マネゴト一考。


 読者さんからメール頂きまして。こんなお言葉を頂きました。

 むっちゃかいつまみますが。

 こんな感じですか。端的にまとめようとするとやっぱり言葉にトゲが出てきちゃうのは致し方ないことですのでご容赦を。あ、私の要約能力に問題があるのか(笑)。

 ま、それはそうと。確かにインターネットラジオ全体、という見方をした場合における、アニラジ・声優ラジオ系のパーセンテージってのはかなりのものを占めるのが事実でしょうね。むしろうちで取り扱わさせてもらってるようなサイトの方が全体で言えば少数派だと思います。これは質を全く考慮しない数の上での話。

 ただ「ハック」では、というか私が聴く時には、声優系のラジオだから、またはアニラジだから聴き方を変える、といったようなことはしてないです。おもしろきゃ取り上げる、つまんなけりゃ流して次を待つ、そんだけのこと。

 ですので、声優ラジオならでは、もしくはアニラジならでは、の評価基準を求める場合、「ハック」は残念ながらその情報を欲している層の要求には応えられないと思います。そうゆう意味でも、どっかうちの弱点を補完してくれるようなサイトとか人とかがもっと増えるといいんですけどね。ま、この辺は気長に次が出てくることを待つことにしませう。

 という訳で。こっからが本題。読者さんのメールでもアニラジが声優が云々よりもむしろこっちの方に危機感を覚えておりました。今回のキーワード、これ。

 「マネゴト」。

 純粋に「モノマネ」な印象を強く感じてしまう、ということなんでしょうな。なんでダウンロードに時間とお金かけてサルマネ聴かなならんねん、だったらタダで聴けるAMFM聴いた方がいいじゃねぇかと。

 うん。確かに。

 実はこの点に関しては結論はもう出てるんですよ。

 「面白きゃ聴かれる。つまんなきゃ見捨てられる。」

 こんだけのこと。インターネットラジオが今後も「既存のモノマネ」レベルから抜けきれないのであれば、聞き手にソッポ向かれて廃れるだけ。

 知ったこっちゃないよ。作り手がどう考えてようが。こっちは面白いの他にもいっぱいあんだから、わざわざつまんないのに付き合う気なんかないよ。つーのが純粋な「聞き手」からの感想なんですな。残酷なようですけど、これが現実だと思いますよ。エンターテイメントの宿命。

 ただ。ここに「作り手側の状況」を加味すると、必ずしもモノマネ番組って「絶対悪」ではないんです。ここが悩みどころでもあるんですが。これを書きたくてここまで引っ張りました。長いぞ、前振りが。

 その理由。まだまだインターネットラジオ、というか個人がラジオ番組を制作する、という行為そのものが黎明期なんですね。番組の質だけで勝負できる程に土壌が成熟していない。番組作るノウハウも作れる人間も絶対的に足りてないです。

 そんな状況でもなにかやってみたい、となった時に現実的でかつ有効なのが「サルマネ」なんですよ。消極的ですけど、マネをすることで身に付くってことは確実にあります。私がアニラジだろうと何だろうと作ることそのものに否定形を打てない理由ってここにあるんですよ。

 アニラジのような「OP→コーナー1→ドラマ→コーナー2→ED」という形はまさにお手本そのまんまなんです。ましてや地上派に目を向けてみれば、このお手本まんまの形でやってる番組の多いこと多いこと。(数字が取れるんだろうなぁ、単純に。何せ文化放送が衛星使ったデジタルラジオのメインコンテンツにアニラジを据える位ですから)そりゃあこれをマネするのも無理のないことだな、と。ある意味自然行為とも言えます。

 ほら、スキーとかでも今日初めてって人が山のてっぺんからチャンピオンコース滑ったところでケガするのがオチでしょ?ベタベタに型にそって番組を作ってみるのって、なだらかな丘でボーゲンの練習するのと、ある意味一緒なんですよ。

 ですので、これは今までの主張の繰り返しになるんですけど、アニラジだろうが身内話のだだ喋りだろうが、やってみたいと思うんだったらとりあえずやっちゃえよ、というのが私の回答になるんでしょうね。

 そうすればやってくる内にいろいろいじりたくなってくるから。シナリオ通りにやってみて「ん?ここは違うな」と思ったら変えてみる。「なんか違うー」と思うんならそこは棄てちゃう。こうゆう試行錯誤を繰り返していくことが、結果として各作り手のレベルを無意識の内に上げていく。そうゆうもんだと思います。

 その結果として、掴めるもの掴める人ってのは形式がどんなんであろうが自然と伸びていくでしょうし。何やろうが掴めない人も出るでしょうし。それらがカオスの如く交じり合って成長淘汰が突き進む、こうゆう形でインターネットラジオそのものの土壌も広がっていくんだろうな。現時点では私はそうゆう読みをしていますです。

(極端なことを言ってしまえば私、もしインターネットラジオそのものが消滅したとしても、それはそれでありだと思ってます。消滅することをリスナー、というかユーザが望んだってことなんですから。)

 さて、ここまでお読みになった方の中にはこんな反論を思い描いている方もいらっしゃるのではなでしょか。

「じゃあ、今のリスナーはつまんないサルマネをガマンして聴けってことなのかよ」

 これに対しては明確な返答がひとつある。

「じゃあ聴かなきゃいいじゃん」

 これでいいんだと思いますよ。実際「ハック」もこのやりかたですよね。面白いモンに対してのみレスポンスすることで、つまんないモンに無言のプレッシャーを与えてる形。

 ただこれ、どっちかというか後ろ向きというか消極的な理由ですよね。ですのでもういっこ。

「放っておいても勝負しなきゃいけない時はやってくるよ」

 今はまだインターネットラジオも含めてストリーミングという形態そのものが「嵐の前の静けさ」の状態なんだと思います。今後高速回線網が普及し(まぁ早くても来年〜再来年位からなんだろうな)、企業も個人も安価で己の出したい情報、もちろん商売も含めて自由に出せるとなれば。絶対に量は倍々ゲームで増えます。もうこれは絶対確実本命単勝130円なの。なんじゃそれは。

 そして、数が増え、ストリーミングという形態を望むユーザが増えれば、作り手の作ったモノは、その意図とは完全に無関係に評価の場に引きずり込まれますから。「ここ面白い」「つまんねぇよこれ」「ぜひ続けてくれ」「とっとと消えろバカ」その他ありとあらゆる賛美賞賛罵詈雑言が作り手に浴びせられる時が必ずやってきます。今のWebがそうであるようにね。

 ですので、作り手さんは嵐が始まる今の内に、晒されても耐えられるだけのスキルを身に付けておかなきゃいけないでしょう。それができるかできないかが今後生き延びるかの分岐点になるような気がするな。

 一方、聞き手の場合は。今から面白いなら面白い、つまんないならつまんない、この正直な感想を素直に作り手に投げる、メールや掲示板とかで作り手に伝える、ってことが結果的には作り手を鍛え上げていくんだと思いますな。

 馴れ合いという意味ではなく、いい緊張感を持続しつつ作り手と聞き手の間で切磋琢磨する、こんな感じで動ければ理想系ですな。絵に描いたモチになるかもしれんけど(笑)。

 まぁ理想も現実も全部ひっくるめて今の内にやれることやっとけってことでまとめにしておきましょうかね。


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