あの作戦。リベンジ。


 えっと、去年の秋位からかな。私がこの「ハック」とは別方面であーだこーだと動いていた事実は、ある程度のことは把握できてると思います。

 私の別サイト「Rock in my Pocket.」開始に、書き捨てにっきの公開開始。ま、ぶっちゃけた話、Palm絡みの動きですわーね。

 まぁ確かに、「私が暇だった」というこれ以上無く単純な理由もあったんだけど。ちょいと試してみたいことがありまして、地下地上を問わずにごちゃごちゃとやってました。

 で、まぁ一段落ついたというか、ちょいと落ち着きましたので、ここらで正式にレポートとしてまとめてみたいと思います。まぁレポートとは言ってもいつものようにだらだらと書き散らすのは一緒なのですが、今回かなり濃度的には高いと思いますので、いろいろと詮索しながら読み進めてください。

 名付けて「大河の一滴作戦 Part2」。

 あい、なんとでも言ってください(笑)。


1.初動

 便乗サイト泣かせの猫の目サイトくりらじが、またもや番組改変を行うというニュースを聞きつけ、その時の番組を聞いてたときのこと。

 番組で「何か新しいジャンルを取り上げたい」「できれば対象は小人数であっても、その対象にコアな情報を出せるものを」といった話を聞いてちと考えました。

 「これ、使えないかな・・・?」手元に持っているPalm互換機・Visorを眺めながら思案します。

 去年(2000年)はことコンピュータ業界にとってはモバイル一色の年でした。デスクトップ系パソコンが価格も下がってるのに売上も下がるというスパイラル状態に陥っていた一方で、ノートパソコンやPDAが押せ押せドンドンで急成長。

 中でもPDAは元々低価格だった上に、従来のシャープ独占体制に対してPalmが急上昇、ソニー・HandSpring・TRG等の新規勢力もあいまって、これまでにない(今を思えば過熱的な)盛り上がり方をしてたんですな。私もそれに乗りまくってVisor買ったクチですが。

 そんな状況下・・・いつの間にか頭の中で繰り返されるシミュレーション。

 これのどこがシミュレーションだ>俺。

 とにもかくにも興味と不安を同時に抱きつつ、くりらじ宛に企画書まがいにこのネタを振ってみたのです。

2.開始

 あっさり過ぎる位に番組案は採用。かくしてくりらじにPalm専門番組「Palmでぽろっと」が配信開始しました。

 メンバーはPalm中上級者2名(BJ+ころん)とPalm初心者2名(はんす+Dr.K)、の4氏。全員が既にPalm所有済み。バランスとしては妥当なラインか。番組内容も「前半はその週にあったニュース等の紹介、後半は特集」というノーマルな構成。

 特に初期の場合は、話云々以前に「自分達の存在を覚えてもらうこと」が至上命題だけに、このノーマルさは却ってプラスに働くかもなぁ、と思いつつこちらも行動開始しました。

 まずはかねてから「ヒマだったらやりたいなぁ」という欲求は持っていたPalm専門のWebサイト「Rock...」の開始を実行に移しました(この頃はそれこそ雨後のタケノコが如く新規サイトが乱立してたので、はなから「自分がよけりゃいーや」的怠惰な取り組みですが)。その上で「自分のサイト立ち上げました」というご挨拶を隠れミノに、ネタ振りとしてPalmぽろの宣伝をやってみたんです。

 これもある意味鉄板ガチガチな宣伝方法であるのには疑いのないところ。野球サイトの宣伝をラーメンサイトでやるやつなんざいねーよってことで。郷に居れば郷に従え。

 くりらじはくりらじで独自に宣伝活動は行っているとのことだったので、そのルートとは別に複数の大手サイトの管理者さんにメールを投げてみたんです。一度情報の流れに乗ってしまえば、あとはこっちがあーだこーだしなくても広まっていくだろう。種だけ蒔いておけば、誰かが飛びついくれるだろう。

 そう思ってたのですが。甘かったですね。

 反応皆無。

 頭抱えるワタクシ。と同時に己のプレゼンテーション能力の欠如振りを改めて思い知らされるワタクシ。

 その後「そりゃあ反応無いわ」と納得できる要素がいくつもあるのが判明したので、今では笑って話せることなんですが、当時は「うわーヤベェよしょっぺぇよどーしよマジで」と困り果てましたよホントに。

 訪問販売とかが来ると問答無用で追い返してる人間に、「じゃあテメェやってみろ」と訪問販売やらされて、一日後に泣いて逃げる営業の新人のような気分でしたね。どんな気分だ。

 でもねぇ。やっぱこれで身を持って知りましたよ。インターネットラジオに限った話じゃなく「自分達が認知される」「信用される」ようになるまでには、自分達が思う以上に果てしない時間を必要としますね。そりゃぽっとでの一見さんが訪問販売やっても追い返される理由わかるわ。そりゃそうだよなぁ、FM-MONDAY CLUBにせよRadio13にせよ、あんだけ長い間やって、それでやっと今の信頼ってのがあるんだもんなぁ。あ、なんか私らしくないぞこうゆう感想。

 まぁ実際にはまったくの無反応ということでもなく、いくつかのニュース系サイトさんとかが紹介してくれたので、それを慰みの材料にしつつ、次の手にも着手することにしました。

 先のメール宣伝が結構派手な部類に属するのに対して、こっちは極めて地味。

 「Rock in my Pocket.」のTOPページで毎週Palmぽろをネタにする。以上。うわー地味ー。

 毎週、番組がアップされたらそれ聞いて、要約と感想を載せる。これだけの行動でどれだけの人がくりらじのサイトに飛んでくれるか、番組を聞いてくれるか、最終的にはその人がくりらじそのものに興味を持ってくれるか、というのを見極めてみたかったんですね。

 正直な話、こっちの方は「一人ヒットがあれば勝ち」的に考えてました。大海のド真ん中で釣り糸一本だけ垂らして待ち続けるようなもんです。量じゃなくて質の勝負だぞと。常に「量じゃねぇぞ、質だぞ」と言い続けてた意地というのもあるのかもしれません。

(これも今だから言えるけど、この行動に関しては批判の声もありました。「えこヒイキするな。公正にやれ」てな感じで。無視したけどね。つーか「ハック」の どこが公正だってんだ、どこ見てんだよテメェ(笑))

 そんなことをしながら、Palmぽろの推移を見守ってました。番組内で「○○さんからメール来た〜」という反応にちょっと安心しつつ。

3.初中期

 番組開始から1ヵ月半を過ぎた当たり。パーソナリティにいいだ氏(Palmは買いたてだが知識経験はIT定点観測で実証済み)が加わり5人体制に。着々とアクセス数も伸びているようで、少なくとも「誰にも知られないままひっそりと消える」という最悪の事態だけは回避できた模様。胸をなで下ろすワタクシ。ほっ。

 なんだかんだで少しずつだけど、知名度そのものは上がり始めてると言えるのかな。まだまだ全般的にはインターネットラジオそのものの認知度が一向に上がらない状況を考えれば、上出来なのかも。

 こっちの方の成果は・・・どうなんだろうなぁ?ちょっと見えてない感じ。メールとかで「くりらじも聞きましたよ」的なレスポンスもちらほらと届いてるけど、まだPalmリンクの延長上としてのリンク移動、といった趣が強いかな。まぁこの辺は気長に待たなきゃな。待ち続けるしかなし(あと「Rock...」に関しては私の個人的事情により、現在でも純粋なPalmのファンよりもザウルス等の他PDAファンの方に読まれてたということもあり、ファンの動向を探るにはちょいと難しかったという事情もありました)。つかみきれてるのか、つかみきれてないのか、イマイチ尺度を計りかねてる状態がしばし続いてました。

 この辺が新しい番組作る時の最初のヤマとも言っていい頃ですよね。作り始めは勢いだけで進められる側面があるからそれほど迷わないんだけど。始まって、ある程度時期が経ってやっと周りを見渡せるようになり始めるのがこの時期なんで。

 ただ、立ち上がりから1ヵ月聞いてて、純粋にリスナー的立場で思ったことはある。つーか確信に近いかも。

 「単にニュース読んで終わりだったら、そりゃ誰も聞かねぇよ。」

 という、ある意味当たり前の事実。

 各回の前半を聞き比べてみるとわかるんですけど、単にこんなことがありました、あんなことがありました的な事を羅列してるだけだと、間違いなく耳離れ起こします。

 ただでさえ今の世の中、どのジャンルでも速報的にニュースを流してるWebサイトはいっくらでもある。ましてやその中で専門的番組をやろうとするならば、聴取対象は当然そうゆうニュースサイトは毎日チェックしてるような輩ばっかり。

 そんな中、単に事実の確認をしてるだけの番組なんて、わざわざ時間とトラフィック使って聴こうなんて思いません。重要なのは事実なんかよりも、そこから得られる感想。これを見て聴いて、じゃあ自分はどう思ったかを口にできる音声にできる能力!マニアックな番組を聞かせられるかの分岐点はここにあるぞ!

 ・・・・・的なことを、事務メールがてらくりらじメンバーに指摘。次第に1ソース当たりのコメント量が増えていきます。いい傾向(^_^;;;。

(・・・・・・とここまで書いた所で、じゃあこれを具体化してた番組ってどっかにあったかな・・・と考えた。そしたら。あったわ。現在は終了しちゃってますけど五村富士「サッカーってdo?」。それも番組そのものが試行錯誤してた前期・中期の頃。ニュース解説や初心者向きの事実説明なんてほんと必要最小限(下手したらそれすらなし)で、あとはひたすら好き勝手に選手やチームのことを喋り散らす。だけ。今を思うとね、この好き勝手さが思いの他耳当たりがいいんですよ。今を思うとすっと喋りが耳に入ってきたな。もちろん、これだけが専門的番組の判断基準だとは思わないけど、ひとつの指針となるには確かだと思うよ。)

4.中期

 くりらじから吉報。

「Palmぽろの聴取率がくりらじのTOPになりました〜!」
「現在のくりらじのエースですよ、この番組。」

 よっし(^_^)。とりあえずの短期目標は達成。一応これでいつぽしゃっても言い訳はできる。こらこら>俺。

 とは言え、やはりちょこちょこと問題点も出始めました。

 というのも、純粋にネタが尽き始めたと。一通りのハードやソフトの説明がほぼ一段落し、これ以上同じ視点から続けていても、同じ事を喋るだけで、リピーターから飽きられてしまう恐れがあると。

 Palmとかのある程度閉じた(枯れた)世界になってくると、日々流れるニュース量には限界はあるし、それでなくても毎日眺めていれば、ネタそのものに対する新鮮味も薄れ始める。この辺がジャンル特定させる弱みなのかも。

 長くかつ面白くという要素を考えた場合、「リスナーを飽きさせない」という視点が必要な一方で、「自分達が飽きない」というのも重要なファクターになってくるんだなぁというのを実感しました。

 これねぇ、言うの簡単だけどやるの難しいよ。だって私自身飽きっぽいでしょ。かと言って太く短くの短距離走燃え尽き型だと、リスナーに存在を知られる前に灰になっちゃうリスクがあるし。BJ氏が別番組の中で「相反するバランス感覚」と表現していましたけど、実はこれ、かなり的を得ていると思います。

 つー訳で、この辺は他の制作者さん(特にこれから始める人)もぜひ参考に。勢いで行くのもいいけど、その勢いはどこまで続くかを見極める冷静な判断力もどこかで身につけておきましょうね。100m走のスピードでフルマラソンは絶対に走れませんから。

 つー訳でまだぽしゃってもらうには早すぎるので、自分用のネタ帳からいくつかメール投げて助け船。もちっと頑張ってくれぃ。

 と、くりらじの方でも長所短所が見え始めていた頃。

 私の方にもようやくいくつかレスポンスが入ってきました。わーいわーい。

 「くりらじ聞いてまーす。ハックからいろんなページ飛んでいろんな番組も聞き始めましたー。こんなことやってたんですねー。」

 即刻首根っこひっ捕まえてメールインタビュー(別名:脅迫)開始。

 んでそのメールのやりとりの中でいくつか「あっ」と思える箇所とかがかなりありましたんで、その辺をちょいとかいつまんで。なお、文体はこちらで全面的に書き直してますのでご了承を。複数の方のメール内容をこっちが独断でごちゃまぜにしてるので、あくまで概要という認識を忘れずにね。文句は俺に言え。誰が出したか詮索するような野暮なことすんじゃねーぞ。

 まずは今回のサブテーマでもあった特定ジャンルの絞り込み云々。

「つい最近PUXPO2000(Palmのユーザグループ有志による合同の展示会兼オフ会、みたいなもの。2000年後期は一時期どのWeb見ても話題がこれ一色でした)とかも眺めてて、それで思ったんですけど。案外、こうゆうのを見たり聞いたりしたい人ってのは、過度の情報ってのは求めてないのではないでしょうか。こうゆう言い方って極端かもしれないんですけど、Palmの話さえしてれば(もしくは聞けたら)それだけで楽しい、というか。内容よりも雰囲気を楽しみたい、的なところがあると思います。」

「こうゆう特定のジャンルの番組の趣味嗜好って大きくふたつに分かれちゃうのでは?ひとつはもう徹底的に力量見せ付けてリスナーの上に立っていくか。または逆に徹底的にフレンドリーになってリスナーの共有感を前面に出すか、でしょう。どっちにせよ中途半端な状態ではリスナーの支持を得ることは難しいかもしれませんね。」

「もしこうゆう番組が、PalmのWebでの大御所さん(機長さんとかMuchyさんとか)の手によって始まったとしたら・・・あっという間に人気サイトになると思いますね。やはり『この人が喋るんなら聞いてみよう』的な動機ってのは大きいと思います。」

 さらに私の主目的であるインターネットラジオとしての認知度の向上としては。

「じゃあ私がこれを他人に薦めるかというと・・・ちょっと疑問かも。純粋に通信インフラの関係で聞けるかどうか微妙ってのもありますけど。それ以上にまだまだ『パソコンでラジオを聴く』という行為そのもののメリットが伝わってこないような気もします。」

「結局、『所詮は素人の真似事』と聴きもしないのに評価されてしまう側面があるんじゃないですかね?だからどっかから面白いよ、と口コミが流れたとしてもその先入観で流されてしまうがために、大きい波には乗りきれない。」

「例えば、今アスキーがラジ@やってますよね?やっぱ『人に聞かれたい』という目標を満たしたいのであれば、割り切ってこうゆう媒体にプロモーションかけるとかの行為も必要になるのではないでしょうか。口コミ云々の効果性もわからなくはないんですけど、そのためにはまず種もまかないと。芽が出ずに終わってしまうのもそれはそれで勿体ないですよね。」

「口コミ自体が戦略がどうこうとかでコントロールできるものではない以上、宣伝どうこうを考えてることに(制作者が思う以上には)あまり意義はないのかもしれません。古い言いまわしになるかもしれませんけど、王道なんてのは無いんだと思いますよ。面白ければ聴かれる、つまんなきゃ捨てられる、それだけのことなんだと思います。」

 うーーーーーーーーん。さすがハック読者兼真のリスナー。口挟めねぇ。つーか君らいつのまにそんなに成長してるかっ。いっそのこと、俺の代わりに書き散らしの原稿書いてくれっ。論点違う。

 まぁ実際のところ、これらの意見自体が正しいのか間違ってるのかなんて判断を私が下すことなんぞはできませんし。これらを「基準」を拾うのか捨てるのかの判断は、各制作者さんの制作ポリシー、ぶっちゃけた話各々の「好き嫌い」に委ねるしかないと思うんですが。

 かなりショッキングな言葉も並んでるんですけど、これらの言葉を受け止められるか、あるいはサラリとかわせるか、あるいは防御した上で逆にメッタ刺しにできるか、これができるかできないかで、「作り手」としての資質とかも問われてるような気もしますねぇ。なんかいろいろと考えさせられたな。

5.現在

 つー訳でこんな経緯を経て今に至る訳ですが。

 幸いなことに、これ書いてる現在でもPalmポロは続いております。飽きっぽいことでは有名なくりらじなのに(笑)。今これ書きながら聴いてる放送の中ではBJ氏が「ネタが無い〜」と絶叫しています。皆さん、ネタ恵んであげませう(^^;。

 なーんてのはともかく。じゃあ今回の行動で「ハック」的には何が得られたのかなぁ、てのを考えてみるんですが。

 まぁ少なくとも何もやらないよりは成果あったかなぁ、と。数的には一応少なからずくりらじに人の目も向けられたんでしょうし。今でもぽちぽちと各所で話題になったりもしてるでしょうし。「やらなきゃよかった」という結論にならずに、ホッとしてるのが正直なところ。

 でも。「ここら辺が限界なんだろうなぁ」てのもありましたね。はい。仮に費やせる時間や労力をすべて使いきったとしても、高は知れてるのかなぁ、と。ここら辺が便乗サイトとしては限界ぽいのかな、みたいなのもちと見えました。

 つーか存分に私の思ってる理想値が高すぎるんだろーな。私にとっての合格点ってのはあくまで「私一人が何言おうがお構いなしに情報が流れ続けるアンコントロール状態」になることですから。私がメガホン持って「おーいこんなのあるぞー」と叫んでるうちはまだまだですから。

 やっぱ人に伝えるってのは難しいですわーね。これがまた面白い訳でもある訳なんですが。

 でもご安心を。まだメガホン投げ捨てるには早いですから。少なくとも私は飽きてない。飽きたらすぐやめるけどそれまではやる。

 あとはまぁ「たとえ発芽率1%でも、種蒔くのやめたらそれまでなんだろーな」てのは思いましたです。やっぱり。前何百人に素通りされてもひょっとしたら次の人には絶賛されるのかもしれないしね。あきらめたらハイそれまーでーよーっと。古い。

 まぁそんな感じですか。どうしても人間短気だから日単位・月単位で結果を求めてしまいがちですけど、20年でこんだけやるとか、死ぬまでにこんだけやるてな感じで、長期的展望を持ってるだけでも、案外気楽に次行けると。

 こんなもんなんだと思います。ハイ。

 んではそんな感じで。あ、最後にくりらじさん、いろいろと無理言ってごめんねー。おかげでこんだけのモノ得られましたですー。ありがとー。


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