GW恒例玉砕レポート:GOLDENBELL


「まもなく静岡に到着します。静岡、静岡・・・。」

 んにゃ。もう着くのか。名古屋からこだまで1時間強。やっぱ新幹線だとこんだけの距離でも短く感じるなぁ。

 さて、んじゃいっちょ気合い入れて臨みますかね。ネタ、ネタ、ネタ・・・・・・そろそろそのネタ至上主義やめれ俺。

 プラットフォーム降りて、階段降りて、改札口出て・・・。おや。つーか改札口左手に男性2名がぽつんと突っ立ってる。

「あのー。GOLDENBELLの方々ですか?」
「あ、はい・・・・・・ハックさん?」
「さいですー。はじめましてー」
「はじめましてー。でも、よく私たちがそうだってわかりましたねー」
「だってこの駅構内、他に人待ちしてそうな人誰もいないんだもん。」

 つー訳で(笑)。行ってまいりましたGOLDENBELL収録見学。

 そもそもの発端はGOLDENBELLが休局中に、Webページの片隅に「見学ツアー参加者募集」の記事を見つけたのが始まりだったんです。こちらとしても、最近どうもネタに詰まり気味だったという事情もありまして、それはいっちょ乗っけてもらおう、という訳できやまさんにコンタクトを取りまして、今回の訪問、ということになりました。

 もっとも、今回訪問の一番の理由は別のところにありまして、それはまた別の形で文章する予定ですがまぁそれはそれとして、ここでは単純に「訪問記」の形でだらだらと書き連ねてみたいと思います。私のリハビリも兼ねつつ。

 という訳で、静岡駅から車を走らせること約10分。GOLDENBELL第1スタジオ、というかきやまさんの実家にお邪魔させて頂きました。

「おじゃましまーす」
「どんぞー」

 2部屋の壁ブチ破った8畳〜10畳位の居間。うん。ごく普通の居間。

 うん、そんなもんですよ。ひょっとしたら読者さんの中には「インターネットラジオやってるからには部屋の中機材てんこ盛りの中で生活してるんじゃなかろうか」等と想像してるかもしれませんけど。普通ですよ普通。つーか部屋入って金魚鉢(テレビのスタジオ風景なんかでよく見るような透明ボックス。主に防音用)ガツンと置いてたらやっぱひくよ。プロの機材=いい作品、なんて時代はとっくの昔に終わってるんだからさ。いいんよこれで。

 つー訳で、よっこらせと落ち着いてお茶などを頂きつつ雑談を交えつつ、本日の段取りの説明を受けました。

 今回の収録は主にショートコントの録り及び05/03放送分のトーク収録です。

 基本的にGOLDENBELLは複数回分のネタをまとめ取りしています。放送をお聞きの方はおわかりかと思いますが、きやまさんは静岡県在住、一方の五代さんは東京都在住です。そう毎週毎週東京・静岡間を行ったり来たりしててはお金も体も持ちません。それを打開するためにまとめ録りをしたり、インターネットフォンを通じての収録にチャレンジしたりする必要性がある訳なんですな。

 「という訳でこれ目を通しておいてください。」数枚の紙を渡されます。

 ・・・・・・あ。これ。

 ショートコントのセリフ原稿。・・・つーことは・・・。えーー!やっぱり私出演すんのー?って何を今更。

 ちなみに私、こうゆうセリフ読みって、小学校の時の学芸会以来です。まさか27歳にしてセリフ読みするなんて夢にも思ってませんでしたよ。人間何がきっかけになるのかわからんもんですね、って何を悟ってるか私。

 深いような、どーでもいいような雑念を抱いている間にも、きやま・五代両氏はさくさくとコントの収録打ち合わせを始めておりました。なんでも今日中に少なくとも1ヶ月分のソースを用意し終えないといけないとのこと。大変なんですねぇ、としばしその収録模様を観察させてもらうことに。

 ちなみに、今回の収録に使われている機材構成なんですが、去年紹介させてもらったRadio13の基本構成とほとんど一緒です。(具体的な機材についてはGOLDENBELLのページ内でも紹介されているのでそちらも合わせてお読み頂けるとわかりやすいと思います。)お二方の音声はミキサーを介して一度DATに録音されます。その後DAT音声をパソコンに取り込んだ後に編集作業(空白カットやBGM挿入)を行い、最終的に.raファイルが作成される、という段取りです。

 という訳で打ち合わせも終わり収録開始。しばし見入ります。

 ・・・・・・・ぷっ。・・・・・・ぷぷぷっ・・・・・・。・・・・・(苦しいよ〜)・・・・・んんっ・・・・・・。

 「はい、OK」

 ぎゃはははははは!・・・・・・あ、失礼。個人的に思いっきりツボに入ってしまって。いや、こうゆう時って声出して笑っちゃうと全部マイクに音入ってしまいますからね。必死で笑い堪えてました。

 基本的には、例えば合計3分のショートコントを作成するとした場合、3分を全部いっぺんに録ってしまうのではなく、そのセクション単位(1分*3)で収録は行われます。そのため、ずっと息潜めて黙ってるというかは、黙る→喋る→黙る→喋るが短いサイクルでぐるぐると巡回するような雰囲気です。

 こうゆう事ができるってのは後で細かく編集できるという安心感があってこそのもんなんでしょうね。このやり方がGOLDENBELLの作品特性に合致しているという点もあるでしょう。

 ただ、このやり方も時には空回りする場合もあるみたいです。

「△△△△△△△△△・・・・・・、あ、ごめん、もいっかい。」

 五代さんがナレーション読むシーンでつまづいてしまい、なかなかOKが出ません。既にTake5までNGが続いてます。よくテレビのNG大賞ではまっちゃって同じシーンで何度もつまづいてしまうってあるでしょ。あれと一緒の状態になっちゃうんですな。ねぇねぇ、こうゆうはまっちゃった時ってなんか対策とか考えます?

「うーん。基本的には時間が許せば何回でもやっちゃいますけどね。そんでもダメだったら後回しにするとかやめちゃうとか。その場の気分で変えちゃいます。」(五代さん談)

 あ、やっぱそっか。失敗の永久ループって精神的にもダメージあるしね。一発録りだと「失敗しやがったなぁあはははは」とウケ取れますけど(笑)、こうゆう編集タイプだとどうしても「過度に上を求めてしまう」傾向ってあると思うし。臨機応変に切り替えていく必要ってのはあると思いましたね。ちなみに上のナレーションはTake6でOK出ました。ご苦労様。

 そうこうしている間にも数本のショートコントを録り終わり、一旦昼食の為中座。実はここですっげぇハードコアな話が繰り広げられたのですが、またこれは別のお話で。ごめんね、じらしまくりの秘密主義。

 という訳でご飯も食べ終わり、いよいよ私も参加するショートコントの収録へと突入します。

 実はこの時点でひとつ、ココロに決めていたことがあります。それは。

「感情を殺し、極限までセリフ棒読みする。」

 だってさぁ、声優さんみたいに声で感情表現するなんて土台無理だよー。それだったら必要以上に棒読み感強調して白々しさを演出(?)した方がまだウケ取れそうじゃないですかー、って何を自己防衛に走ってるか私よ。

 とまぁそんな事を思いながら、きやま・五大両氏とセリフ合わせ。そして本番・・・・・・(心臓バクバクいわせながらセリフ読み中)・・・・・・ぷはぁあ!!緊張したー!!

 という訳で作成されたのが05/10放送分「クイズ・タイムジョーク」だったのですが。いかがでしたでしょ?>お聴きになられた方。

 いや、自分でもビックリする位、神経尖らせるねーこうゆうのって。こりゃ難しいや。前もって言うセリフが決まってよーが、フリートークだろーが、難しいもんは難しいっす。心臓マヒ起こしそ。ぜぇぜぇ。

 でもね、今回こうやって自分でやって始めて思ったけど、今回心に決めてた「白々しい程の棒読み」、やって大正解だと思いましたよ。もしこれが「ここは感情を込めてぇ!」なんてやってたら多分100回やってもOKはでなかったのではないかと。

 これってやっぱ訓練なのかなぁ?きやまさんは収録後に「こうゆうのって、訓練でうまくなるとかってのは意外と無いですよ。確かに声をより通りやすくするとかの部分ではありますけど、そんでもせいぜい数時間もすれば慣れるもんです。」とフォローしてくれたんですけどね。

 わすとしてはこの考え方はナットクいきます。喋り手が全員が全員声優になる必要はないと思いますしね。むしろ下手に訓練することで、その人の持ってる個性を相殺しちゃうリスクもある(←これもきやま氏の受け売り)。でもなぁ、単純に「必要ない」と切り捨てられるようなもんでもないような気がしてまして、ねぇ・・・。どうなんでしょうね?

 小首を傾げつつ、録音終わったマスター音声を聞いてみる私なのでした。

 さて、そうこうしている間に、本日の収録としては最後になります、05/03放送分のフリートークの収録に入りました。この時点で既に収録開始から4時間近くが経過しています。特に自分が参加している時は慣れないだけに緊張スイッチONに入りっぱなしだった関係で、結構疲れ切ってたんですけど、ここはちゃんとやらんと、つー訳で気合入れ直して臨みました。

 で。まず自分の自分に関する感想言っちゃっていい?

 去年のRadio13出演のときに思った自己反省点、なんら改善されちゃあいませんね。声が高いのは直しようがないからしょうがないにせよ、俺早口になり過ぎ。聞き取れんぜ。これじゃあ番組の有無に関わらず日常生活でも聞き取れない人って多いんだろうなぁ。普段人前で話す機会が皆無なだけに気付く機会ないもんなぁ。素直に反省。

 で、今回もう一点気付いたんだけど、私って「一言で言えば済むようなことをわざわざ難しい言い回ししようとして自爆する」事が多過ぎますね。放送分では約15分に縮まっているのですが、実際には30分喋ってるんですよ。で、これがまた自分で言うのもナンですけどヒドいんだ。よくもまぁ放送分ではあそこまで収まったな、というのが正直な感想。さすが編集のきやま氏。よっ!編集の達人!!必要以上に持ち上げておきます(笑)。

 おそらくね、これ普段文章ばっかりやっちゃってるから、喋るときにも無意識にこれをやろうとしちゃってるんだろうね。逆に「いかに自分にとっては文章がラクな媒体か」つーのを実感した訳なんですけどね。

 これ見てくっくっくっと含み笑いしてる文章書きの皆さんよ、おかしかったらいっぺんやってみ。絶対にドツボはまるから。脱稿するまでは何回でも書き直しが効く文章のありがたみが骨身にしみるから(笑)。

 以上、自分で自分を殴る作業終了。という訳でして、今回GOLDENBELLのフリートーク風景を観察させてもらって思ったのですが。

 ひょっとしたら、全くの始めての人がインターネットラジオ番組を作ろうとした場合、一発録りよりも編集ありの形にした方が、聞き手には(結果的に)聞き易くなるんじゃないかな、というのを思いました。

 事実、フリートーク収録中にこんな事がありました。私が携帯電話の電源切るの忘れてて、喋っているその最中に鳴り響いちゃったんですよ。「ごめんなさーい、今の録り直しー?」と哀願するとお二方曰く。

 「いいですよ、電話出ちゃって下さい」。

 これ、かなりホッとしました。いや、マジな話。

 「じゃあちょっとやり直ししましょ。」この一言がもたらす安心感って喋り手側にとっても大きいと思うんですよね。「失敗してもいいや」に慣れ切っちゃうかもという考え方もあると思うのですが、それでも「失敗したらどうしよう」とマイナス面ばかりを考えてしまう傾向ってのが初心者さんだと多大にありますよね。この安心感ってでかいなぁ、と。

 その結果として喋り手側がリラックスして喋りたいことを喋られるようになれば、それはそれでいいことなんですよね。

 もちろん一発録りは一発録りで聞き手喋り手双方にメリットはあると思います。ただ、やっぱり一発録りって慣れ必要だと思うしね。

 今できなくてもいい。階段を上っていけば、それでいい。

 そんなことを思ってました。

 

「おつかれさまー」
「どうもありがとうございましたー」

 という訳で今回の訪問収録、無事完了。その後は文字どおり酒池肉林・・・・・・だったかどうかは秘密。酒飲めないし、肉も似合わないし。ただ濃い内容だったのは事実。

 という訳であらためてGOLDENBELLのきやま・五大両氏に最大限の感謝を。

 おかげで、こうやってネタにできました。

 (追伸その1)釜飯、マジでうまかったっす。

 (追伸その2)帰りの新幹線に乗った瞬間、緊張の糸切れて名古屋まで爆睡したのは秘密。


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