壊れる瞬間


 しかしここまで負けるとは思ってませんでした、自民党。

 正直、私の予想って「自民議席減らすも61議席確保、 民社共産は議席増やすも決定打にはならず」ってやつで、 選挙速報見る前も「あ〜あ、今回もどうせ自民安定の つまんない選挙結果なんだろうなぁ」とある意味なめ きってました。

 ところが蓋開けてみたらどうよ。自民党負ける負ける。 始め議席60台難しいとか言われてたのが、時間の経過 と共に55、50と予想ラインが下がっていき、 最後は44でやんの。「ざまぁみろ!」と拍手喝采 すると共に「うへ〜、やっぱ庶民怒らせるといつか こうなるんだよなぁ」と思わせてくれました。

 だってさ、「自民あってナンボ」とまで言われてた 王国岐阜が議席ゼロ、議員の息子がシャブで捕まろうが、議員が 暴力団と付き合ってようが、何があっても選挙は 自民が勝ってた和歌山で惨敗。東京・大阪・愛知、 いずれも自民議席ゼロ。地元愛知に至っては 午前2時近くまで激戦繰り広げた挙げ句、現役開発庁長官 が共産新顔に負けるというすさまじいオチがつきましたからね。

 失礼かもしれんけど、めちゃめちゃ笑わせて頂きましたわ。

 やっぱ今回何が画期的って、一にも二にも「投票率」 だと思うんですよ。普段投票なんて目もくれない人が ムカつくがためにこぞって投票所に行った。 これだけでここまでの激震が走ってしまったんですから。

 はっきり言って私、こんなの想像もできませんでしたよ。

 選挙の次の日、私より数倍選挙事に詳しいヤツに いろいろと質問ぶつけてみたんですけど、やっぱり 「投票率が5%以上上がると、何年もかけてずっと積み上げてきた 『票の計算』が全部ブッ壊れる。今までそんなことは あり得ないという前提の基で計算も選挙運動もやってるから、 こんなに投票率上がっちゃうともう結果は神のみぞ知る状態 になってしまった。」なんだそうです。

 この後、散々ここに書けない悪口雑言を繰り返した後、 「やっぱ選挙は恐いね〜」という結論で電話を切った んですが。

 逆を言えば、今まで全然恐くなかったってことなんだろうな。 それが異常だったんだよ。

 翌日の毎日新聞の記事の片隅に「投票率を上げたらだめなんだ。 行きたくない人間を投票所に行かせたら自民党に入れるはず ないじゃないか(自民党幹部)」という大爆笑なコメントが 載っていましたが、これなんか今までのやり方ってのを 象徴してたと思うもん。

 例えば選挙活動と聞けば真っ先に浮かぶの組織票。期間中も 散々状況が載ってましたな。「○○候補は、着実に 地盤の××票分を確保」「△△候補、自民党支持層の7割に浸透」 とかって。

 なんでそんなのわかるんだよ。まだ投票も 始まってないのに、体勢が判明したような書き方してたじゃん。 で、今までその通りになっちゃってたんだもん。そら選挙 行く気無くなるわ。実際、選挙なんて一部の選挙マニアの 玩具でしかなかったんだし。

 でもなぁ、今回見事なまでに「どうせ変わらないって」という 固定概念、完膚なきまでに叩きのめしたでしょ。 実際、今回の組織票なんて何の意味も持たなかったじゃない?

 組織票のメッカ、ゼネコンとか農協とか郵便局とか、 ハンパじゃなくショックでかいだろうね。プライド ズタズタにされたようなもんでしょ。まぁそのまま 永遠に寝ててもらってもこっちは構わないんだけど。 まぁいいかそんなこた。

 こんだけ動きゃ古びた選挙のやり方なんか通用しなく なるに決まってるって。

 今回の結果眺めて、ただひたすら反省しております。 日本人がここまで動けるなんて思いもしませんでした。 な〜んも行動せず、このまま21世紀には日本ごと 沈んでいくんだと思ってました。

 すんません、なめてました。ぺこり。案外これだったら まだしばらくは日本も持つのかな、とそんな期待を 持たせてくれたのが今回の感想だったりします。 自民党が負けたとか、民主党勝ったとか、そんな次元の 低いレベルの話じゃなくてね。もっと根本的なところで。

 今回って投票率まだたったの58%なんだよね。 もしこれで意識改革進んで投票率80%とか なっちゃったら世の中どんな風に変わっちゃうんだろうか?

 やっぱ未来図なんて想像できない方が世の中楽しいのかも しれません。


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