エゴイストの利益追求


 まぁびっくりしましたわ。佐藤工業のサッカー事業撤退に伴う、 横浜フリューゲルスの横浜マリノス合併。

 クラブチームの理想と現実を突きつけられたような感じで、 ある意味興味深く、ある意味感情的にニュースを眺めていたのですが。

 今回の報道の中で、大きく取り上げられてた人物がいましたね。 もうピンと来る方もいると思われますが、そうです。読売新聞社 社長、渡辺恒雄。通称ナベツネ。

 以前から「ナベツネV.S.川渕」といった感じでJと思いっきり ケンカしてた立場ですから、今回の騒動ですっかり注目を 浴びてました。

 で、この一連の報道見てて、結構「あっ」と思えるポイント があったんですよね。今更普通にJリーグがどうだの書いたところで 面白くなさそうなので、ちょっとナベツネの意見と対比させてつつ、 という形で並べてみようかと思うんですが。

 俺思うに、ナベツネの不安ってこの一言に集約できると思うんだよね。

 「企業名出せるのなら何億でも出す。今のやり方は 金をドブに放り捨ててるようなもんだ。」

 これ。ある意味不況にあえぐ親会社の魂の叫びだとは思うよ。 要は親会社が身銭切ってやるからには利益なり、宣伝なり、それなりの メリットが受けられなければならない。これは極めてまっとうな 意見だし、逆に企業側からすればこれくらいのことは絶対に 考えなきゃいけないのはよくわかるよ。

 で、私今までナベツネがこう叫ぶ度に「ケッ、どうせ新聞宣伝 したいだけで、どうせ根拠ないんだろバカが」と思ってたんですけど、 一応は理由あるんですね。知らなかった。

 これ、完全な知識じゃないんでもし間違って書いてたら教えて 欲しいんですけど、今の企業名を出さないやり方だと、企業会計の 中で費用(宣伝費)として計上することに激しい制限があるみたいです。 法律上でね。

 例えば20億使ったとして、企業名が表に出てると丸々20億円が 費用として償却できるのに対し、企業名が出てないと「じゃあ 宣伝費として認めるのは5憶までね」ってなっちゃう。 (注:この5億って数字は勝手にフジハラがつけました) つまりこの超過分ってのは企業が費用ではなく、負債として 抱え込まなきゃいけなくなる。負債は資本を確実に圧迫していく から利益面でも損失になってしまう割合が高い、と。

 合ってるかな、この説明。ドキドキ。

 言いたいことはわかります。今の制度上じゃ企業の金 食いつぶしてるだけのでくの棒じゃねぇかと。おまんまの 食い上げだと。だからとっとと企業のメリットになるように、 利益でも宣伝でも、何でもいいから何かおこぼれよこせ、 制度変えろと。

 ここまで踏まえた上で、藤原君、反論させて頂きますわ。

 今でこそ不況だし客来ねぇしで踏んだり蹴ったりなんだろうけど、 上の制度、別に去年今年だけの話じゃないでしょ。Jリーグ 発足時にはすでに今の制度ができあがってた訳(少なくとも 名称に関しては発足時から明確にこの方針だよね)。 だったらこの上の制約だって、とっくの昔に把握してなきゃ おかしいんじゃないのかね?もしくはこのデメリットを 上回るメリットがあるからJに参入したんじゃないの?

 実際、こうゆう声が上がり始めたのはJに客が入らなく なり始めた95年、96年位からだと思うんだけど。 初めから叫んでるならともかく、収入無くなってから 「デメリットだぁ!無くせぇ!」と叫んだところで 自分の判断ミス棚に上げてるだけと違うの?

 1年目、2年目の爆発的なブームに目が眩んで、 経営判断間違えただけのような気がするんだけどね。 現に本田技研のように「Jに入るのは経営的にマイナス」 と判断して話蹴ったって実例もあるじゃん。

 こうゆう条件ってむっちゃくちゃに絡まってこんがらがる からね。それをいかに冷静に判断するか、がそのまま企業の 実力なんじゃないの?不況やJリーグに責任なすり つけて自分は被害者ぶって。「私バカで〜す」と看板 ブラさげて街中裸で走りまわってるようなもんじゃないのかね?

 さて、話をナベツネに戻そうか。話をポイントポイントに 合わせると、ちゃんと頷ける部分もあるんよ。 「チーム数多過ぎ。半分でいい。」賛成。どう考えても 少ない利益の取り分さらに削ってるよ、今の状況は。 「今後もチームが無くなる可能性はある。」うん、潰れる。 今の景気ならあと2年で2チームは無くなっちゃうんじゃない?

 でもね、致命的にあんたの主張にズレがある。これらの 主張全部「Jを救うため」じゃなくて「読売が損しないため」 だけの理論なのよね。もっと言うなら「読売がJにのさばり続け、 かつ利益得るため」の理論。身勝手もいいところなのよ。

 例えば、今回に限らず「川崎J撤退?」みたいなことを吹聴して 回ってるじゃん。これ、端的に言ってしまえば取り引き、もしくは 脅しでしょ。

 俺ね、ホントに読売が利益追求したくてかつ、 今のJに満足できないんだったら、とっくの昔にJ脱退してるはず、 と踏んでるんだ。でなきゃ「脅す」メリットなんかないもんね。

 自分のやりたいようにやるんだったらJにこだわらないで、 JFLでも地域リーグにでも勝手に行って、正々堂々と「読売」 と名乗るはずなんよ。独自リーグぶちあげちゃってもいいしね。 やりたいようにやるんだったらそこから逃げちゃうのが一番 確実だし手っ取り早いでしょ。

 でも実際には脱退することも無いし(今のところ)、 普通に「川崎ヴェルディ」としてJに所属してる(今のところ)。 こんだけ文句言っておきながら、いまだJにいるってことは そんだけJにいること自体のメリットがあるんじゃないか、と。 で、そのメリットをさらにふんだくるため「だけ」に こうやって暴論ぶっかけてるだけなんじゃないかな、と。

 そんな邪推してしまうんですけどね。

 なぁナベツネ、お前本当はJのおこぼれ預かってるだけだろ? あんたの言ってる事って「もっと餌よこせ」と吠えてる狂犬と なんら変わらないぜ。

 利益追求、大いに結構。でもあんたの言ってる事って 結局真の利益追求じゃないよ。しんどい所だけ他人に背負わせて おいしいところだけ持っていく泥棒。

 本当なら「死んでしまえ!」とでも叫びたいところなんだけどね。 それはやめておくわ。少なくともこうやって問題提議してくれた 意義を認めるからね。

 ま、こいつのことはどうでもいいや。とりあえず、今は横浜フリューゲルスの 周りの状況が少しでも好転することを祈願させて頂きます。まる。


<補足:99/01/11>上の費用・負債の概念。やっぱり間違えてるみたいです(笑)。 御指摘&アドバイスを受けました。ありがと〜>某氏。

 負債は貸借対照表の費目、費用は損益計算書の費目となってしまう ため、ごっちゃにしても意味が無いんだそうです。費用増やすことで 負債の場合、単純に負債は負債としか見られない、ということなのね。 私もごっちゃになってた。

 だからこの場合、純粋に費用にガンガン計上させたいってのがナベツネの 言い分と考えた方がいいのかな。

 まぁでも読売新聞社もベルディ子会社に押しつけて、のうのうと 巨人で金稼ぐんですかね。またそうゆう事言うか>俺。


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