根性の限界。


 野球は終わった、サッカーはまだだけどテレビはろくすっぽ中継 してくれないし、てな訳で何気にバレーボールの世界選手権を 眺めていた11月の日曜日。

 何を今さら、っていわれそうなんだけど今のバレーボール、 リベロってルールがあるのね。1人だけ違うユニホームに身を包む、 守備専門のプレイヤー、リベロ。知らなかったですよ私。そっかぁ リベロかぁ。そういえばいたよな、バンバンビガロ。違うか。

 てなこたどうでもよく、面白いっすね、リベロ。今までバレーボール って完全に「でけぇやつが勝つ」という認識で頭凝り固まってましたから。 サーブにしろアタックにせよ、単なる打ち手の力勝負なんかじゃなく、 「アタッカーV.S.リベロ」のすさまじい駆け引きになってる。 見直しました、バレーボール。面白いじゃん。すまん、私が悪かった。 これ見た目は地味かもしれないけど、なかなかに成功してるんじゃ ないのでしょうか。

 で、なぜこんなことを思ってたかというと、その日見ていたのが 女子の日本×ブラジル戦だったんです。そう、日本がコテンパンに ぶちのめされたあの試合。

 まぁ、見事なまでに振り回されてましたね。 自称「鉄壁の守備」を嘲笑うがごとく、何度も選手と選手の 間にポトリ。フェイントもツーアタックも完全に作戦としてやってましたね。 日本の考えてることすべて看破されてる感じでした。 素人の私にでもわかるんだもん。詳しい人だったら「何やってんだよ〜」と 地団駄踏んでたのではないでしょうかね?

 この試合見てて、もう世界レベルでは高さとパワーだけでは話に ならないんだな、ってのが正直な感想でした。いかに相手の裏を突くか、 相手に本来のプレーをさせないかが勝負になってるんですね。

 とまぁこんなことを考えつつ、日本惨敗の様を眺めてた訳なんですが、 どうもこの流れについていけない、ついていく気もない人種ってのが 世の中には存在してるみたいでして。

 日本がたまらずタイムアウトを取ります。代表監督の葛和監督が なんか怒鳴り散らしてます。声援にかき消されて聞こえにくいですが 耳を傾けてみます。
「何やってんだお前ら!」
「どいつもこいつも!」
「遊びに来てるんじゃねぇんだ!」
「ちんたらやってんじゃねぇ!」
 本人はハッパかけるつもりで言ってるんでしょうけど、完全に 逆効果でしょうね、これ。見てるとタイムアウト中怒鳴ってるだけで 何一つ具体的な解決策示してなさそうだったもん。こうゆう人が 代表のコーチやってるってことは日本バレーの指導者レベルってとことん 地に落ちてんじゃない?ひょっとして大声コンテストで監督決めました?

 五万歩譲って怒鳴ることで選手の士気上がるとしましょ。 でもこれ、戦略的に考えてどうみてもマイナスだと思うんだけどな。 対戦相手のブラジル見てて思ったけど、相手はサーブでもアタックでも 時と状況に応じて力もスピードも完璧に打ち分けてました。つまり いくつもの攻撃パターンの中から打つ瞬間に判断できてるってことでしょ。 冷静な状況判断と余裕がなきゃ、いくらプロだってそうそうできないよ、 こんなこと。

 でも、怒鳴ることって確実に判断力も余裕も奪い取るよ。あれもこれも、じゃ なくて「こうしなきゃ」って思っちゃう。ひとつの型に押し込まれちゃうから 結局攻撃も守備も単調になる。特に試合の後半、選手個人もチームワークも ボロボロになっちゃってたけど、あれは完全に選手から余裕を無くさせた 指導者の失策。何も考えられなくなっちゃったんよ。 バレーボールってメンタル面で支えられる点多大にあるからね。 そんなんやってちゃいつまでたっても勝てないよ。

 でもまぁ私、監督とかに対してはそれほど悪意持ってません。 怒鳴るのやめるなり監督やめるなりすればいいだけの話だもんね。 所詮は結果が全てなんだし。

 そんなんよりももっと、よりはっきり「アホ!」と言い切らなきゃ いけない人間ってのが存在してる。

 ていうか相変わらずTBSのスポーツ中継ってレベル低くないです? 松下某の伝染病が社内に蔓延してるというか。

 あまりにも的外れな実況&解説に俺思わず笑っちゃったんだけど。
「う〜ん、相手のブロックなかなかうち破れません!!」
「そこをぶち破るんです!」
 おいおい。
「サーブレシーブ崩されてるぞ!!」
「気合いで拾いましょう!!」
 こらこら。
「監督怒ってますねぇ。気合い入れ直すんだ日本!!」
「そうそう、前は勝ってたんですからそれを思い出すんですよ!!」
 ちょっとちょっと、いいかげんにせぇ。
 本当だったら各語尾にもう20個位づつ「!」つけたいけど 読みづらくなるだけなので省略。

 2時間テレビ眺めてたけど本当にこいつらうるさい。 まぁいつものことだし、いまさらこやつらのレベルの低さ叩いたところで どうせ良くならないのは百も承知なんだけど。

 「まだまだこうゆう見方してる人がバレーボール取り囲んでるんだなぁ」 と思うと悲しくなりました。いくら頭の中で「もうパワーだけじゃダメ」 ってわかっていても感情がそれを受け入れてない。気合い入れれば 根性入れれば全部乗り越えられるとでも思ってる。根性至上論。

 こうゆう連中が「今の日本はダメだ」なんて言ってるうちは いつまでたってもレベル上がらないと思うぞ。頭の中が70年代の 黄金時代で化石化してる。今のバレー界のお偉いさんがそうゆう 考え方してるからこそ、「怒鳴り声だけが取り柄」な人が監督 やっちゃってると思うしね。テレビで映してる監督の姿も、 「怒鳴ってる=いい監督」というイメージで凝り固めてるから そうゆうシーンばかり多用するだけなんだと思いますよ。

 いいかげんさ、根性だけに頼るのやめたら?見てて情けなくなってくるぜ。 こんな根性バカと同じ日本人だと思われたくないわ。

 最後にこの葛和監督のブラジル戦後のコメント、紹介しておきます。

 「これが実力だとは思っていない。しかし、勝ちたいという気持ちが なぜか積極性につながっていかなかった」(朝日新聞より)

 そう、その通り。本当の実力じゃない。でもね、選手にそれだけの 実力しか「出させなかった」原因は、あんた達周りにあるんじゃないの? こんな環境でしかバレーできない選手が哀れだ。

 とりあえず全員、滝にでも打たれてじっくり考え直してこい。


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