聞いてるかJASRAC
そう来ましたかぁ、綾瀬さん。 (注:O/S文章「インターネットラジオと音楽。」筆者さんです。お読みでない 方はまずこちらを先にお読みください。聞き手としての正直な意見です。)
いやね、そのネタはいつ切り出そうか切り出そうか、ずっと思案は してたんすけど。何分デリケートな問題なもんですから、 切り出すタイミングがイマイチわかんなかったんですよね。
つうわけで、ちょっとこれを叩き台にさせてもらいましょうか。
まず、法律だの倫理だのまったく取っ払ったところの欲求として 言うならば、綾瀬さんの願望ってしごく当然なものなんですよ。
トーク一本も面白いけど、BGM流れながらのトークも聴きたい、 時には流行歌もかけてほしい、最新チャートばりばりの音楽番組が 聞きたい。こうゆう欲求は確実に存在します。なんでこう死語が並びますか私。
この辺の欲求はいわゆるストリーミング技術を提供しているメーカーは 確実に考えてます。RealMedia社しかり、Microsoft社しかり。 いかに音楽チャンネルの幅を広げ、ユーザにアピールするかが、 ストリーミング市場シェア争いの大きなポイントとなってます。 音楽をかけるということがユーザ(聞き手)に受け入れられると 熟知してるからこそ、こうゆう戦略を展開していると。
この争いがあるからこそ、安定性の無さとバカでかいトラフィックに 一時期は「使えない技術」と捨てられかけてたストリーミングメディアが ここまで伸びてきた、というのも事実です(正直、99年に入ってから ストリーミング関係の話格段に増えたしね。まぁこれにもいろんな要因が 絡むんだろうけど)
ま、ストリーミングで音楽を流すことが立派なビジネスになることは 市場によって証明されている訳ですが、個人・インディーズに偏向かかってる 「ハック」としましては、どうしてもこんなグチを言わなきゃいけない訳で。
「いいよなぁ、正々堂々と音楽かけられてよぉ。」
正確には堂々と音楽かけられるだけの資本力を備えてる点。 やっぱこの点で商業ベースは有利だよなぁ。
商業ベースから考えれば著作権料もちゃんと計算に入れて払って、 それでもって営利も考えることもできる(かもしんない)けどさ。 はっきり言って非営業ベース、ましてや個人ベースで著作権料なんてあ〜た、 手が出ませんってはっきり言って。
ちょっと手元に資料あるんで計算してみましょうか。
よーやくJASRACによるストリーミング著作権料の暫定方針が 定まったんですが(注:あくまで暫定です。正確な料金を示すものでは ないのであくまで参考程度にお考えを)。まーこんだけ待たせてこれかい的な 代物で。
(*:資料は98年11月のJASRACとNMRCの暫定合意資料を参照しています。 これはwebでもhttp://www.jasrac.or.jp/jhp/network/index.htmで見ることができます。 またこの資料が分類分類の連続で読みづらいったらありゃしない。 誤読を恐れずに読み進めてみましょうかね。)例えばダウンロード方式で月に4回放送してる個人ベースの インターネットラジオ局が、1回の放送の中で2曲BGMとして (JASRAC範疇下にある曲)流したとします。 放送1回当たりのダウンロード数(=リスナー数)は500人位、と しましょうか。
この資料によると、著作権料ってもその形態は2種類にわかれると。 基本使用量と月額利用単位利用料。
基本料は100円の使用曲数分となるので、100円*8曲=800円。
月額利用単位利用料は・・・大抵のサイトは非営利目的の一般放送、 という分類になると勝手に解釈して。 その場合にかかる1曲/1DL当たりの著作権料が7円。 つまり7円*2曲*4週*500DL=28000円が月額利用単位。
両方足して月当たりで28800円。1年で345600円・・・。
誰もやんねーよこんな料金設定じゃ。その金で専用線ひけるじゃ ねーか。趣味でやってる個人にこんな大金出る訳ねーだろ街金の利子かこれは。
とまぁグチグチ言いたくなっちゃうんよ。未来暗いね、これじゃ。 現実的にはちょっと名が売れりゃ週500アクセスなんて簡単にふっ切るぜ。 下手すりゃ著作権料が原因で破産申告なんてことも充分にありえるね。
結局これじゃ「破産覚悟で音楽流す」か「違法覚悟で音楽流す」しか 選択枠がない状態なのよ。どっちもヤだよそんなもん。 したがって綾瀬さんには冷たい回答になってしまいますが、 公明正大に個人サイトから音楽が流れる日は残念ながら当分訪れないと踏んでます。
でね、どうしても指摘しておきたいのがひとつ。
この暫定方針の最大の失敗点って、非営利と言いつつも、金勘定の 計算が完全に営利目的でしか考えられてないってことなのよ。料金表 見てると「ケツの毛までむしりとってやる」意図がありありと伺える。
例えば、この暫定合意の中ではBGMと一曲丸々かけることに 区別はありません。1秒でも流せば即課金ってやつね。オレこの両者は 明らかな別モンだとしか思えないけどな。
確かに昭和の時代だったらこうゆう前提でもよかったかもしれんよ。 放送番組流せるのはせいぜいテレビ局、ラジオ局位のもんだったし、 そもそも放送流す事自体、国から免許受けなきゃできなかったからね。 必然的に「著作権料を払う必要のあるシチュエーション」は簡単に把握できた。
でも今の時代、こうやって誰でも、それこそ一個人でインターネット 通じて手軽に番組作成できる時代。それが何よ。こんな料金設定、 「音楽流せるのは一部の特別な人」思想からまったく脱却できてねぇじゃねぇか。
悪いけど、素人の金銭感覚から見ると個人サイトとかに対しても この料金ってのはボッタクリ以外の何物でもないぜ。あからさまなまでに 世間と感覚ずれてるよ。
個人の場合「この曲を流したことによって、番組の利益が上がった」 なんてこたまずあり得ないのよ。スポンサーつく訳でもないから、 出費はすべてポケットマネーなんだし。この点をあまりにも軽く受け止めてないか?
こうゆうこと言うと「そんなこと言うけど、じゃあ著作権利者の利権は どうなるんだ。」って言うだろうな。特にJASRACのお偉いさんはな。
勘違いしてもらっちゃ困るけど、何も個人に対して著作権料全廃しろとか 言ってるんじゃないの。「個人でも無理なく払える額内での料金設定とルール」 を一刻も早く提示しろってこと。
例えば料金。「フルコーラスかけない」「放送音質を下げる」 「リリース3ヶ月以内の新譜については放送しない」 といった感じでガイドラインを予め定めておく。 ガイドラインを守る前提の上で非営利団体及び個人に対しては 思いっ切り権料を低く設定した契約をする (個人の払える額を考慮して月額全ぶっこみ2000円〜3000円程度、 トークBGMとしてのみ利用するなら月額1000円台でもペイ取れる んじゃないの?)。
ガイドラインは外部の意見を取り入れた上で十分使用者側で遵守できる (個人が無理せず負担できる)範囲に留めること。 その上でもしガイドラインを越えての放送をしたかったら別途、商利用を薦める。
運行ルールにしたって、「書面で連絡、個別で対応」なんて問題外。 最低限Webのフォームから使用者が申し込む等、事務手続きだけで 契約できるようにする。後日使用した曲については使用者が曲目リストと 一緒に権料の払い込みをする。JASRACはそれを受け取り各権利者へ 権料を分配する。
今、思い付くままに書いてみただけだから随分穴あるかもしれんけど、 そんでも法の皮被った法外の料金設定よか断然マシのはずだぜ。
料金もルールもそうだけど、まずこうやって「使用者が迷うことなく 申し込めるルール整備」を早急に進めなきゃいけないんじゃないの? 「ルールについては未定ですが、今は決まってない以上曲かけるのは ダメ」なんて責任逃れがいつまでも通用するとでも思ってるの?
待ちくたびれてるんだよ!作り手も聞き手も!
違法MP3サイト撲滅キャンペーンに名を借りたMP3魔女狩りやってる暇あったら、 ちったぁこっちに金頭時間使いやがれJASRAC!!レコード会社もこんな腰重い 奴等の腰巾着やってんじゃねぇよ!既存利益しがみついてないでもっと頭 使えってんだこの化石が!!
ぜぇはぁぜぇはぁ。ごめんね読者置いてきぼりで。
ついでだから言っとくけどね、あんたらが目の色変えてやってる 違法サイト狩りにどんだけ時間と金つぎこんだって、 「違法サイトやるのが馬鹿馬鹿しくなる位」までコストと 手間が適正化しない限り、千年たってもイタチゴッコは続くぜ。
違法サイトが乱立するってことは、ウラを返せば適正なコストを払って 使用権利を受ける意味がないってこと表わしてるんじゃないの? 違法サイト糾弾するのもそれはそれで必要かもしれんけど、 自分達に落ち度ないのか今一度考え直すいい機会じゃないの? 頭ん中昭和30年で停止させて過去の栄光しがみついてるお偉いさんよ。
ふぅ、なんかやっと胸のつかえ取れた。
上の暴言書いてても思ったけどね、いちいち音ひとつ使うだけでも 世間の顔色伺いながらやらなきゃいけない今の状況、いい加減うんざりしてるんよ。
使いたいんならしかるべき方法で正々堂々と使う。 それがイヤなら使わない。それでいいやん。当たり前のことやんか。
こんな当たり前のことが当たり前にできもしない今の風潮、 いいかげんブチ壊して欲しいんですけどね。