ネスペの受難


 あ、ネスペってネットワークスペシャリスト試験のことね。 しかしネスペって略称、結構笑えるな、なかのよ。

 しかし。う〜ん、なんでこうゆう展開になってしまったんだろ。 それは半年に一度の恒例行事、会社上司との面談でした。

 面談といってもまぁ大抵の会社の場合は上司のお説教をありがたく 頂戴するってのが内容の80%を占めている訳で、 実際に面談という形が成立しているのか、かなり疑問なんですけど。 普通、上に向かって、かつ面と向かって堂々文句たれることができる 人間なんて希でしょうからねぇ。

 ま、そんなことはどうでもいいんですわ。例の如く、 普段の横柄な勤務態度(チッ、派遣先から報告受けたか)だとか 勉強会全部サボッて1回も出てない(貴重な睡眠時間である土曜 午前は死んでも譲れません)とか、一通りの 儀式を終わらせます。とりあえず「はいはい」と素直に 聞いておきます。ていうか耳痛かった。 直す気無いけどね(笑)。

 「さて、そろそろ終わりかな・・・」と出しておいたは いいが何一つメモ取ってない手帳をしまおうとした時の こと。面談の相手からこんな言葉が出てきました。

 「ところでさ、情報処理2種のことなんだけど・・・」

 う。

 ・・・その単語だけは出してもらいたくなかった。 他のことだったら、多少ムカつこうが、逆に心当たりあろうが 黙ってハイハイとうなずきますよ。不毛な議論で 残業時間引き伸ばす気なんかさらさらありませんから。 時間もったいないもん。

 「ぜひ、取ってくださいよ。」

 ま、まだ言うか。あんだけあからさまにその誘いから 逃げ回ってたのに、それでもまだ言ってくるか。
(注:ここでは散々文句たれてましたけど、会社の人間には 一言も言ってません。ま、要するにここだけのグチってやつです(笑))
どうやらいい加減ここらでぴしっと拒否しておかないと 後々まで響くな。仕方ない。

「あのぉ、私。」
「ん?」
「情報処理試験なんか取る気ないんですけど。あんなの 取っても時間と受験料のムダだと思うんですが。」
「ん〜、確かに人によってはそう思うかもしれないなぁ。」

 あら?意外とあっさり認めたな。

「じゃあ1種とかの上級試験とかは?」

 ・・・・・がくっ。

「同じです。情報処理試験そのものに存在価値認めて ませんので。」

 本来ならこれに続いて、いかに情報処理試験がタコな 代物であるかを述べていくはずでした。

 しかし、俺ここで致命的なミスをしてしまいました。 この後、こともあろうにこう口走っちゃったんですよ。

「まぁ百歩譲ってネットワークスペシャリストとかの特殊 系。まぁ価値無いってのでは2種と同類ですけど。」

 しまったなぁ。なんで俺こんな事言っちゃったんだろうなぁ。 オオカミの群れに羊と抱き合いながら飛び込んで心中するような もんじゃねぇか。

 口は災いの元。案の定、相手は獲物に食いついてきました。

「ん。いいですね。ネットワークスペシャリスト。 頑張って取ってくださいよ。」

 おいおい、もうその気でいるよ。

「うちの社でもネットワークスペシャリスト取ってる人 ひとりしかいないんですよ。」

 いや、それは別に悲しむことではないと思うぞ。 実際、業務に資格なんていらないし、あっても邪魔な だけだって。

「藤原さんももう2年目なんですし、ここらで 俺はできるぞってこと見せてくださいよ。」

 いや、違うな。「ネスペ取りました」 と威張るヤツも、それ聞いて「へ〜」と思うヤツも、 どっちもレベル低いと思うよ。2種に比べたら高いじゃん、 という声もあるかもしれんが、五十歩百歩。

「期待してます。さて、で今度の賞与の件なんですが・・」

 おいおい。もう決定事項になってるよ。冗談じゃ ないよ。誰が悲しゅうてあんなの取るために貴重な自由時間 割いて勉強しなきゃならん・・・ってもう話題変わってるよ。 もしもし〜。反論させてよ〜。

 う〜ん、やっぱり口下手の部類になるなぁ、俺。 時間もらって、こうゆう文章の形にさせてくれれば いっくらでも突っ込めるんですけど、即答を求められる 会話だと途端に言いたいことの1/10も言えなくなる。

 情報処理依存の教育・評価体制問いただすつもりが、 結局自分がその情報処理取るはめになってしまいました。 ミイラ取りがミイラになるとは正にこのこと。

 くすん。

 ただ、帰りの電車の中で考えてたんですけど、多分 反論しても相手にしてもらえない可能性高かったかなと思います。 個人の考えじゃなく、社の方針ってことで半ば強制的に 取らせてる感じですからね。多分微に入り細に入り 突っ込んだところで、最後は「そんだけ文句あるんだったら、 あんたには簡単だろ。だったら取ってから文句言いな」と 突っ返されるのがオチのような気がします。

 あと、何で情報処理試験にこだわるのかなぁ、とも 思ったのですが、どうやら「評価のための絶対的な基準」 ってのがどうしても欲しいみたいですね。 直接聞いた訳じゃないので、あくまで独断ですが。 案外図星のような気がします。 このソフトウェア業界、 「この人はここまでできる」という明確なモノサシが 存在しませんから、どうしても公平な判断基準ってのが 欲しくなる、と。IBMとかの巨大企業となれば独自に 教育カリキュラムとか社内試験とかやって しまうことも可能です。その存在是非は別として、少なくとも 上からの「平等な評価基準」には成り得るんですよ。

 でも、それを中小のソフトウェアがやるのはどう逆立ち したって無理。で、こうゆう外部の試験に頼ってるんでしょうな。 うちの会社の社員ってほとんどが私同様、開発用の派遣 やってる人間ですから、普段の仕事の実力なんてわかりようが ない。こうゆう会社事情も拍車をかけているのでしょう。 でもよりによってなぜ情報処理試験なんでしょ。 単に近視眼なだけなのかな。

 そういえば、前に会社の掲示板で「情報処理取得一覧」とか いう名前で、誰がどの資格取ったかってのをずら〜っと 並べて張り出してたな。大体半分位の社員が2種、 あとぽつぽつと1種とかが書いてありました。

 ちなみに私は当然空欄。でも私一応初級シスアドは持ってる んだけどね。この事は会社も知ってる、でも空欄。「?」と 思って紙の端っこ見ると何やら注意書きが。 「シスアドは簡単すぎることもあり、有意義とは言えないので 所得資格からは除外します」だって。あははは、シスアドが 簡単過ぎるのは同意するけど、だったらなぜ2種が有意義になるんだ(笑)。

 この意図は一体なんでしょ。全社員の空欄を埋めたいっていう 願望なのかな?それとも社内競争意識を煽るためにやったの かな?前者ならただの会社のエゴだし、後者でもこんなんに ビビッて勉強始めちゃう社員がバカなだけ。どっちにしても メリットなんか無いような気がするんだけどなぁ。

 あ、なんか脈絡のない話のつながりになってしまった。

 何はともあれ、日頃の行いのバチが当たったのか、 私がこのネスペ を受けるはめになってしまいました。とりあえず、なぜか家にある ネスペの参考書をぺらぺらと眺めてみます。 この本、厚いんだよな。しかも上下巻ときてる。 2歳児位までだったらこの本一冊で撲殺できるな。

 細かいところまでくるとさっぱりわからんが、それでも感覚的に 「あ、ここは覚えたところで全く役にたたなそうだな」って 箇所が随所に見られます。これ受験勉強と一緒だからなぁ。 好き嫌いに関わらない暗記勝負だし。

 あ〜あ、こんなんのために自由時間割かなきゃいけない のかぁ。バカみたい。

 自分のためならばまだしも、 「かいしゃのしょうらいのためにまじめにおべんきょう」なんて 絶対にできないからなぁ。俺の性格じゃ。

 あ、そうだ。いっその事、ネタついでの勉強にでもするか。より具体的に より理論的に情報処理試験がおまぬけな理由を指摘していって。 ついでだから「情報処理試験を批判する会」とか立ち上げて 通産省に抗議文提出して、「諸悪の根元、情報処理試験を 廃止しろ〜」ってハンストやって2日でダウンして病院に 運ばれる、と。

 それじゃそこらの三流圧力団体と何ら変わらんっつーの。 ってそれがオチか藤原。


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