更新倦怠期な制作の方に。


 今回のお話は、インターネットラジオ始めて半年〜1年経ち、 「最近パッとしないなぁ・・・」などと考えてらっしゃる方には ぜひお読み頂きたいです。BGMには坂本龍一「ウラBTTB」をどうぞ。 まんまやんか。

 GW休みRadio13さんところに取材行った時のこと。こんなことがあったんですよ。

 収録が終わり、「お疲れさま〜」とぐったりとした虚無感に 浸りつつも、あれやこれやとくっちゃべってて、妙に印象に 残るやりとりがありました。もう収録から2ヶ月近く経ちますけど、 未だに覚えてる。

 以下、思い出しつつそのやりとりを再現。 普通の会話を対談風にした為、脚色入れてますが大体は こんな感じでした。


(以下 ロ:ローレル・カタギリ氏 ラ:ランプ氏 さ:さぼてん)

さ:「つかれた〜。このペースで週1なんですよね〜。しんど〜」
ロ:「まぁこのペースに慣れちゃってますからね。」
ラ:「ペースの落し方わかりませんし(笑)」
さ:「これをもう3年・・・です?」
ロ:「はい、大体」
ラ:「ミニFM含めたらもっといきます」
さ:「毎週こんだけ飛ばしてると、正直録ってて『しんどいな』とか 思うときとかってありませんでした?」
ロ:「やってる時は感じないんですけど・・・収録前とかですね。 ずん、と来るのは。以前は週末になるとあぁまた今週もラジオか・・・とか 考えたりしたときあったし。」
さ:「Radio13始まって・・・しばらくして、位です?」
ロ:「始まって1年位だったかな・・・。そんときは本業忙しいとかいうのも あったと思うんだけど。もっともそうゆうの考えるのは収録前だけなんですけどね。 」
さ:「サザエさんシンドローム?」
ロ:「そんな感じ(笑)。今を思うと中だるみみたいなもんだったのかも。」
さ:「この辺はランプさんも?」
ラ:「ありましたねぇ。へとへとになって仕事帰ってきた時にディレクター から電話かかってくると『寝させろや!』とか(笑)。収録に来てしまえば なんてことないんですけど、それまでが気が重い、つーのはありました。」


さ:「今でもそんなこと思ったりします?」
ラ:「言われてみればなくなりましたねぇ。」
ロ:「体疲れても収録には来てる(笑)」
さ:「・・・・・慣れ?」
ラ:「あります。」
ロ:「あと割り切るというか吹っ切れるというか。そうゆうのはありますよ。 『もうひとつの仕事だ』つー感じで。そう考えるようになってからは しんどくても動けるようになりましたねぇ。」
ラ:「収入ないけど(笑)」
ロ:「ないな(笑)」
ラ:「あと、習慣になっちゃったってのは大きいと思いますよ。 要は週1回集まってくっちゃべってるだけですけど、もう生活の 一部というか。無くても困らないんだけど(笑)」


さ:「前にちょっとダークになった時期あって、それで今はこうやって 多少なりとも安定してますよね。マイナスからプラスへの入れ替わりというか、 そうゆうきっかけになるものってありました?」
ロ:「うーん・・・・これといって、というものはないけど・・・。 でもやっぱりラジオやってることの手応えを感じ始めたってのはありますね。」
ラ:「他のインターネットラジオ局の存在とかリスナーの反応とかね。」
ロ:「ええ。逆に自己満足だけだったら3年持ったかなぁと。」
さ:「聞く側の姿がボヤケつつも見え始めてきたと?」
ロ:「はい。」


 ・・・・なるほどなぁ。収録終わってから小1時間位の会話の中の、 ごく一部のやりとりだったんですけど、この言葉聞けたのは貴重だったよ。

 Radio13パーソナリティとしてのローレル・ランプの立場、それ以外での普通の 生活する人間としてのローレル・ランプの立場。この両方の意見がクロス された、率直な会話だったと思います。

 やっぱり「モノを作る」というのはしんどい作業ですよ。 本業もある中、毎週1回せっかくの貴重な時間潰して 収録を続ける訳だもん。そりゃこうゆう気持ちになるのもわかるよ。

 この辺に関しては自分のWeb作りの体験でイヤという程実感あるだけに、 ついつい同情的な方向に向いてしまうんですけどね。「もうめんどくさい〜 嫌じゃ〜やめる〜旅に出る〜」と何回ダダこねたことか(笑)。

 しかも「ラジオならでは」の難点もあるしね。複数のパーソナリティが いるなら、全員のスケジュールを合わせなきゃならない。実際Radio13の場合、 休日出勤の影響で深夜の1時、2時から収録開始、終わりが3時4時なんて こともあるそうです。一人のスケジュールが合わないために周りに待ち時間が 生じたりする。これ、相当のストレス源になると思うよ。

 それでも、3年経った今でもこうやって放送続けられているってことは Radio13メンバーの底力というか、ここぞという時でのパワーがハンパじゃなく 強い証明なんだろうな、と素直に脱帽してしまうのですが。

 さて、言わばこのような「倦怠期」をどうやって乗り越えていくか、つうのを ちょっと考えてみたいのですが。

 例えば、スポーツの世界では休養の概念に消極的休養と積極的休養の2通りの 休養が存在します。消極的休養はもうそのまんま。動くのを完全にやめ、だらだら 体を休める。それに対して積極的休養は、体が壊れない範囲内で意図的に 休息時間を短めに取り、休息時間をも筋力アップや持久力アップに当てていく やり方。

 で、私、ラジオの制作に関しても、この図式が当てはまるような気がしてるん ですよね。その根拠を順に。

 まず消極的休養に当たる部分としては、純粋に作業量・作業時間を、1分1秒でも 縮めていって、負担を軽くしていくこと。機材の導入や作業ロスの軽減に努める ことで、ちょっとでもラクをする。ホントにヤバいと思ったらいっそのこと 更新お休みしちゃって骨の髄まで休む。これはこれで、長く続けるためには ものすごく重要なこと。

(そういえば。大阪遠征の際、WIBCたおきちさんに「1分1秒でもエンコーディングの時間縮めたい」 を理由にペンティアムIIからIIIへの載せ換えが有効かどうか尋ねられたんですけど、 そん時私、パソコンのことだけ考えて否定的な返事しちゃったんですよね。 確かに目に見えてという意味ではわかんないかもしれないけど、少しは 効果あるんですよね。負担軽減を考えた場合、これは浅はかな発言だったなぁ。 読みが足りませんでした。すいません。もうそろそろペンIIIの高クロック版も 値段こなれてきてるので検討もありだと思いまふ。<たおきちさん宛私信>)

 ただ、やっぱり消極的休息取っても、やめない限りは作業量ゼロにはならない から、いつまでたってもずるずるした状態から抜け出せない可能性はある。

 よって、ここでも積極的休息つうのは意義持つんじゃないかな、そんな 風に思えるんです。

 例えばRadio13の取り仕切り役:ツジさん曰く。

 「ちょっとやそっとの用事が入ったくらいでは安易に収録日を延期せず、 深夜に入ってでも意地でも収録を強行してましたね。しつこい位に電話 かけて引っ張り込んで来て。『休むなら収録終わってから休め』と(笑)。」

 もはや休息というよりはスパルタのような気がするが(笑)。

 でも結果として、多少しんどかろうが無理があろうが、意固地になって制作を 続行したってことが「更新続ける体力を培った」というのは 確実にあると思うんですよ。上のローレルさんの「割り切れるようになった」、 ランプさんの「習慣になった」、こう言えるようになったこと自体、 精神的にも体力的にも余裕が出てきた証拠なんじゃないかと。 (ホントにしんどい場合は、こんなこと言ってられない状態になる。 体験的によくわかる)

 で、もしただ単純に「動け動け動け動け休め動け動け動け動け」が機械的に 発生していただけだったら、Radio13を持ってしても潰れてたかもしれないね (私なら逃げる)。目的付けであり目標でもある「リスナーからの反応」。 これが時にはカンフル剤にもなり、回復薬にもなったのは確実です。

 やっぱここでも「リスナーの反応がラジオを育てる」の基本法則は 成立しているのかもしれません。だから、リスナーサイドに位置する皆さん、 あどけない話でいいから、一度反応してメール出してみましょうよ。 あなたが思ってる以上に、作り手は反応を待ち望んでいるものですよ。

 さて話を戻して、「最近しんどいな・・・」と感じてる作り手の皆さん。 消極的休息と積極的休息、どちらを取ります?

 私としては、どっちが絶対につうことはないとは思うんですよね。 体が既に出来上がってる大人が積極的休息をやろうとしたって無理があるように (実際、スポーツの世界で積極的休息の効果があるのは自然な筋肉成長が伴う 10台後半が限度)、もう既に心身ともにへばってる人間のケツ叩くような 真似はできませんし。私のように叩かたら3倍叩き返して逃げるような 輩には性格的に向いてないっつーのもあるし(笑)。

 でもね。もし疲れながらでも「おもろいモン作りたい」つう欲求が 残っているのなら。ここは歯食いしばって続けてみて欲しいです。 やっぱりね、外から見ると「動き止めること」にメリットは ないんよ。逆を言うと「動き続けること」自体に、訴えるモノがあるんよ。

 かなりしんどいかもしれんけど、その内ランナーズ・ハイ状態に 突入できます。そんとき、絶対に何らかの満足感を得ることができますから。 これは「作る側」に片足突っ込んでる人間として保証します。

 気持ちいいぞ、ありとあらゆるもんぶっちぎっちゃった後って。


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