となりの人は


 かたっ、かたかたかた、かたかた。かかっ。
 ・・・・・・・・・じぃ・・・・・・。
 かたっ、かたかたか、かっかっかっ。

 ・・・・・・・・・・はっ!誰か後ろ通る!「ALT+TAB」! (Winの画面切替用キーボードショートカット)

 ・・・・・・・・・じぃ・・・・・・。

 ふぅ、今のは結構危なかったなぁ。

 勤務時間中の雑文書きは蜜の味です。禁じられた黄金の林檎。 だめだだめだと解っていても、体が、指が、勝手に文章を 織り始めてしまう。いやん、やめてやめて、いやんやめないで〜。

 アホか俺は。アホです。生きててすいません。

 そんなこたぁともかく。雑文書いている時にせよ、真面目に 仕事してる時にせよ、パソコンの画面を横や後ろから覗かれるのは あんまり気分のいいものではありませんな。

 自分が今なにやってるか、どれだけ進んでるのか、作業内容は 完璧にディスプレイに反映されてしまいますからね。 見られるとなんか集中力そがれちゃいます。要は慣れなんでしょう けど、未だに個人的にはヤです。

 こう思ってる方結構多いんじゃないかな、と思うんですけど、 よく海外のドキュメンタリーとかで出てくるオフィス環境ってのに 妙に憧れません?一人に与えられるスペースがバカみたいに 広くて、その机の周りも仕切りでがっちりガード、一人一人のスペースが 事実上個室になってるあれ。いいよね〜、あれ。欲しいよねぇ。 自称「閉所大好き症」な私としては多いに憧れてしまうんです。 仕事に集中するかよそ事に集中するかは別問題としてね。

 「あれうちでもやってやってやって」と駄々をこねた所で 日本のオフィス事情ではどう逆立ちしたって無理。 仕方なく収納人数を最優先させた、「机横並べ型」の配置に なっちゃう訳なのですが。

 私この机の配置、どうしても好きになれないんですよ。 理由。私の座ってる位置から、両隣に座っている人の画面は ちらっと目線を動かすだけで、いとも簡単に覗き込むことが できます。と同様に、両隣の人も視線動かすだけで、私の 画面を覗き見できる事も意味するんです。

 これイヤですよ、私。自分が何やってるときでもどうも監視 されているような、被害妄想といってしまえばそれまで なんですけど、どうもちくちくと周りに見られているような 印象を受けてしまいます。

 今の会社で一人当たりに与えられているスペースは 机0.8個分(大き目の机5個分を6人で使用)。距離にして人と 人との間が2m弱。前後の机の距離(=後ろの人との距離)が大体 2mって感じですか。某トヨタのオフィスとか 他にもいろいろなオフィス見てますけど、この数値、平均より 広めだと思います。それでも、実際には横のパソコンでも 覗けちゃうし、何するにも「横の人」を意識してしまう距離 なんですよね。

 実際には、ちょっと横に動いたら隣の人とごっつんこ、 背伸びしたら後の人の頭にごっつんこなんてのが ごろごろしてるのが日本のオフィス環境。周りの目を気にしないで すむ環境なんてのは、日本でリーマンやってる限りそうめったには お目にかかれないのが現実なんですよね。

 日本が狭いのは仕方がない。ドラえもんじゃあるまいし、 物理的に部屋広くしろなんてのは土台無理。仕方ないので どっか工夫して、少しでも快適な仕事の環境を・・・と 考えるのが普通なんですけど。

 どうもこの世界、そうゆう方向には向かってないような気が するんだよな。

 たとえば、上で挙げた私の「パソコン覗かれそうでイヤ」という 不満。こんなのスペースの間に仕切り挟むだけで解決するんですよね。 でも仕切りは無い、と。「なんで?」って聞いたら、
・部屋が狭く感じるし、実際机に物がおけなくなって不便。
・個人個人が隔離されるような感じで不評だった。
とのこと。前者はすんなり納得できるけど、なんだよ後者は。 隔離するために仕切り使うんだろが(笑)。

 で、この理由、言葉は濁してたけど、実際に働く社員の不満、 というよりは管理側の不満じゃないかな、と邪推してます。

 周りから見えなくなることをいいことに仕事しない輩は絶対に 存在しますからね、俺みたいに。でも仕切りがあるとそれを 発見しにくくなる。

 あと、周りから見られていることで自制心起こさせる、って 意味合いもあるんだろうな。実際、いつ見られてもおかしく ない場所で、そうソリティアもできんわな。 「怒られるのもイヤだし仕事しよ〜」って気にもなっちゃうしね、実際。

 で、もっとも大きいと思われるのが「人との距離が離れることによって 仕事の効率性が下がる」ってことなのかな?わかんないとき気軽に質問 できなくなるとか、仕事内容の指示が迅速に行なえなくなる、とか そうゆう意味、なんだろうか。

 この点に関しては真っ向から否定させてもらうけどね。自分の机が メインの作業場所になってるオフィスワーク の人は自分の場合と照らし合わせて考えてみて欲しいんですけど。

 1日8時間の労働時間の中で、「自席に座ったまま、業務の話をしている時間」 ってどれくらいありますかね?その仕事内容にもよるとは思いますが、 多くて半分の4時間位じゃないです?下手すりゃ1日誰とも話すことなく黙々と 仕事って日もあるでしょ。実際、私もそうゆう日ある。

 逆を言えば少なくとも4時間は純粋に作業をするための時間でしょ。 ここでいかに集中できるか、効率良くするかが、無駄な残業するか ガッツポーズで定時に帰るかの分かれ目でしょ。

 で、その本来の作業をするために、周りに人がぎゅんぎゅんに 詰まってる状態が、果して本当に「いい環境」なんですかね?

 人に話しかけられたら作業止めなきゃいけないし、雑談には 気取られるし、有象無象が右往左往だし。効率以前の 問題だと思うんだけどな。もちろん周りとわぁわぁ騒ぐのも 面白いけどね。でもそれとは切り離して考えるべきでしょ。

 こう考えてみると、人が狭いところでぎゅぅと押し込まれる メリットって、管理する側が一目でみんなを見渡せるから、 ってだけのような気もしてきたな。

 そういえば思い出した。どっかの工場のオフィスに 作業のために入ったときのこと。そのオフィスの部屋が すんごく広くて、その部屋でバドミントン位だったら 余裕でできそうなくらいだったの。で、そこで仕事するのは ほんの7、8人。「へぇ、贅沢だなぁ。 これだけの部屋にこんだけの人数だったら、 さぞかし広々と仕事できるんだろうなぁ」と思ったら とんでもない。部屋の片隅に机全部固めて、社員全員が そこで狭苦しそうに仕事してんの。部屋の真ん中は 景色ごまかすための観葉植物がちょこんと置いてありました。 思わずその場で爆笑。 おいおい、その広い部屋は何のためにあるんだよ。 本当に昼休みにバドミントンやってんのか?

 実際、中途半端に広くて、変に散らばるとかえって不安に なっちゃう、って心理もあるかもしれないなぁ。旅先の 大浴場で、たった一人で入ってるといつのまにか端っこに 寄っちゃうのと似てるんかもな。

 でも、やっぱ大浴場とオフィスは違うと思うな。 なんだかんだいっても広いことはデメリットをはるかに 凌ぐメリットあるもんね。

 だから、もしそうゆう不安とかじゃなくて 純粋に上司が「ここに机固めろ!」って命令してでのその机の 形にしてるんだったらその上司、どうしようもなく 無能だよ。「部下を管理する」という自分の仕事の 都合にしか目が行ってない証拠だと思うよ。

 今回出したこの例、しょせんは邪推だけど、まだまだこうゆう 考え方って世にはばかってんちゃうかな、と。そんな風に 考えたりもしてます。

 見える所で監視すりゃ悪いこたできねぇや、と 思ってるんですかね。甘いぜ。やる奴は誰が見張ってようと 悪事やらかすぜ。

 ・・・・・さてと。書けました、と。んじゃ仕事戻りますか。

 俺を監視してもムダだよん、と。ケケケ。


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