NTTの腹の色。


 郵政省が2001年をメドに全国規模で電話料金の定額制を確立する、 という方針を先日発表してました。これが実現すれば、眠い目こすりつつ 11時まで待ち続ける生活ともおさらばできるぞ、とお喜びの方も 多いと思うんですけど。

 この辺のニュースはメールマガジンのWeb Catchが熱心に追跡 してくれてまして、おかげでだいたいの流れとしては把握できてるんですが、 個人的な考えとしては、「Web Catch」同様、これが実現できるか どうかは眉つばと踏んでます。つぅのも、 やっぱNTTが意地でもやりたくなさそうなんだよね、定額制を。

 過去の発言とか見てても完全な定額制というよりは「テレホとは違う 何らかの制限を加えた形での提供」の形でかわしてしまおうって雰囲気 読み取れるもんな。NTTは長期的計画でいろんなことやってるから、 安易にユーザに逃げられたくないとかいう気持ちもあるの かもしれんねぇ。

 とまぁこんなことを邪推しつつこの関連のニュースとか眺めてたん ですけど、そしたら素朴な疑問がいっこ起こっちゃった。

 仮に早い時期に定額制導入されちゃった、としましょ。そうなった 時に、既存プロバイダにアクセス耐えられる処理能力持ってるのかな?

 例えば、小さいプロバイダだと、テレホタイムは何回電話かけても 話し中でつながらないってことよくあるでしょ。今でさえこうなのに、 これで定額制になったらどうなるのか。

 一度つながったら料金関係ないんだから、もうつなぎっぱなしにする。 寝てようが仕事行ってようが関係なく、パソコン立ち上げっぱなし、 回線つなぎっぱなしにするのは目に見えてる。俺だったら絶対そうする (笑)。その一方で、何百回リダイアルしてもつながらないユーザが 現われる可能性あるよね。

 現に約3年前アメリカでAOLが大失敗したよね。 安価の定額制にしたらみんながつなぎっぱなしにしちゃって誰も つながらなくなっちゃって(しかもつながりにくいのを知ってるから 一度つながったら意地でも電話切らないという悪循環が発生する)、 暴動寸前まで発展したっつうあれ。結局アレは、 該当月分の会費を返金することと、定額制停止して従量制に切り替えたことで 乗り切ったんじゃなかったかな。

 これと同じようなことが定額制導入で起こりそうな気がするんですけどね? 現にプロバイダは既に定額制のところ多いし。案外プロバイダなんかは 「頑張ってNTTさん!」とか応援してたりして(笑)。NTTが定額と なると同時にプロバイダが従量制へと一斉に乗り換えるとか・・・ 十分ありえるな。

 こう考えてみるとプロバイダもきっつい商売だよなぁ。 回線数は増やさなきゃいけないわサーバの性能も 上げなきゃいけないわ基幹通信速度も上げなきゃいけないわ、しかも やらなきゃ客に逃げられる、となればもう設備増強の無間地獄だね 。今既に地獄という説もあるけど。

 もう既にちらほらとプロバイダ潰れちゃったなんて話も聞こえてくる ようになりましたし、あと数年したら体力ないところとかはかなり 危ないね。銀行同様、プロバイダ選びも慎重に。

 ちょっと話それましたな。話を定額制に戻す。

 私アメリカみたいな「市内どこにかけても定額制」みたいな制度は、 NTTは死んでもやらないんじゃないかなあ、などと勘ぐったりしています。 少なくとも5年、10年のスパンじゃありえないような気がしてきた。

 考えてみれば所詮(使ってるけどさ)テレホーダイなんて 電話番号2つしか登録できないニセ定額制でしょ? 利用時間だって限られてる訳だし。NTTは「最大限の努力をした」 とか言ってふんぞり返ってるけど、結局は従量制メインの 金稼ぎ方式に対する執着心かなり強いからってのが本心だと思うよ。

 使われれば使われただけ青天井で上がっていく売上高。そうそう簡単には 手放したかねぇわな。悪人の心理考えれば、これは当然のこと。

 で、なんだかんだ言ったって競争相手いないじゃん。NTT。 形式上は東京電話とかもあるけど、まだまだ競争と呼ぶにはちゃんちゃら おかしい状態(東京電話できたからエリアプラス、タイムプラスが できたじゃねぇかって反論もあるだろうけど、まだ本質の競争と言える ような段階じゃないよ)。それこそ東京以外の地区ではNTTが独占 してるのが実際のところなんだし。

 NTTの考え方って大体こんなもんじゃないろうか。

 そう遠くない将来にはネットワーク接続のためのメイン環境が 電話ではなくなる日がやってくる。だからその時まではできる だけ従来の電話で稼ぐだけ稼ぐ。ISDNで場をつなぐ。 それまでに研究開発と設備投資ガンガンやって時を待つ。 「切り札」出すのは他の会社が安い専用線とか出し始めて、ユーザが NTTから離れようとした時。満を持して前述の専用線より高性能低価格 を見せつけNTTにユーザを繋ぎ止める・・・。

 う〜ん、我ながら三文小説並の安っぽいシナリオだなぁ。 でもあながちこの程度のこと位しか考えてなさそうな気もする。

 まぁ逆を言えばNTTに危機感与える程にNTT以外のネットワーク 環境がガンガン成長してしまえば、従量制維持なんて呑気なことも 言ってられないような気がしますけどね。こうやって心置きなく NTTの悪口書けるのも案外あと1年2年のレベルかもしれません。 5年後にはNTT株が山一證券並に落ち込んでたりして。言い過ぎか。

 また都合のいいことに、もはや電話やISDNの速度・料金にガマンも 限界に達している、お金いっぱい使ってるコアなユーザ(個人・法人問わず) はごまんと存在します。ちょっとでも安くちょっとでも快適な環境が登場すれば 堰切ったようにNTTからユーザが逃げ出す可能性、大いにありえます。

 一見NTTの横綱相撲かと思いきや、思いっきり大波乱起こる可能性も あるんだよね。

 さ、はたして数年後、勢力分布はどのようになってるのでしょうか。

 いい意味でも悪い意味でも期待だ。


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