ワープロ専用機再考論


 ちょっと前、正確にはまだWin95も発表されてなくて、 Win3.1かDOSが主流だった頃。よくこんな質問受けてました。

「ねぇねぇ、ワープロ欲しいんだけど、どんなのがいいかな? それとも奮発してパソコン買っちゃた方がいいかな?」

 これに対して私はこう答えていました。

「二択で迷ってるんだったパソコン買っちゃえば? ワープロ専用機はワープロしかできないけど、 パソコンは何でもできるんだし。」

 今を思うとようこんなこといけしゃあしゃあと言えたもんだな、 と思う訳ですが、当時としては「パソコン使ってる立場」としては 圧倒的な大多数の意見でした。そして、今も多数を占めることには 変わりないと思う、のですが。

 今回、ちとこの意見に反旗を翻したくなってきまして。

 パソコンが一応はビジネスの道具として普及し、今はもう 一言でワープロといえば、パソコンのワープロソフトを 指すようになってしまいました。ワープロ=ワープロ専用機、 という考え方はかなりの少数派になってしまいましたね。

 ま、当然といえば当然なんですよ。ワープロ専用機の 値段がぐんぐん上昇してた一方で、パソコンの値段は下がる一方。 ワープロ専用機もパソコンも値段いっしょ、下手すれば パソコンの方が安い、なんて起こるようになってしまった。

 そら値段一緒だったら、みんなパソコン買うわな。 当然の結果ながら、ワープロ専用機の需要は下がる一方。 「ワープロ専用機なんてその内消えるよねぇ」ってのが 大半のパソコン持ちが抱いていた感想だと思います。 私もそう考えてました。

 でも、また最近、状況って変わってきているような 気がしてきましたんですな、実は。

 先日、ふらふらと用も無く、エーデン坂下店で商品 眺めてたときのこと。「う〜ん、何回触ってもモバイル機の キーボードって打ちにくいなぁ。かといってノート買う金 なんか無いしなぁ」等と思ってると、ふとある コーナーに目が行きました。ワープロ専用機のコーナー。 パソコンコーナーの陰に隠れてひっそりと陳列されてました。

 へぇ。今でもちゃんと売ってるんだなぁ。 ・・・・・・意外と小さいんだな、今の専用機って。 専用機って聞くと何かと会社に転がってるバカ古なもの しかイメージしてなかったからなぁ。このキーボードサイズ だったら操作体系さえマッチすれば長文でも楽に打てるな。 えっと、値段・・・・・・あ、安い。最新型でも10万で十分おつり 返るじゃん。安いの探せばもっと値段下がるな。

 性能的には・・・・あ、やっぱりパソコンとのデータ連動 機能は確実にあるな。WORD形式変換は死んでも使わないけど、 普通のプレーンテキストにさえ落とせれば何の不自由も ないわね。

 う〜ん・・・・・・ベッドの上で寝っ転がりながら 雑文書けたらさぞかしラクやろなぁ・・・・・・欲しいなぁ(笑)。

 てな訳で、最近「小金余ったら欲しいな」リストに ワープロ専用機、入りました。いわゆるノートパソコン型の やつでベッドの脇にちょこんと置いておけるやつ。

 これ聞いて「へん、専用機なんか買うの?今更?」 と思った皆さんもいるでしょう。という訳で逆質問。

 みんなパソコンで何やるの?

 私の場合、ここ1、2年で言えば、まずパソコン使用時の70% 以上はエディターかメーラーが立ち上がってます。 残りの30%でWeb見たり、ゲームしたりと。 開発は基本的に会社でしかやらないことにしてるので、 家でやることなんてせいぜいこんなもんです。 だからK5-133という旧世代的な速度のマシンでも 十分満足できるというのもあるんですが。

 まぁそれはいいとして、文章作成に目的絞ってみましょうか。 文章が書ければそれでいいやろ、と考えた場合、 「ワープロソフト使って文章作らなきゃいけない理由」って 何なんでしょ。私も考えてみたんですけど、思い付かないんですな。 せいぜい年に一回年賀状作る時位で、あとはエディターに 頼りっぱなし。印刷するときもテキストファイルをそのまま 印刷ソフトに流して出すだけ。めったなことでは 書式だのレイアウトだの考慮することはありません。

 そんな状況で、「ワープロ欲しいなぁ」って人が わざわざ高い金出してパソコン買ってワープロソフト買ってなんて ことする必要もないなぁ、と思っちゃって。それよりは最小限 文章がパコパコ打てて、そこからパソコンに吸い込むなり 印刷するなりできちゃった方がラクだよなぁ、と。 そんな事を考えたりしています。

 で、基本的にワープロって家電じゃん。OSのハングアップも マシン性能も関係なし。電源入れたらすぐに書き出せる。 これって実はメリット高いんじゃないのかなぁ。 なんでもできる、ってのは時と場合によってはデメリットにも なっちゃうような気がするんだよね。

 あと、「うっぎゃ〜!2時間かけて作った文章消えたぁ!」 ワープロソフト日常的に使ってる人なら、誰しもこんな 経験、あるんじゃないですかね?安定性って意味で考えると 実はワープロ専用機ってパソコンなんかよりよっぽど安定してる んだよね。そりゃそうだわな、全部既に埋め込んでるから ユーザがいじる余地無いし、文章書くことしかできないんだから 複雑なことさせる必要もないし。

 「いろんな事できるけど時々落ちるパソコン+ワープロソフト」と、 「やりたいことできないことも多いけど落ちないワープロ専用機」。 後者の方がいいと思うんだけどなぁ。

 結局「何やりたいんか」ってことで最終的にはどっち選ぶか 決まるような気がします。これさえあれば・・・って欲出して 何にもやらずにほったらかしってパターン、余りにも 多すぎやしませんか?そのためだけにパソコン買って埃被らせる 位なら、安い専用機買った方が案外賢い選択なのかもしんないよ。

 今言ってるワープロ専用機の話だって、実はそんなに目新しい 話じゃないしね。パソコンが使いにくい、よく落ちる、何にも できない、そんな話が出てくる度に引き合いに出されるし。 (と、こう書いてる間にも中村正三郎氏がネタにしてるなぁ。 やっぱ簡潔にビシッと書いてるなぁ。うまいなぁ。)

 周りがどうとかそんなもん関係なく、自分がどの機種使えば もっとも無駄なく勝つようできるか、この辺考える だけでも、パソコン万能思想なんて簡単に壊れると思うんだけどね。

 パソコンは何でもできる、って所詮ただの幻想じゃない?


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