「島」に飲まれて


 最近、毎朝会社に行くのが憂鬱です。あ、憂鬱なのはどうせ毎朝の ことなんですけど、憂鬱度が6%位上がってるというか。ハンパな数字使うな。

 あ、言っとくけど、社内イジメとかそんなんじゃないよ。 いじめることはあれども、私をいじめようなんざ100年早い。 仮にあったら、ネットワーク通じて全個人情報流してそいつの 人生ムチャクチャにしたるから安心せぇ。

 冗談でもこうゆう脅しとかを書くと自らも余波食らうので 言動には注意しましょう。もう遅いわ。

 憂鬱の原因。こないだ、派遣先での席替えがありまして、入社以来 約2年に渡って座ってた座席を離れちゃったんです。ぐっばいまいべすとぽじしょん。

 あ、笑ったな〜。「そんなことで」と笑ったな〜。 「たかが席替え位で大袈裟な」なんて言うな〜。なぜにいじめられっこ口調か俺。 つうか文体統一すれ。

 今までは良かったんよ。私の席は端っこの端っこのそのまた端っこで、 しかも人もそんなに多くなかったから快適広々とした空間スペース。 背後は壁だったから、後ろから画面覗かれるような心配もなく、コーディング だろうが雑文書きだろうが、周りを気にせず集中できました。

 それが今度の配置替えになったポジションはオフィスのまさにド真ん中。 前も横も後ろも人だらけ。360度パノラマ人景色。自分の画面は 通路からでも丸見えで、Netscapeなんて立ち上げようものなら30m先でも すぐわかる(そのためのテキストブラウザLynxだけど)。雑文書きに関しても同様で とてもじゃないけど仕事のフリしてよそ事なんざ常人の神経持ってる 限りは無理な環境(俺はやるけどな。俺に普通の神経を期待するのが無理)。

 今まで使ってたプリンタの変更だの、ネットワークの回線状態の変化だのと こっちでも変化あって、当分は仕事にも影響ありそうな感じです。

 で、何より痛いのが自分の席に電話がない。イコール昼休みにメールチェック が一切できなくなってしまった(モジュラーが盗めない)。これは大打撃。 社内規則無視してでも何か対策考えないと。ザウポケの携帯電話アダプタ買うか? いつまで使うかわからんマシンに1万強は痛いし。どうせだったらザウルスよか WorkPadに触手伸ばしたい気もするし・・・。あ、いつの間にか 対策が物欲に変化してる。

 そんな訳でこの環境変化のせいで、異常に体力消耗する毎日過ごしてます。 もっとも救いは今の席替えは短期スパンのもので、もうちょっと経ったら また変わるってこと。まぁそれまでの辛抱って感じで。

 でもね、住み慣れた環境(視界)が変わるってのはやっぱ大きいよ。 たかが目の前の風景が変わるだけで、ここまで精神的影響 あるとは正直思わなかったな。慣れるまで時間かかりそうな雰囲気です。

 で、今回の変化ではっきり認識したことなんですけど、やっぱ私って周りに 人がいるとそれだけでめげるタイプみたいです。よく考えたら受験の時も 図書館で勉強するの大嫌いだったしなぁ。何やるにせよ一人ぼっち でやった方が精神衛生上よさげな感じです。そっか、俺ってこうゆうタイプ だったのか。

 とは言っても、そんなこと愚痴ったところで「環境適応能力が 欠如してる」の一言で終わるのが現実なんだろうなぁ。「一人で仕事したい」 なんて言った日にゃ「じゃあ会社来ないでいいよ」と言われるのがオチ だと思う。

 さて、んじゃ恒例の愚痴ひとしきり終わったところで、 話を広げてみましょうか。

 前にも書いたんだけど、規模の大小に関わらず、オフィスにおける人員配置は 「いかに狭いオフィスにたくさんの人数を押し込めるか」が最大のテーマと なっています。したがって、机を横一列に並べて対面同士座らせる。これを1つの 「島」として、これを縦に並べてオフィスを机で埋める、という構図になります。

 入社3年で、一応それなりの数のオフィスを眺めていますが、この図式以外の 机の並べ方って見たことないね。それだけこの形式が(人数収容能力として) 合理的であると同時に、このやり方で凝り固まってる、ということを表わしてると 思います。

 ですがこのやり方って人数収容力以外の面においてはほんとに合理的 なんですかね?実際こうやって、オフィスのド真ん中で座ってると、疑問に 感じてしまってしょうがない。

 疑問点は大きくふたつ。ひとつは上にも書いた通り、「常に他人から自分が 視線に入る」ということ。まず、当然ながら、自分の座ってる島の対面に 座ってる人や斜めに座ってる人。横に座ってる人。さらにはその一つ向こうの 島から自分に向かって座ってる人。自分の後ろの島で自分と同方向に座ってる人。 さらには島の後ろや横は通路になっていますから、そこを通る人。 これらすべての場所から、自分は見られています。これ、ちょっと悪どい言い方を すれば、この配置をするだけで「相互監視」のシステムができあがることも 意味します。

 これが実務面、もしくは心理面で影響がないと言い切れる? 私と違って「意識しないよ」と言い切る人でも、何らかの影響は確実に受けてる (実質上のストレスか)と思うんだけどな。

 第二に、自分の作業が他人に及ぼす影響ね。一口に仕事つっても実際には 「一人でこつこつとやる作業」と「複数人で打ち合わせしながらやる作業」に 二分されるでしょ?大抵のオフィスではひとつの島には同じような仕事をする 人が固まるのがほとんどだと思うけど、それでも、個人の作業がみんな一緒とは 限らないわね。当然、ひとつの島の中でこの両者が混在するケースって 頻繁に起こるでしょ?

 誰だって「やっかましいなぁ、こちとら作業やってんだから 討論は向こうのテーブルでやってくれよ」とか「電話の声うっとおしいなぁ、 うるさいんだよまったく」とか思ったことあるんじゃない?

 こう考えると、この「島」単位の考え方、意外にデメリット抱えてるような 気がするよ。

 確かに「スペース」という絶対的な物理条件を抱えている以上、簡単に 「んじゃ島やめよう」なんて言えないのは重々承知の上。

 でもさ、こうやって視線の突き刺さる場所に座って仕事してるとさ、少なからず 「効率より人数、そして相互監視重視」の雰囲気、直感的に感じるよ。

 今となっては効率重視のベクトルが、少しずつ歪んできてるような印象、 ひしひしと感じるんだけどな。今必要なのは「デメリットがあるぞ」っつ 認識を持つことそのものなんじゃない?

 さて一本書けた。周りが人だらけでも案外書き切れるもんだな。

 んじゃおしごとおしごと。書いとったんかい。

<追記>

 雑文付きリンクでも紹介させてもらってる「think or die」の 「システム開発のエコロジー」というエッセイの中で机配置から見た作業及び 意思決定の効率に触れています。「島」ひとつ見てもいろいろ と深いもんがあるんだなぁ。こちらもぜひどうぞ。


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