あなたがWebをやめる訳(前編)


 「あ〜あ、早く名古屋帰ってWeb見たいな〜」そんな事を 考えながら、寂しく最果ての地トヨタで作業していたときのこと。

 一本の電話がかかってきました。一緒に作業してたメンバーの 一人が電話取りました。

 「うん、うん・・・・え?そうなんだ?へ〜・・・なるほどねぇ」

 なんだなんだ。何の話なんだ。ねぇ一体何の電話なんです?

 「名古屋の事務所なんだけどね、ファイアーウォールが 強化されて、Web見られなくなったんだって。メールも使えなくなったって。」

 もしその場で聞いたのでしたら激怒モノのニュースだった のですが、いかんせん今はどうせWeb見られる環境にない、 しかも当分名古屋には帰れそうにないということで 比較的冷静に受け止めてました。自分勝手ですな、人間なんて。

 それはともかく詳しく話を聞いてみよう。何でこんな 決定下ったんでしょ?

「う〜ん、やっぱり外注さんにまでネットワークすべて開放する訳には いかないってことなんじゃないの?セキュリティの面考えると 現状では穴だらけだったじゃん、実際」

 ここで言う外注さんとは、我々派遣の人間のこと。どうやら 今回のWeb・メール規制は外注さんだけの話であって社内の人間 (つまり本来の社員)は関係ないらしい。う〜んセキュリティか。 やはりこの問題はつきまとうか。

 しかしなぁ、何がつらいってやっぱWeb上のドキュメント 見られないのがつらいっすよ。Webあるから今まで本買わずに すんだのに。

「それはこっちも同じだよ。正直かなり痛いよなぁ。」

 作業効率の点から言えば明らかにマイナスだと思うんですけど。 なんか時代に逆行してると思いません?

「ん〜。たしかに効率の面ではそうとも言えるんだろうけどね。 でもやっぱこれが普通なんだよ。」

 普通?ってことはウチ(今の派遣先のことね)が特殊って こと?

「だね、ネットワークつなげて、さらにそれ外部の人間にも 開放するなんて普通は考えられないからね。やっぱり外部の 人間に中触られるのって恐いと思うよ。」

 そんなもんですかやっぱ。現実はまだまだ厳しいのね。 しかしWeb見られないのは痛いなぁ。いっそのことPHS導入 検討しようかな。それだったら堂々とWeb見られるし。

「後ろ指さされたくなければそれが確実かもね。PHSの モバイル環境もかなり安くなってきたし。」

 この後はPHSの話題に移行したので省略。 インタビューにご協力ありがとうございました(笑)>某氏。

 さて、一時期は「会社で自由にWebを見られること」が 働くものにとっては大きな意味を持ちます。(こっから Web一本に絞って話を進めていきます)

 何?残業のときこっそりとエロ画像見られるから? 確かにそれを喜んでいるヤツもいるかもしれんが、 そんなもんより魅力的なのはやっぱり情報量なんですよ。 確かに多少信憑性に疑問があろうが、 欲しいのが英語ばっかりだとか、慣れないと検索が めんどくさいとかそうゆうのはあるかもしれないけど、 それを差し引いた上でも既存のあらゆる媒体を 陵駕してますから。
 パソコンひとつとネットワーク網につながる線さえあれば、 辞書も参考書も新聞もいらない。そりゃ誰だってこっち使うでしょ。

 だからこそ会社で働く中でわかっている人ほど、 「普通に使えるネットワーク環境」を求めましたし、 雇う側もそれに応じる形で環境を整備してきた。 かなり理想論入ってますけど、企業のネットワークへの 取り組み方ってこうゆう感じで発展していった と言えるのではないでしょうか。

 しかし、最近こうゆう動きは鈍化してます。それどころか 退行しつつあるのが実際のところ。うちの派遣先が Web禁止になったのもこの動きあってのものではないかと 推測してます。

 じゃあなぜ企業はWebを嫌うようになったのか?

 考えてみるに理由は3つ。順番に挙げていきましょう。

 もっとも単純で、かつおばかさんなのが「Webが作業効率を 上げる」ことそのものに疑問を持ち始めたから、というもの。 なぜおばかなのかというと、「せっかくWeb見れるように してやってんのにあいつらエロ画像ばっかり見てやがる。 禁止だ禁止!」ってなるからです。
 確かにこれ、言われると耳が痛いのは事実なんだな(笑)。 うちの「雑文付きリンク」のコンテンツも仕事中に 見つけたの多いし。
 でも「Web=仕事サボる」って思考回路は余りにも短絡的。 サボられる局面もあれば、逆にWebに救われる 可能性だってある訳で。諸刃の剣でしょ、言ってみれば。 隠れたメリットに目もくれず弱点だけをほじくりかえす この思考回路、イヤですね。という訳でこうゆう事抜かす 上司がいるような会社なんかとっとと辞めて安定だと 決め打ちしておきます。これ以上書いてもただの悪口雑言に なるのでここで打ち切り。

 次。ちょっと頭のいい会社になってくるとこうゆう理論が 浮上してきます。「必要な情報はイントラネットで提供 すればいいじゃないか。何も無差別にWeb見る必要もないでしょ。」 まぁ理にはかなってます。

 知ってる人がやれば2分かからず探し出す情報でも知らん人 だと1日かけてもダメなこともある。確かにそうゆう説もある。 だったら検索なんかさせる手間省いて情報は会社で提供して、 社員は作業に集中させよう、と。(だからプッシュメディアが 企業の情報インフラとして注目されてるんです)

 実際、今言ってるトヨタでもこの方式みたいですね。外部には 一切アクセスできませんが、特定のパソコンからだけは 社内イントラネットにアクセスできて、そこから必要な情報は 引っぱり出す方式になってます。

 確かに純粋に効率の面を考えればこれはいい方法なんですよ。 少なくとも私のような不良社員が「情報見られないじゃないか!」 って文句言えなくなりますしね。イントラネット内に使える コンテンツが揃っている、という前提での話ですが。

 ただやっぱりひっかかるのがちゃんと社内コンテンツを充実 させることができるのか、独自の 情報収集だけで「Web必要なし」なレベルまで内容を充実させる ことができるのか、という単純な不安。

 仮にこれが実現したとしても、別の不安も生じますね。 イントラネットの充実に走るあまりに、イントラネット信仰に 走りかねない、ってこと。本来情報なんてのは道具であって、 たいていの場合はそれは最終目的ではないってのがほとんど だと思うんですが、そこを勘違いして手段と目的が入れ替わって しまう可能性があるんです。

 言い方は悪いですが、インターネットの情報って「他人の フンドシで相撲取りまくれる」と思うんですよ。他人の おこぼれに預かって自分の利益にしていく訳ですから。 でもそれをやろうとすると全部自分でやらなきゃいけない。 負担もコストも予想以上にのしかかります。これに果たして 企業が耐えられるのか。この不安はどうしても残ります。

 だから「イントラネットが有益」とは認められますが、 「イントラネットあればインターネットはいらない」という 主張は大間違いだと思ってます。楽できる所は楽する、 そうでないところは頑張る。こうゆう柔軟性がもっと 必要だと思いますね。

 さて、この2つは情報って観点から考えてみたんですけど、 今回のもうひとつの主点、セキュリティに関して まだ何にも書いてませんね。前フリで散々あおってるのに。

 でもこれ書くとさらに文章長くなっちゃうんだ。 ていう訳で後編に続く。


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