1枚のCD−ROM


 思えば過ちを犯したのはあの時でした。とある月の給料が出た直後、ふらふらと買い物に出かけてしまったのです。

 始めは足りなかったフロッピーとか、持ってなかったサプライ品など、かわいい買い物でした。しかし、とある一軒のゲーム屋さんに入った時、私はとんでもないミスをしてしまったのです。普段は指さして笑って帰るだけの18禁コーナー。一角に「○周年記念特価!」などと書かれたワゴン。そこににいくつかの商品が山積みになっていました。

 「ふ〜ん、4000円か・・・。こうゆうのんの割には安いな・・・」(注:藤原はCDの値段3000円をすべての金銭感覚の基準にしているため、こうゆうボケを時々かまします)普通に買えば6000円近く。これだったら普段見て笑ってるだけのものが実際にモノを見て笑うことができる。案外使える(何に?)かもしれんし。ま、つまんなくてもはずれのCD1枚買ってしまったと思えば別に大したこっちゃねぇや。

 今思うとなんでこんな思考経路を辿ってしまったのか自分でもわかりません。が、その時たまたま小金を持っていた私は思わずその商品のひとつを手に取り、レジに向かい、お金を払ってしまったのです。

 そうゆう訳で、今私の手元にそのエロゲーのCD−ROMがあります。 その名も「放課後マニア倶楽部」。パソコン雑誌とかのベストセラーで 軒並みトップ3には入ってる、1997年のベストセラー作品です。

 で、ともかくやってはみたんですが、あまりのつまらなさにひっくり返りました。笑えないわ使えない(?)わ、おまけにやたらと難しいわ。という訳で今現在、総プレイ時間2時間足らずのまま、引き出しの奥でひっそりと眠り続けています。ちきしょ〜。金返せ〜!(笑)

 「こんなの夢中になってプレイするヤツなんかいるんか?」と思いインターネットで検索かけてみたら、ちゃんといるんですね。各キャラクターの攻略法から始まって各種ユーティリティツール、ファンクラブみたいなものから専用の掲示板といたせりつくせり。ひえぇ、やっぱり売れてるだけの事はあるんだぁ。私が悪ぅございました。所詮ドラクエシリーズもクリアできないような素人がこうゆうのに手を出してはいけないんですね。申し訳ありませんが私には感情移入できません。すいませんごめんなさいもうしません。

 は、何謝ってるんだオレ。まぁ実際私がつまんないと思った所で所詮負け犬の遠吠えですし、買った時点で私の負けです。現に欲しいと思う人が多いからこそこうやって売上伸ばしてる訳ですし、今更私が言う事なんかありません。

 そんなことよりも今私にとってはより現実的かつ深刻な問題が押し寄せています。今私の目の前にあるこのCD−ROM。これを今後どのように取り扱うか。大掃除をしながら頭を抱えてしまっています。

 20台も半ばの男の部屋にこんなもんのひとつやふたつ転がっていた所でどうってこともない、という声もあるでしょう。でもなんかイヤなんです。どうも煮え切らないんです。自分の部屋にこれがある事に。

 近所の中古屋に売ることも考えました。今時点で2500円で売れるんです、これ。結構高めです。給料直後と違ってサイフが寒い現在、この金額は魅力です。でも、阿呆な事に私はユーザー登録ハガキを部屋のどこかになくしてしまいました。ただでさえカオスと化している部屋でたった一枚のハガキを探し出すことなど不可能です。断念せざるを得ません。

 一般のゴミにまぎれて捨てることも考えました。でも心のどこかに「4000円出したのに」という余計な貧乏根性がしゃしゃり出てしまい未だ実行に移せません。仮に捨てたとしても、ゴミ収集車が来る前にどっかの近所のおばちゃんがこれを拾ったりしたらどうなるのでしょうか。「まぁ、藤原さんとこの息子、こんなものを!」と光速おばちゃん通信網に乗ってしまったら私はどうすればいいのでしょう。考えたくもありません。そんなん考えるあんたが阿呆だというツッコミは無用です。

 結局、売ることも捨てることも実行できず、いまだにこのCD−ROMは私の部屋でぽつんと置き去りにされています。

 さて、どうしましょう。このままじゃずるずると持ち続けてるのは目に見えています。いっその事誰かにあげちゃおうかね?とは言ってもただ知り合いにあげるのもなんかムカつくし。

 う〜ん。これ読んでるあなた。いります?


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