つなげてみるのわたしのあどれす
<前回までのあらすじ>
粘り強い説得の末、ついに観念した彼はVisorのアドレス帳をデータでいっぱいにする。
しかし、彼はこともあろうに入力したばかりのアドレスデータをすべて削除しようとする。「なぜ...どうして...」落胆を隠せない。暗澹たる日々を送る内、彼女の心には闇が包み込み、それはついにはとある感情を産むことになる、「殺意」・・・。
迫り来る出刃包丁!背後には断崖絶壁!逃げ場なし!
果たして彼の運命は如何に!
ザクッ!!
「こんにちは。えー、初手から暴走してすいませんでした。とりあえず黙らせるために刺しておきましたんで。という訳で前回なんですが。せっかくデータ入力したにも関わらず、彼はそれをわざわざ消してしまいました。なんでこんなことをしたんでしょ。今回はこのナゾに迫ろうと思う訳なのですが。」
ですね。突拍子の無い行動かもしれないんですけど、実はちゃんと理由あるんです。
「ちょっと、なんでもう起きてくるのよ。せめて5分は寝てる段取りだったでしょ」
そうは言っても時間がね。最近「小ネタ挟みすぎ」「あくまで主題先にありきだからこそ小ネタは生きる」といった、反論のしようがない感想頂きましてね。今日は脱線は程々にしてさくっと行ってみようかと。
「相変わらずそうゆう感想は来るのね。で、肝心のPalm関連の補足とかは来てるの?」
ほとんどない。来るには来るけどせいぜい数%。
「聞かない方がよかった?」
・・・・・・うん。
「んじゃお望み通りに聞くけど、ほら声押し殺して泣くんじゃないのっ、読者さんわかんないじゃないっ。何故に前回データを消したのか。話聞かせてよ。」
ごしごしごし。ん、泣かないっ、オトコノコだもんっ。
(脱稿後補足:前後編一緒に書いているため本稿執筆時点です。前編アップ後には、いくつか感想や補足を頂きました。どうもありがとね。)
大丈夫。この先本題。さて、アドレス消した理由としては大きく分けて2つ理由があるのよ。
「ふむ。じゃあ順番に教えてよ。」
じゃ、まずは例えばの話。普段使ってるVisorを出先でなくしちゃったとしましょう。どう思う?
「絶対無くさないもん。常に持ち歩いてる訳だし。」
でもついうっかり、ってこともあるでしょ?盗まれるという可能性もある。
「・・・そりゃ困るわよ。自分自身の予定とか全部無くしちゃう訳だし。」
他には?
「・・・見つからなかったら当然新しいの買わなきゃいけないわよね。予定外の出費はやっぱり痛いわよ。」
他には?
「え?まだ・・・?・・・でもさ、データそのものはHotSyncさえやっておけばバックアップはある訳だし・・・うーん?結局何が言いたいの?ちょっとわかんない。」
今言ったのって、全部無くしたりしたことで「自分が困る」ことだよね?
「うん。」
じゃあさ、もし自分が落としたデータてんこ盛りのデータ、もし他人に拾われて、なおかつそれ悪用されたとしたら?
「・・・・・あ。」
そなのよ。極端な話、予定とかToDoとかだけだったら泣くのは自分だけでいい。でもさ、アドレスってこの点において他とは異質でしょ。自分が無くすことによって他人様に迷惑がかかる。これがひとつめの理由、「プライバシーセキュリティ」とでも言えばいいのかな?言葉としては無理があるけどね。
「でも、それだけじゃデータ消す決定打にはならないわよ。だって、パスワードかけたり起動ロックかけたりすればいいだけじゃない。」
そこでもうひとつの理由が出てくる。ズバリ「私の性格」。
「はぁ?」
ほら、私って基本的にめんどくさがりじゃない。
「基本的どころか骨の髄までめんどくさがりじゃない、この人間のクズ。」
そこまで断言せんでもええ。ただでさえペン握るのがめんどくさいような人間がわざわざ起動毎にパスワード打ちたがると思う?思わないでしょ。
それに私、Palmの利点ってのはあくまで機動性にあると思ってて。どこそこのデータ見たい、と思ったらすぐに見られなきゃイヤなのよ。見たいと思ったら条件反射的なスピードで即見られる、そこに惚れ込んでるんだから。
この機能を最大限に優先させたい以上、私にとってはパスワードやロックって邪魔以外の何物でもないのよ。
「じゃあ今のあなたのVisorって・・・」
うん、ロックかけてない。一応プライベートデータのパスワードだけは設定してあるけど、これはあくまで「会社の人とかにWebやってることバレないようにするため」なの。Webのネタ、Visorに書き溜めてるからね。Webデータ見られる状態では会社の人とかに見せびらかせないでしょ?
そんな状態だから、いつ落としても自分はともかく他人様にはご迷惑はかけられない。だからアドレスはベンリとわかってても使わないの。データも消すの。
どう?納得した?えっへん。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ふふん、さすがに反論できないな。さっすが私。
「・・・・・・・・・・・オーホッホッホッホッホ!!!」
ど、どうしました?気でもふれましたか?
「そーーーんなこと!!まだまだ青いわね!!勝ったわ、勝ちましたよー皆さん!!」
その喜び方、失脚する前の末広まき子か。
「そのたとえやめて、シャレならないから。それはそうとしても、実際の使用シチュエーションの中では、『落とすのが怖いから使わない』と考えるよりも『落とすのは怖いけど使いたい』と思う人達の方が多数派じゃない?」
うーん、まぁね。それは認めざるを得ない。
「だったら。皆にセキュリティが怖いからアドレス使うな、というよりも、セキュリティを堅持した上でアドレスも使う手段を模索した方が、結果としては説得力出てくるんじゃない?」
まぁねぇ。ただ。使いにくいぜぇ、Palmのデータ保護って。
「つー訳で。ちょっと貸しなさい。PCも借りるわ」
を、をい俺のVisor(残り空メモリ1M)!!
「そう来たか。読んだDOCファイルは消しなさいよ。」
いや、だからそうじゃなくってね・・・。
・・・20分後。
「お待たせ。ごめんね、はい、Visor」
あーい待ちくたびれましたー。
「うるさーい。それよりも電源入れてみましょう。」
あ、はい・・・・・。ぐげ、起動パスワード求められてる〜。やだ〜。
「ぶつくさ言わない。パスワード入れてっ。」
ぶつぶつぶつ・・・・・・はい、いつも通りの画面が出たよ。えーこれから毎回パスワード打つのー?やだーめんどくさいー。
「そう思うんだったら電源一度切って、さらにもう一度電源入れてみなさいよ。」
だってこれ標準の環境設定使ってるだけでしょ?(電源OFF)これ自体がめんどくさいのに(電源ON)・・・・あらら?
「どう?」
・・・聞かれないね。パスワード。環境設定いじってないのに・・・???
「これ使ったのよ。LockMe!。既にいろんなWebとかでも紹介されているのでご存知の方も多いと思いますけど念のため。このソフトは毎回起動時にパスワードを聞いてくるのではなく、一定時間を経過するとパスワードを求めるようにしてくれるPalmwereです。今回スクリーンショットが取れなかったので、書き並べてみればわかると思いますが、設定項目はこんな感じ。」
LockMe enabled:
LockMeの機能を有効にする。
Hide Records:
ロックが働くタイミングで、プライベートデータを隠すように設定。プライベートデータの隠し忘れに有効。
Lock after reset:
リセットした後には必ずロックをかける。これによってパスワード画面を突破するには ハードリセット以外に手段がなくなる。
Lock every:
次のロックをかけるまでの間隔を設定。
Starting at:
間隔時間の基準時刻を設定。「こんな感じね(Ver1.1時点:将来は変更の可能性あり)。あなたの場合だったら、すべてのチェックボタンONにしておいて、Lock everyを12hours、Starting atを24:00にしておけばいいんじゃない?そうすれば毎日朝と夜の12時に必ず電源OFF&ロックがかかるから、例え盗まれてもこの時間過ぎるとデータは見られなくなる。充分じゃない?」
それでも一日2回か。めんどくせー。
「あなた12時って何してる?」
えっと、お昼12時はゴハンの真っ最中。夜12時はフトンの中。
「それのどこが『すぐにデータ見たいとき』なのよ。」
ぎゃふん。
「それに。別に悪人対策ではないとしてもロックって有効なのよ。例えば自分が知ってる人の手帳とか拾って、中身見たとしたら、悪意がないとは言え罪悪感感じない?」
あーそれはあるねー。見ちゃいけないもんを見ちゃった的なもんはある。
「でしょ?他人に自分のデータを見せないってことは、他人に対する気配りでもあるのよ。今までアドレス入れなかったのも同じ意味でしょ?他人を思うからこそ、多少の手間暇はかけなさい。わかった?」
はーい。
「あと、プライベートデータに関しては見る隠すするのに手間かかるから、一緒にSHChanger DA(H.Yamakado氏作)もインストールしておいたからね。アドレスは全件プライベートデータにしてあるから安心なさい。」
はいはいありがとうございました。あ、でもこれアドレスどうこうじゃなくてもLockMe!+SHChanger DAの組み合わせってかなり使えるな・・・。わすのようなおっちょこちょいにはちょうどいい塩梅・・・。
「ラストになってやっとナットクしたわね。」
うん。ま、なんにせよ助かったよ。おかげで本来なら1回分のネタを、前後編に広げられたし。
「それちょっと論点違う。ま、私帰るわ。またなにかあったら呼んでねー。」
うーい。そんじゃー。
ふー。終わり終わり。会話形式の文章書くといつもの3倍は執筆時間かかるから疲れるんだよねー。こうゆうセキュリティの話題ってどうしてもカリカリした文体になりやすいから、わざとこうゆう形式取らせてもらったけど。実際どうだったんでしょ。多少でも飲み込みやすくなってれば甲斐もあったけど。
できれば、こうゆうのは疲れるから定番化はしたくないのよねぇ。ふぅ。
「つーことは何?私は一回限りのチョイネタ!?」
まだいたかっ!その手に持ってる出刃包丁は何だっ!わっこら!
ぎゃーーーーー!!
追伸:
今回分のソフトに関してはeimom氏の「Palmでポン」内のソフト紹介を元ネタに使わせて頂きました。どうもありがとうございました。