roots(5):総論


 はい、という訳でミニミニ連載企画「roots」最終回ということで、 いろいろ混ぜ込んで総論という形でまとめてみたいと思います。

 さて、まず始めにこれらの意見聞いた上での自分の立場というか 考えをはっきりさせておきたいのですが。

 はっきり言ってミニFMは今後も「生き延びていかなきゃ いけない媒体」だと思っています。

 理由。阪神大震災。忘れてないよね?

 今回取材させてもらった局のひとつ、FR-FMのFRさんは、今でも ミニFMの送信機のチェックとメンテナンスは欠かさず行って いるそうです。理由はもちろん万が一の時のため。

 阪神大震災の時でもそうでしたが、非常時においては 「情報のライフライン」は完全に寸断されるといっていいでしょう。 既存テレビ・ラジオもあてにならない。電話も使えないし、 インターネットも無理でしょう。携帯電話なんて、ちょっとアクセス 過多が起こればあっという間に使えない媒体になってしまいます。

 こうゆう時におけるミニFMの伝達力・機動力というのは ハンパじゃないモンを持ってるんです。これに異論挟める人は いないはず。

 だから、今の時代に即してないからもうミニFMは役に立たない、 なんて考え方なんてできないんです。

 ですのでもし「今は放送はやってないけど、機材だけは今でも 持ってるよ」という方、その機材は絶対に捨てずに、緊急避難袋に しのばせておいてください。万が一の時、必ず役に立つと思います。

 つぅのが第一の考え方です。

 じゃあ一方、ミニFMを「エンターテイメントの伝達手段」として 捉えた場合は、いったいどうなるのでしょうか。

 うーん。これを言うと多少心が痛みますが、敢えて言い切って しまいます。

 エンターテイメントとして、今後ミニFMが機能する可能性は 極めて低いと思います。0%とは言いませんが、1%より低いでしょう。

 ひとつは単純に「FM(既存・ミニを問わず)の聴取人口が 確実に減っている」という現状です。加えて「聞き手の積極的な 聴取」が望めないということがあります。

 Radio13のツジさんとメールで雑談してた時、こんなことを おっしゃってました。

「現在ではFMチューナーがほとんどデジタル化している為、 リスナーが何気にミニFMを見つける機会 (うだうだと選曲ダイヤルを回す等)が皆無になってしまった。」

 そうなんですよね、これなんか積極的な聴取が消えてしまった ことを如実に表わしてると思いますよ。車にせよ最近のラジカセにせよ、 今はもう周波数が予めセットされていて、聞き手はボタンで選んで 聞くだけ、になってます。私もそうだもん。周波数合わせる作業なんて もう何年もやってませんよ。

 既存局ですら積極的には選ばれなくなってきているのに、 ミニFMにいたっては聴取エリアも狭まりますし、見付けてもらう 機会ってのがほとんどゼロに近い現状になってしまってると思います。

 ですので、エンターテイメントやりたいと思うなら、最低でも 免許受けてコミュニティFMレベルの出力量まで上げないと 成り立たないと思います。というか、コミュニティFMレベルの 電波が出せたとしても、軌道に乗せるのは大変なんじゃないのか? つーことを考えますねぇ。

 しかも現時点の郵政省方針ではコミュニティーFMを (名目上は)緊急時の大切な資源としてとらえているため、 実際に免許を交付するのは各種自治体や資本のしっかりしている法人を 優先させているのが実情。個人レベルに免許交付するケースは極めて希です。 (確か、1件か2件位、個人で免許受けてるケースもあったんじゃ ないかな?ちょっと調べてみてもわからなかったのでおぼろげなんですが。)

 絶対に不可能という訳ではないのですが、目的に対しての負荷が あまりにも高すぎる、という評価をするんですね、私は。

 確かに五村富士のケースのように、極端に狭いエリアの中で徹底的に 地域融合を計るという解決策もあるでしょう。でも、これを今から かつゼロから作り上げる労力ってのはとんでもなくきついことじゃ ないかなと思います。つぅか個人では物理的に無理のような気がします。

 ましてや電波法違反して高出力放送なんてもってのほかでしょ。 あまりにも背負うリスクが大き過ぎるんじゃないですかねぇ?

 となると、根が怠け者の私としてはどうしてもこうゆう発想を しちゃうんですよね。

 「だったらその労力別のところに回せないか?」と。

 その結果として、Radio13やNR-FMのように「作りたかった、でも 今までできなかった」ことができるようになったんじゃないかな、と。 そんなことを思います。

 今回ずっといろんな話聞いてきたんですけど、インターネットラジオって やっぱり今までにかかっていた労力を劇的に軽減させたってのがあると 思うんですよ。確かに技術的にはエンコーディングだのWeb管理だの 手間は増えるんですけど、それを差し引いても「人に聞いてもらえる 可能性の高さ」の負荷軽減は絶大なものがあると思いますよ、やっぱり。

 「聞かせるための手間が減る」→「モノ作る時間が増える」→ 「もっといいモノが作れる」・・・こんな風に進んでいくんじゃ ないかなぁ、つぅのをつくづく感じましたね。

 という訳で、最後に提案をひとつして、roots、締めさせて 頂きます。

 おそらく全国的にはまだまだたくさんいるであろう、ミニFM を続けている作り手の皆さん。

 インターネットラジオの世界に飛び込んでみてはどうでしょう?

 これは何もミニFMやめてインターネットラジオに乗り換えろという 意味ではないので念のため。今やっているミニFMはミニFMで 継続していけばいいと思います。FM-MONDAY-CLUBがそのいい例ですよね。

 というか、既にミニFMとして番組を作っているんでしたら、 ぜひそれをより外の世界、つまりインターネットラジオに投入して みてはどうでしょう、ってことなんです。外に出ることで、 もっと質の向上出来ると思いますしね。

 ラジオってメディアは既存民放だろうがコミュニティだろうが ミニFMだろうが、「聴かれてナンボ」。

 そんなことを思ったりするのです。


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