それは夕立のように


 それはいつもいきなりやってくる。大体、必要な時は呼んだって わめいたって出てこないくせに、呼んでもない時に限って現われるなっての。

 傘持ってない時に限って夕立が降るが如く、いつだって不意を 突いてくるのである。闇討ちである。夜這いである。ちょっと違う。

 と文句を言ったところで仕方がない。「今夜午前3時に ナイフ持参であなたの寝首かきに行きま〜す。首を洗って待っててね、うふふ」 などと予告する闇討ちはやっぱり迫力に欠けるし、「今夜3時に 行くからねカギは開けておいてね待ってて僕の小猫ちゃん」などと 事前に知らせておく夜這いはやっぱりドキドキ・・・するな。

 それにしても今時小猫ちゃんはないよな。早く新曲出してくれ小沢健二。

 しょっぱなから大幅に話題が逸れてしまったが、要するに「不意だったから こそ意義のある」といったことは確かに存在する。

 たとえば、いつものように仕事を終え家に帰り、メシかっ食らって風呂 入って「は〜っ」と一息つく金曜日の夜。仕事もろくすっぽにせずひたすら 帰社時間を待つだけの人間のクズから、インターネットに生活の90%以上を 捧げる人間のクズへと気分を切り替える時間帯である。変わってねぇ。

 メールチェックと返事書き。Webの更新が終わった頃にテレホタイム突入。 メールとWebをアップロードした後いつも見るWebの巡回、ともはや習慣と なった作業をこなす。

 この後、大別してふたつの行動パターンに別れる。ひとつは顔なじみの 面子とチャットとかに興じつつだらだらと時を過ごすパターン。 もうひとつが「なんかおもろいのね〜かな」とインターネットの大海に 自ら飲み込まれていくパターン。

 実際、この「ハック」で取上げるサイトもこの時に見つけることが多い。 平日はせいぜい定番系(自分で勝手にこう呼んでいるだけだが、要は 「総ざらい」に載せてるサイト)の更新分をチェックするのが精一杯 なので、この時位しか新規にチェックする時間がないのが実情。 時間的コストかなりかかってるよこのサイト。

 とは言え、探せば必ず欲するものが見つかるとも限らないのも インターネットならでは。気分は釣り人。エサもシカケもたんまり用意して、 何回も釣竿振るにも関わらず、それでも一向にアタリがこない。 そんなこともざらにある。

 もともと金曜の夜は疲労のピークでもある。平日の過労、もとい、 夜更かしが鬱積し、自然と体が睡眠を欲する。「いい加減寝れ、俺」 と休養を促す体にムチ打って 釣りに興ずる。インターネットラジオ漁りに興ずる のである。結構マゾ入ってるかも。

 何分そんな状態であるので、お目当てのものが見つからないと、速攻で 瞼が重くなる。パソコンの前でフネをこぎ始める。だから言わんこっちゃない。 マジでインターネット中毒入ってんなこの男は。

 「うう・・・もう限界・・・」つうかとっくの昔に限界超えてるっての。 もう3時だぞ。「あ・・・これRealPlayer使ってる・・・」まだ あきらめんかあんた。「これダメだったらもう寝よう・・・」それ聴かんと 寝ろってばよ。

 眠気の狭間で一人ボケツッコミを演じながらストリーミング開始。

 ・・・・・んにゃ・・・・・これ結構・・・・・・。

 来るのだ。こうゆう時に限って来るのだ。なんでこれを1時台、2時台に 見付けきらないんだ私よ。

 それでも相手はお構いなし。傘を持っている時には夕立に振られないように、 警戒している内は闇討ちに合わないように、夜這いを待っている内は 相手が現われ・・・あれれ。

 油断している、だから来る。極限の眠気の中で訪れるお宝。

 ・・・・・ストリーミングのみで・・・・1時間か・・・・あ・・・・ バックアップもある・・・・・これは・・・・聴いておいた方が・・・・ いいだろ・・・・ふぁ〜〜〜〜〜〜〜。

 かくして結局スズメがチュンチュンとさえずり始める朝の5時まで 意地で起き続けてしまう。「もうどうにでもなれ」とコンビニで 傘も買わずに路中踊り出す心境である。簡潔に言えば馬鹿である。

 そんな無理な起き方をしてしまう反動で、土曜の昼間中寝倒してもまだ眠い。 眠っても、眠っても、まだ眠い。だから三度寝、四度寝。時間の浪費極まりなしの 休日を送ってしまう私。

 それでも起きるだけのネタ拾ったしまぁいっか。いっくら生活のリズムが 崩れようと、1週間待てばまた金曜だし。そう思いつつ再び布団の中へ。

 そんなのも、ちょっとわるくない。


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