逃げろ。逃げさせろ。


 このネタ、どう考えても手軽に読めるネタにはなり得ないから、どうしようかな と思ってたんですけど、やっぱ書くことにします。自分の気持ちの整理も兼ねて。

 ちょっと前にもひとりごとで書いたんだけど、飛び降り自殺の現場を目撃しました。 ビルの窓越しから野次馬のように眺めただけなのですが、まだ警察が来る前でしたので 地面にうつ伏せで倒れてました。血が地面に飛び散ってました。

 50m以上は離れた場所からの目撃だから、まだこんな風に冷静に書いてるのだと 思います。もし間近で死体見たり、飛び降りる瞬間見たりしたら、それこそ こんな所で書くこともなかったでしょうね。

 私は飛び降りした人とは当然面識もありませんし、その人が何をしてたか、何を 悩んでたのかなんて知る由もありません。でもなんか見ててやるせなかったですね。 逃げ場所として死を選ぶしかなかった、という事に。

 私、逃げることってすごく重要だと思っています。場所的な意味でも、精神的な 意味でも、逃げ場所無しじゃそうそう人間なんて持たないと思います。 よく「退路を断つ覚悟で」とか「死ぬ気でぶつかれ」とか口癖のようにほざく 精神バカがいますけど、いっぺん本当にやってみろってんだ。常人は絶対精神 持たないぞ。 本当に逃げ場無い状態を知らないからそんな事簡単に口に出せるんだっつーの。

 今まで24年間、ぼけ〜っと生きてきましたけどよく考えたら「逃げる事をよし」 とする考え方って私の周りでは本当に聞きませんでしたね。ケンカでもそう、 勉強やスポーツでもそう。「逃げるな!」「あきらめるな!」「やればできる!」 何百回、何万回と聞いてきたことか。言う立場にすれば逃げること、あきらめる事は 最低最悪、悪以外の何者でもないんですね。 そりゃ大抵の事は案外あっさりとできてしまうもんなんだけど、 絶対にできない事もある、絶対にできない人もいるんだ、という事が 頭から抜け落ちてます。

 私の知り合いには登校拒否に陥ってしまった人や閉じこもり(外との生活を遮断して 自分の部屋に閉じこもってしまう状態の事)になってしまった人が何人かいます。 話を聞くとやはり、学校行きたくて泣きわめいてるのに親に殴られてムリヤリ 学校に押し込まれたり、自分の考えを真っ向から全否定されたり、といった話が ゴロゴロ出てきます。結局、本来逃げ場所になるはずの場所や人が逆にその人の 逃げ場所を踏みつぶしてしまってるんです。

 知り合いの一人がこんな事言ってました。「俺、逃げて本当によかったと思う。 逃げてなかったら自殺してたな。」妙に印象に残っています。

 自殺の話に戻りましょ。自殺って究極的な最後の逃げ場だと私は思ってます。 ただ、最近「最後の手段」じゃなくなってしまっているような気もしてます。 「最後の手段」じゃなくて「最短の手段」。手っ取り早く逃げられる。 他に逃げ場が無いから、唯一はっきりと見える手段を選んでしまう。 「最近の若者は安易に自殺を選ぶ」なんて説得力無い屁理屈こねるヤツは山ほど 居ますけど、違いますね。自殺するヤツの逃げ道を無意識のうちにふさいでるだけな んじゃないの?自殺なんて言葉だけで、単に周りの人間が無意識にやってる「殺人」 なんじゃないの?

 路頭に迷ってる当人達が逃げ場所を求めるのはしごく当然の本能。その本能を なんで第三者が踏みにじる?なんでそんな事ができる?人間、逃げなきゃいけない 時は逃げなきゃだめだよ。人間、そんなに強くないもん。

 最後に。ビルの屋上から自ら命を絶った名前も知らない方へ。心よりご冥福 申し上げます。それと・・・いろいろ考えさせて頂きました。どうもありがと。


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