いにゅ子ネット評(1)

スピードの妙味。


 この2000年、インターネットラジオの裾野がどこまで 広がっていくかのポイントのひとつに「どこまで女性パーソナリティが 伸びていくか」つーのはあると思います、いやマジで。

 というのも、去年からなんですけど、インターネット利用人口の伸び ってのは圧倒的に女性の方が強いんです(逆に男性は微増、もしくは横ばい)。 で、この現象は今後もしばらく続くと思っていい。

 ということはその新規の女性ユーザさんをどこまで取り込めるかで勝負が決まる、 てな訳でインターネット関連のどこの分野でも、血眼になってその策集めてるってのが 現状なんですな。

 逆を言えば「女性出しておけばいっくらでも男はついてくるぜ ホホホイノホイ」なインターネットならではの現象は、既に終焉を迎えつつ ある証拠でもある、と。(まぁ、消えはしないんだろうけど。 でも野郎のマーケットに依存してしまったがために、それ以上に巨大な 女性のマーケットを逃してしまう、という可能性は十分にあるわね)

 だからこその「女性パーソナリティがどこまで伸びるか」なんです。 女性だからという頼るのではなく、女性ならではの嗅覚を探し出し、 女性のためのコンテンツを提供していく。こうゆうサイトも今後必要不可欠に なるんでしょう。

 てな感じでいきなり堅い話から始めてしまいましたが、じゃあそれに対して 作り手側はどう動いていくか、という意味も込めて、今回から何回かに分けて 女性が作り手メインになっているサイトを漁ってみようと思います。

 えらい大義名分持ち出したな、俺。

 という訳で、初回は現役女子大生(←こう書くと途端にあざとい表現 になるのは何故)いにゅ子さんによる「いにゅ子ネット」。 基本的に私、女性の敬称には「嬢」をつけることにしてるんですけど、 この方の場合は「さん」のほうがしっくり来るな。

 週1回、約30分間のテーマに沿ったフリートーク及び 小コーナーの番組を展開しています。

 で、基本的に毎週喋ってる内容なんですけど、まぁこれまた 見事なまでに取り留めがないんだ(笑)。これをいい意味でとれば 喋り手の「等身大の喋り」。

 こう書くと「じゃあ悪い意味では」ってつなげるのが 常道なんでしょうが、不思議と、この悪い意味の方での転化がしにくい んですよ。言いにくい。

 つまりありのまま、つらつらと喋ってることが、存分にいい方向へと 転化できてるんじゃないかな。そんな感想を持ったんですけどね。

 その根拠。たとえば身の回りのこと、アルバイトのこととか、試験の こととか、喋ってるとしても「自分だけのこと」で完結させていない。 話の中でちゃんと「じゃあ聞いてるあなたはどう?」と考えさせられる。 というか、無意識に自問自答できている、というのがあるんです。

 つまり、聴いてる側がリアルタイムで「考える余裕」を持つことが できるんですな。

 これを確定付けてるのが、いにゅ子さんの「喋りの速度」。 とにかくゆっくり。NHKのアナウンサーでもここまでゆっくりは喋らない だろ、てな位ゆっくりと話が流れていく。

 これが間違い無くプラスに動いてると思うんよ。少なくともこの番組に関しては。

 こうゆう聞かせ方、というのがほとんど消えちゃったからね、今の ラジオ放送って。もちろん私は、その他の聞き手に考える暇を与えない スピード展開も好きですけど、こうゆう雰囲気もなくてはならないもんだと 思います。

 「こうゆうゆったりとした番組を聴きたい」という需要は絶対にあると 思うんですよね。ゆったりと、時間を贅沢に、という感じで。

 敢えて(喋りの上での)テンションは押さえ気味にして、ゆったりとした ペースを保つ事で、他局との違いを打ち出すことも可能なんじゃないかなぁ、 という事を思いましたです。

 で、そんな雰囲気とはうらはらに、この「いにゅ子ネット」の ネットワーク技術面の高さ、実は結構なもんがあったりします。

 サイトに飛んでいってもらえばわかると思うんですけど、結構ハデに いろんな見せ方やってます。IE5とかで見ればわかるんじゃないかな。

 で、このページ実はLynx完全対応。特殊表現部分と文章 部分を完全に切り離して、どっちでも見えるようにしてあるんです。 あのー、このレベルでLynx対応させるのってかなり難易度高いんですけど。

 そもそもこのサイト自体が「自前率」がかなり高いんですよ。 自分達でできることは自分達でやっていこうという。

 いやー、いいブレイン持ちましたねー、いにゅ子さん。このレベルまで いくと代わりの人探そうと思ってても滅多に見つからないと思いますので、 首に鎖巻いてでも確保しておきましょう(笑)。

 ちなみに管理をなさってるadminさん、実は「ハック」も 技術面とかでお世話になってたりしています。この場を借りて御礼。

 しかし、これだけの技術をもって展開する番組が時間の存在を忘れそう なほどのんびりゆったり、というのもとてつもなくアンバランスなもんですな。


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