってねぇ。歯がゆい思いしてましたです。時々ザウルスユーザさんは「私も悪筆ですがちゃんとストレスなく認識できますよ」と手文字認識をかばいます。でも、認識できるってことは要は「あなたの悪筆はまだ甘い」と言わざるを得ません。世の中には救いようの無いヘタクソがいる、ということを理解してください。そして、哀れんでやって下さい。

 じゃあこれまでどうしていたかというと、手書き漢字入力ではなく、常にキーボード画面を使ってました。アルファベットでローマ字打って、漢字変換して、と。この方が手書き文字よりも2〜3倍(誇張抜き)は早かったですから。

 で、ここまで手書き入力にストレスを感じる理由に、普段PCのキーボードに慣れ過ぎたから、というのは確実にあると思います。キーボードでなら頭の中で文章考えるスピードに余裕で対応できますから(だから私にとってはPalmのグラフィティでさえうざったくてしょうがないのも正直なところ。文字書くことそのものがストレス源なんですね、きっと)。

 となれば、

「だったらPCで入力やっちまえばいいじゃん」

 という考えが出てくるのはある意味当然のことでしょう。キーボードの方がペン使うより2億倍ラクだしー。

 ところが、この思考がザウルスに対して「これ作った奴コロス」とまで思わせてしまったのです。

 つづく。


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