いいかげんのメリット


 ホームページを作ろう!と決意してさぁ作り始めます。 ここで人間はふたつのタイプに分かれます。

 ひとつはできたものから後先考えずぽんぽんと公開して しまう人。そしてもうひとつは熟考して考えて完成形に なってから初めて公開する人。完璧主義者と言ってもいいでしょう。

 いきなり余談ですが、私は完全にできたものからとっとと 公開してしまう方です。「あ、こいつ考えずに作ってるな」 というのは文章のつたなさや誤字脱字の多さから容易に 想像できるかと思われます。すまんねいい加減で。

 このやり方のメリットはなんと言ってもフットワークの軽さです。 やっぱり早いんですね。ホームページの場合、更新の名のもとに いっくらでも差し替え、修正ができる。始めはしょぼくても 時間の経過と共に質も量も向上していく可能性があります。

 さて、一方の完璧主義者。じっくりと検討を重ね、十分な時間を かけて作成していく。納得が行くまで何回でも修正を加え、 自分が納得して始めて公開とあいなる、おそらくこんな感じなのでは ないでしょうか。

 時間はかかる分、このやり方がしっくりとはまった場合、できた ものの完成度は群を抜いていますね。場合によっては「これ ホームページにするなんてもったいない。本にしてもいいんじゃない?」 と思える位のものができあがることもある。

 こうやって比べてみると野球に似てるよね。かたやコンスタントに 打率を稼ぐ一番バッター、かたや破壊力十分のスラッガー。 どちらにも利点はある訳で、どっちを選ぶかは作る人それぞれ 違うんですね。

 と言いたい所なんですが。この辺がホームページという形態の特殊 な所なんでしょうか。この両者、致命的に違うものがあるんです。 ちょっとその辺を書き連ねてみようかと。

 ちょっとシュミレーションしてみましょう。

 非完璧主義者(この表現は適当なのだろうか)の場合。 中身無いしとってつけたページなんだけどとりあえず公開してしまいました。 始めはこの段階でも満足していましたが、次第に自分でも物足りなく なってきました。数少ないながらも見てくれる人達からもさりげなく 「更新しないの?」「もっと面白いの見せて〜」とプレッシャーが かかってきます。多少仕方なく、と思いつつもせっせこと更新を 繰り返していく内にいつの間にかまっとうなページができて しまいました。めでたしめでたし。

 一方、完璧主義者の場合。コンセプト、ページの構成から始まって 微にいり犀にいり徹底的に作り上げていきます。当然時間もかかります。 途中知り合いからも「まだできないのぉ?」等と催促なんかも 受けつつ、数週間以上かけてやっとこさ満足の行くものが完成しました。 公開します。作り込んだだけあってやはり評判は上々です。 けどやっぱり「これからもさらに面白いの期待してます」とか 「こここうゆう風なりません?」とか来ちゃったりします。 ここまで作り上げたのに?と疑問も抱きつつ更新作業を 続けるのでありました。めでたしめでたし・・・。

 これのどこがシュミレーションだふざけんなとか己の都合に合わせて 話作ってるだけじゃねぇかとか反論が頭の中でこだましてるのですが、 それは自分の中で無視します。こればっかりやな俺。

 まず言えるのが、完成させて公開する、という方法も確かにありなんだけど、 実際にはホームページの場合むしろ「更新して情報が反映されていく過程を公開 していく」事の方が読み手にとっては重要視されるんですよ。 同じ2ヶ月かけてページを作っていくにしても、2ヶ月こっそりと 作るのと、公開しながら直していくのとでは、周囲へのアピールの面でも 情報に対する保証を持たせるという意味でも印象は全然違うものに なりますから。

 本にせよその他の媒体にせよ、未完成のものを公開するなんてことは ありえません。差し替えができないですから。でもホームページの場合 これができちゃう。しかも周りからすれば、公開の早さってのが重要視 される。

 こう考えると、じっくり寝かして作り上げることのメリットって ホームページに限って言えば実はそんなにないんですよね。 どっちのやり方でやろうと同じにはなるんですけど、 その間の過程で大きな差が出てしまうんです。

 あと言えるのはやっぱりホームページって「更新されてなんぼ」 なんですよね。これは毎日更新しろとかという事ではなく、 常に中に書いてある内容が矛盾していないか、 古くなっていないかをメンテナンスしなければならないという事を 意味します。

 例えば読み物系などの「一回読んだらそれまでよ」というページ の場合(このページがいい例なんですけど)、常に新しい情報ってのを ホームページに反映させていかないと読みに来てくれる訳がありません。 しかも読む側にとっての時間の間隔は作り手が想像する以上に早い。 作る側が「2週間更新してないな」と思っていても読み手は「 2週間も更新してない」と判断してしまいます。根本的に時間の感覚が ずれてしまうんです。2週間どころか3日でもこの差は存在します。

 結局「人に見られなきゃ無いと一緒」ってこと なんですよ。公開前に徹夜してホームページ作成しようが、読み手に見えてないと それだけで「無い」と判断されてしまうんです。
 考えたら恐いですよ、これ。せっかく汗水たらして作ってても公開前に その情報自体が意味をなさなくなる可能性だってある。作ったものが 作ったと認められないまま闇に葬り去られるってことなんですから。

 この事が何を意味するか。結局ホームページの完成なんてものは ありえないんです。読み手がいる以上どんなページであれ、改良を 加えていかなければならない。情報が陳腐化しないよう入れ替えて いかなければならない。

 これが完全主義のやり方で進めていくと自分が完成させた時点で 「燃え尽きちゃう」んです。自分はこれが完成だ、と思って 一度アップしてそのまま終わってしまっても、読み手は そうは思っていません。どんなに始めは素晴らしいページであっても、 そのまま変わらなければ「過去のページ」として捨て去られてしまう のがオチなんです。

 速すぎるんですよ、この世界の時間の速度って。

 世の中に目を向けてみると、特に企業ページや団体のページ、 燃え尽きて朽ち果てたページ多過ぎ。始めの制作には何ヶ月と 時間かけるクセに一度公開したらはいそれまで。本人達は 「立派なホームページできた」と自己満足してるかもしれんけど、 そのまま放っておいた所で誰も見に行く訳ねぇだろ。 もしくは「なんだ、しょ〜もないページ」と一蹴されるのがオチ。

 始めよくても始めだけ、じゃ何にもならないんですよ。 こう見ると、完璧主義で作り上げるのってバカバカしく思えて きませんか?

 理想型なんてのはその時々で変化していくのがこの世界ですし、 いちいち大がかりにやってたら、体も持ちませんよ。始めは しょぼくてもいいからできたものから順次公開していく。 直したい所があったり追加したくなったらその都度フィードバック していく。こっちの方が絶対に楽だし、何より軌道修正が楽ですからね。

 最小の効果で最大の効果をあげる。楽して得できるんだから、 そりゃこっちの方がいいでしょ。違いますか?


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