「作る」執念 〜五村富士・準備号5より〜


 ・・・・・・ほ〜(Like a フクロウ)。

 いや、聞き入ってしまいました。この号めちゃめちゃレベル 高いですな。五村富士休局でも、これ聴けたなら充分チャイにできるわ。

 この中で現メンバー(番組作成時はゲスト扱い)の川勝左織氏が、 自ら作成しているミニFMについて語ってたんですけど、いろんな意味で インスパイアされたなぁ。

 まず単純に「へ〜、こんな世界があるんだ」と思ったってのが あります。私、今までミニFMという単語しか知らなかったですからね。 どうやって作るのかってのはなんとなく知識では持っていても それで実際に作ったこともないし、聞いたこともないだけに、 数々の体験談はかなり新鮮でした。

 その上ですごいなぁ、と感じたのが、ミニFMを作るということ、 言い換えればモノを作るってことに対しての思い入れってのが ハンパじゃないんですよね。

 というのも。極端な話、ミニFMを作ってそれを電波に乗せた所で、 「聴いてくれる」という保証はどこにもないじゃないですか。 郵政省に許可を受けたコミュニティFMですら、受信可能範囲は せいぜい発信地から半径数キロ内でしょ。実際には個人が勝手に やってる形になるから、それこそ受信可能範囲は数百メートルって 所になるはず(確か個人が無許可で出せる電波の強さってせいぜい 百メートル程度ではなかったかと記憶してますが)。

 正直な話、Webに慣れきってる身分としては「なんでそんな不効率 なことするんだ」と思ってしまう部分もある。かたやパソコン1台で 理論上は世界規模、かたやラジオで受信できるとは言え 半径ウン百メートル。比べるのもバカバカしいという考えも起こっちゃう。 (もちろんWebやRealPlayerが世に知れてせいぜい数年で、まだ音声流すには ミニFMしか選択肢がなかった、というのもあるんだけど)

 でもさ、実際この話聴いてたら、こんな比較論なんか、あっさり論破 されちゃうんですよ。

 2時間の番組を作るために、5時間でも6時間でも、惜しまず 労力をつぎ込む。自分のコンセプトを第一に、徹底して番組を 作り込む。たとえ作ってレスポンスが一通も帰ってこなかった としても、自分の作りたいものにこだわって、作り続ける。

 「モノを作る」ことに対して真剣じゃなきゃ、ここまでの労力は 注げませんよ。媒体なんか関係なく、まず自分が熱中する。 そこにモノ作る第一目標がある。

 それだけ力入れてモノ作ってるからこそ、たった一通のリクエストにも 歓喜することができるんだろうな、と思って。

 そうゆう意味でいくと、今のWeb作る立場(もちろん私も含めて)に 立つ人のモノ作る意識ってドライになってないかな、と考えさせられました。

 確かにWebの場合、パソコン一台あれば、誰でもそこそこの力で そこそこのページが作れるし、それこそ地理格差なくさっくり 見ることができちゃう。でも「見られる」と「見てもらえる」は 全くの別物だよね。作るのが簡単になってしまったために作る作業 そのものにウェイトが置かれなくなりつつなってるんじゃないですかね。

 そのくせレスポンス帰ってこないのがイヤになって、1ヶ月や そこらで作るの諦めちゃう。作るのも早い分、廃虚と化すのも早い。 Webアップロードした時点で満足して質の向上も何も考えないために 見るにも値しない企業作成Webが乱立する今のWebの状況見てると 少なからずモノ作る目的が別の方向に行っちゃってるのを感じます。

 ん、なんか話それました。でもね、この川勝氏のモノ作る姿勢は、 同じ作る立場の人間なら真摯に受け止めなきゃいけないと思うよ、マジで。

 他にも、放送がきっかけで近所のお祭りの司会とかにお呼ばれされたりとか、 またそこからリスナーの層が広がったりといった話も参考になりました。 自分を作ったコンテンツを基にそこから少しずつ、でも確実に芽を育てていく。 これもひとつのモノ作る醍醐味ですよね。

 逆を言えば、まず「ちゃんとモノ作ってる」という前提があるからこそ こうやって輪を広げることができる訳で、もし輪を広げることばかりに 執着していたら、こうはならないんじゃないかな、と思います。

 結局はシンプルな結論なんだけど、「自分は何を作りたいのか」という という所に落ち着くんじゃないでしょうか。やるべきことやっていれば、 自ずと結果がついてくる、そんな実例を再認識しました。自戒も込めつつね。

 やっぱ作るんならそれくらいのモンにしたいもんです。うん。


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