イントラネットをつくりましょう


「ねぇ、このページのリンクつながってないよ」
「CGI動かないよ〜」
「この絵かっこわるいなぁ、書き直そうかな?」

 私が仕事してるすぐ側で、こんな会話が聞こえてきます。 なんか聞き慣れた単語だなぁ、何やってんだ?と会話に 聞き耳立てる私。

 どうやら今の派遣先の会社でイントラネットWebを作るみたい なんですな。

 今の派遣先、既に社外向けのホームページは存在してて、私も 見たことあるんですけど、例の如く「誰がこんなページ見るんだ」 なページで(以下略)。

 社外向けのページですらこうなんだから、どうせ社内向けも 似たようなケースになるんだろうなぁ。まぁいいかどうせ 完成させるのが目的で見ることなんか二の次なんだろうからなぁ。

 などとハナクソほじりながら傍観してたんですけど、 どうも当事者にしてみたらそんな安易なものではないらしくて。 オフィスが結構えらい騒ぎになってます。

 会話の節々聞いてるとJAVAだのNotesだのAcrobatだの、そんな単語が バンバン出てくる。おいおい、何を作る気なんだ? たかだか社内向けのイントラネットと違うんかい?

 週に一度とかのペースでお偉いさんがページ作成の進行状況を 覗きにやってきてる。
「ここはもっとシンプルな方がいいんじゃない?」
「だめだよ、もっと見る人を引き付けないと」
本当に解ってて言ってるのか疑わざるを得ないコメントが こだましてる。

 察するに、ハナクソほじってやるようなページ作成とはどうやら 訳が違うらしい。特に予算の面でね。たかだかイントラネット なのに失敗が絶対に許されない状況下になってしまってる訳。

 う〜ん、傍目で眺めてるだけのヤツがこうゆうのも何なんだけど。

 このやり方で作ったらまぁ最終的には失敗するんじゃないかな。

 ちょっと羅列してみましょか。

 今回のこのWeb、出てきた単語とか会話から察するに、要はドキュメント閲覧用の Webにしたいんでしょうね。Acrobatで標準化した文章をNotesで データベース化したものを、クライアントがCGIなりJAVAなりで 検索させて閲覧する、ってのだと思います。が。

 まず根本的に、力の入れどころ確実に間違えてます。 そもそもドキュメント載せるのにわざわざアプリケーションつぎ込んで、 自由度の少ない代物を作る必要があるのかどうか。

 大抵のドキュメントだったらプレーンテキスト、もしくはHTMLの表現力で 十分でしょ。プレゼンテーションする訳じゃないしね。 確かにAcrobatの表現力や統一性は魅力的なのかもしれないけど、 しょせんはAcrobatというアプリの中だけの世界だからね。 そこから一歩離れてしまうと標準でもなんでもないんだよな。

 本当に標準化したいんだったら何にも使わないのが一番な訳。

 そもそも「たかだかWebサーバ」に何十万もソフトウェア代とか つぎ込む必要なんてあるのかね?最低限情報上げてそれ検索して閲覧して、 程度のものだったらそこらに転がってるマシンにPC-UNIXでもブチこんで あとはフリーソフト群動かすだけでできちゃうと思うんだが。

 わざわざそれだけのためにWebサーバ用意して、WindowsNT入れて Notes入れてAcrobat入れて、JAVA環境開発環境買い込んできて。 ムダ使いもいいところだよな。 (NT使ってる、という時点で「あ、こりゃだめだな」と思ったのは秘密)

 あと、そもそもの設計思想ていうか、情報そのものの集まり方ってのも 実は疑問に思ってたりして。

 例えばNotes使うってことは、情報の閲覧だけでなく、情報の更新や新規作成 もNotesを通じてって事を意味すると思うんだけど。

 これ、うまく情報の集積と分散がうまくいけばいいんだろうけど、 まぁ企業の体質とか見ててそう行くとは思えないからなぁ。 うちの派遣先だけの話じゃなくてね。 どっかで誰かが集中管理しないとどっかでバランス崩しちゃう可能性 大きいんだ。情報上げるヤツが誰もいなくて、常にデータベース 空っぽとか、逆に情報好き勝手に上げるヤツばっかで、 見る方は何がなんだか訳わからなくなるとかね。 どっちに転んでも使い物にはならなくなる。

 この辺をどう考えてるだろうか、でしょうけどね。 「みんなで仲良く情報積み上げて仲良く共有しましょうね〜」 なんて甘ちゃんな考えだったらまず100%頓挫しますね。

 それがもっとも端的に現れてるのが、このWebページ、 社員の人が本来の業務と平行させて、仕事の空き時間に作ってるんです。 つまり、専任で作ってるんじゃなくて、「てきとーに社員に 作らせておけばいいや」程度の認識しかないってことなの。

 やっぱ会社のWeb作るんなら、社内向けだろうと、社外向けだろうと、 専任のスタッフがつかない限り、絶対にWebはWebとして機能 しません。両立なんてできっこねぇって。Webなめてもらっては困る。

 インターネットだろうがイントラネットだろうが、Webページ作るん だったら、絶対それ専用の スタッフを確保しなきゃダメ。兼任なんてもっての他。

 いっくらガワに凝って作った所で、結局見る側が注目するのは その中身だもん。スッカスカの看板ページなんか誰が見るかっての。 それを管理する人間ってのは絶対に必要。 こんなこと、ひとつの会社、その中のひとつの部署の中で、どれだけの量の 書類や伝言が社員の中で流通してるかってのを 考えてみれば簡単にわかるはずなんですけどね。ハンパじゃ ない情報量をWeb内に収める仕事量、どう考えても多すぎるでしょ。 片手間で片づけられる訳がない。 その辺の認識があまりにも無さ過ぎるような気がします。

 とまぁこんな感じでつらつら書いてみましたが、まぁ失敗したら失敗 したでそれはいいんちゃうかな?とは思ってます。 ほとんどの企業はまだまだしょーもないビジネス書のイントラネットモデル 図見てキャッキャ喜んでるのが実状だと思いますからね。 幼稚園児どころか胎児並でしょ。

 一度何でもいいから作ってみちゃえばいいのよ。万が一にも成功すれば それはそれでいいことなんだろうし、失敗したにしても「なんで失敗 したのか」考えるいい機会。口で言うより体で痛い目見た方が 後の為にはなりますからね、絶対。

 さぁて、うちの派遣先はどうなることやら。草葉の陰からしっかり 観察しようと思ってます。

 ヤな性格だな、おい。


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