筋違いのスマップ再評価
あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ・・・
全てが思うほど うまくはいかないみたいだ
このままどこまでも 日々は続いていくのかなぁ・・・
雲のない星空が マドのむこうにつづいてる
あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ・・・
夜空のむこうには もう明日が待っている
いい曲だよなぁ。スマップ「夜空ノムコウ」。スガシカオさん(作詞)、 あんた偉いよ。こんないい詩、さっくりと人にあげちゃうんだもんねぇ。
ファンの人からは「夜空ノムコウ」なんて1年前に発売されてる シングルやないかい何をいまさらぬかしとんねんコラ、という声も 聞こえてきそうですが、まぁそれはそれとして。
正直に言うわ。私スマップなめてました。なめてたという言葉には 語弊あるかもしれないけど、これまでに意識して避けていた、 決め付けてたってのは確実にあります。すまん。
やっぱり基本的に私にとってはアイドルって興味の対象外なんです。 男性女性を問わず、見ててもなんか中途半端、という印象を持ってます。 顔、容姿よくってもなんかピンとこないしなぁ。それよりはUA、Coccoと いった「魂持った歌声」に魅力感じます。ていうか Coccoに膝枕してもらいながら子守り歌でも歌われた日にゃ そのまま殺されても人生悔い無しだよねってそれただの煩悩。 その前にファンに殺されるぞ。
まぁそんな感じで(どんな感じだ)、「どうせアイドルなんてそんなもんだろ」的な 頭での決め付けがあって、今までほとんど自分から手を出す、なんて こたなかったんです。
でもまぁ、やられましたわ、「夜空ノムコウ」には。 年末年始テレビとかラジオとかで聴いてたら その内頭の中でループするようになっちゃって。しまいには シングル買っちゃいましたよ。
この曲調、この歌詞なものですから「なぜこの曲がバカ売れしたか」 みたく朝日新聞とかでも特集組んでました。「今の大人と呼ばれる世代 が抱えている弱さがこの曲に同調したのではないか」といった 無難な結論だったんですが、まぁこうゆう特集が出ること自体、 別に不思議なことじゃないです。
それよりも、私としては「スマップが歌ってる」ことの方が インパクトあるんですよね。
元々アイドルの出す曲ってたとえいい曲だったとしても 「あぁ、もったいないなぁ、他の人が歌えばもっとよかったのになぁ。」 こんな風に思ってたんです。せっかくいい曲なのに、よりによってこんな 下手なヤツが歌ってる、もったいないなぁ、と。
ところが、「夜空ノムコウ」に関してはそれが無いんです。 違和感なく耳に入る。確かに、歌の上手下手で言って しまえばお世辞にも上手いとは言えないよ。悪いけどね。
でも、その歌の下手さすら武器に変えちゃったような気がする んだよな。「夜空ノムコウ」の歌詞がよりリアルに聞こえてしまう。 聴いててすごく生々しいのよ。この感覚は今までのアイドルの歌い手 には出せなかったものじゃないのかな?
これ、スマップが単なる「曲もらって歌うだけの人」の殻を破って、 「歌い手」としてこの曲を自分のモノにできた、ってことの 証明なんじゃないですかね?
今回の私のように、「今までスマップなんか見向きもしなかった」けど 「夜空ノムコウ」だけは買ったという人、かなり多いと思うんよ。
で、それらの人の中に「アイドルだから・・・」というためらいの意識って ほとんどなかったんじゃないですかね?今までだったらこうゆう曲って 「曲は好き、歌ってる人はキライだけどガマンして買う」ってのが ほとんどだったような気がします。でも、それを感じないし、感じさせない。
これってすごいことなんじゃないかな、と思って。
元VIBRASTONEの近田春男は5年前、まだスマップが売り出されたばっかりの時、 既に彼等を絶賛していました。正直、私はその時、素直には 同意できなかったんです。「なんでこれがいいんだ?」と 首ひねってました。今回、この「夜空ノムコウ」でなんとなく だけけど、その疑問が氷解したような気がします。自分だけの 思い込みなのかもしれないけど。
昔ながらのアイドル像、なんてのは実はとっくの昔に崩壊してる のかもしれません。周りがあきらめてないだけで、ね。