とある勧誘電話。


 神聖なる土曜日のお昼は1時。当然ながら私は寝ている。 当たり前だ。せっかくの土曜日に朝から起きるなんて、そんな 身体に悪い事やる訳がない。ん?なんか間違ってる?

 まぁ要するに、真っ昼間の太陽が窓から降り注ぐ中、 ぐうぐうと寝息をたてていた訳なんですよ。

 プルルルルッ、プルルルルッ。

 ・・・んにゃ?電話。

 プルルルルッ、プルルルルッ。

 ・・・・眠いなぁ、取る気しないなぁ、起きたくないなぁ。 出なくていいよ、電話なんか。ほっとけほっとけ。

 プルルルルッ、プルルルルッ。

 ・・・・あきらめないなぁこいつ。普通20回も鳴らして出なかったら あきらめるだろうが。無視無視無視っ。

 プルルルルッ、プルルルルッ。

 ・・・・あ〜うるせぇ!出ればいいんだろ出れば!こうゆう時に 限って枕元に電話機あるんだもんなぁ。くそっ、せっかくの午後の快楽を。

 「もしもしぃ」普段より1オクターブは低い声で電話に出る私。

 「もしもし、藤原宏樹さんですか?」男性の声。聞き覚えなし。

 「はい、そうですが」こう言ってからしまったと思う私。 普段だったら「いえ、今いませんが」とかてきとーにはぐらかせた んだけど、何分寝起き。そこまで頭働きませんでした。

 「お休みのところ申し訳ございません。株式会社アクセルと 申しますが、藤原様にメッセージを預かっております。 よろしいですか?」

 あぁやっぱりそうだ。また例の勧誘だよ。アクセスだか アクセクだか知らんが、その会社の存在自体怪しいと 踏んだほうがいいんだろうなぁ。

 面倒くさいので電話のスピーカーONにして電話機をそこらに 放り投げ、頭から布団かぶります。案の定、男は一人で勝手に 喋りだしました。

 「今回、今後のビジネスネットワーク、それに対応する インターネット技術の発展のための貴重かつ優秀な人材を 勝手ながら当方でピックアップさせて頂きました。 それであなた様にお電話させて頂きました次第です。」

 嘘つけ。無差別に決まってるだろ。

 しかしインターネット・・・電話勧誘でこの単語聞くのは始めてだな。 男は更に喋りつづけます。

 「時代の変化にともない、今後インターネットビジネスの重要性は ますます大きなものとなり、この変化に対応できる人材を どこの企業も欲しているのが実情です。」

 逆だろ逆。企業はインターネット=エロの宝庫位の認識しかねぇって。 だから個人は企業逃げ出して己の実力で勝負し始めてんだよ。

 「そこで、我々の持つインターネットに対するスキルを提供 することで、技術を必要とする企業とのパートナーシップを・・・ すいません、聞いてらっしゃいますか?」

 さすがに相づちひとつ打たないと向こうも不安になるか。 「聞いてるよぉ」といかにもやる気のない返事を返します。

 「そうですか・・・それで今回お電話させて頂いたのは、 藤原様のより一層のスキルの向上、及びビジネスシーンに おけるリーダーシップスキルの向上を目的に、特別の セミナーをご用意致しました。」

 典型的なお誘いの方法だな、セミナーにひょいひょいでかけた 輩からウン十万単位の金をふんだくる、と。これ以上関わると ヤバいな。お遊びはここまでにしとこ。

「つきましては詳しい資料と申し込み用紙をお送りいたし」
「いりません。」
「・・・へ?」
「必要ありませんから。結構です。」

 ガチャン。失礼しましたのひとつも言わないで電話切りやがった。 バイトの教育なってないねぇ。論点が違うか。

 ったく、人の睡眠時間奪いやがってよ。まぁ、またひとつネタ できたからいっか。

 昔から電話勧誘のためのエサって、通信教育から健康食品から ネタは尽きませんけど、改めて「インターネット絡みの勧誘を 電話で行なう」図式ってのを考えてみると笑いが止まりませんな。

 アホちゃうかこいつ〜!ギャハハハ!!て感じで。

 もし、本当に高度なネットワーク技術とかをセミナーで用意 してたとしたら(ありえないけどね)、その需要発掘するため だったらまず間違い無くE-Mail使うに決まってんだろ。 メール日常的に使ってる人間程電話キライ、という大原則に 早く気付けや。

 知ってる者からすればこんな勧誘されたところで鼻で笑って 無視されるのがオチでしょう。もうちっと考えろよな。何を。

 どうせ住所・電話番号の元手は卒業生名簿とかだろうから、 電話かける方にとっちゃ「インターネットやってるやってない」 なんて分かる訳ないし。

 ってことはだ。仮に「うわ〜インターネットかぁ。前から 興味あったんだよな、よ〜し今まで散々役立たずだの 給料泥棒だの言われてたけどここらで見返してやるぞ〜!」 って人がいたとしても、そのセミナーで教える内容、 大体想像できるな。

 「はい皆さん、ここに本文を、宛先に送りたい相手の メールアドレスを書いて、送信してください〜。ほら、 もうこれで届くんですよ〜。E-Mailって便利ですね〜。」 この程度の内容で30万とか50万とか取るんでしょう。 悪いヤツってのはどこの世界にでもいるからね。

 でもねぇ、実際の話、今回のこの勧誘でも、何人か ひっかかってると思うんだよな。今回の場合、インターネットってのが その引き金になると思うんだけど、人間が持ってる弱み のツボを押されちゃうと、ずるずると引きずられるようにお金 払っちゃう。自分の自身の無さ、コンプレックスといったものが 思わずお金払う気持ちにさせちゃうんだろうな。だからこうやって 未だに電話勧誘ってのが健在な訳で。

 もちろん、こうゆう人の弱みにつけこんで大金騙し取るような バカは滅びてしまった方がいいんですけど、残念ながら 絶対になくならないからね、これからも。しっかり自衛 しないと、金払う方も払う方だ、みたくなっちゃうと思います。

 自分には何が必要か、不必要か、それちゃんと見極めようぜ。

 んじゃ、そうゆう訳で私は二度寝に入りま〜す。おやすみ。


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