*架空雑文祭(仮称)非公式参加作品。衝動的に書いてしまいました。 下手すると気付かれずに終わるかもしれないな。そっちの方が面白い。昼下がりの街角で
とんでもないものを見てしまった。めずらしく陽も照ってるうちに 乗り込む地下鉄の中。要は早退したのだが。
「うひ〜。しんどい〜。とりあえず帰ったらゴハン食べて〜 風呂入ってメール読み書きしてからWeb見て・・・」と、本来の自堕落 極まりないクズモードに突入するための準備期間。
我がホームタウン高蔵寺に帰るためには、栄から地下鉄東山線に 乗る必要がある。その千種駅の改札口出口はホーム中央に乗るため、 必然的に栄からそのホーム中央の車両に乗り込むことが多い。
これは世の中の電車通勤者なら大抵やっていることであろう。行き帰りの 乗り込む車両の場所、座る駅を決めている人を。これを証明するが如く、 東山線栄駅のホーム中央も人でごった返していた。ここだけは 昼だろうが夜だろうが常時混雑している箇所である。
その日は私がホーム中央に辿り着くと同時に電車が入ってきたため、 待つことなく、人の波に飲み込まれつつも電車に乗り込むことができた。 むわ〜。電車に入ると同時に立ちこめる、湿気で充満されたあの不快な空気。
もう2年以上電車通勤やってるにも関わらず、いまだにこの空気は好きになれない。 好きになるのはなるで困りものなのだが。
普段だったらこの時点で「今ここで暴れたらさぞ楽しかろうなぁ・・」 などと危険なことを思いながら、千種駅にたどり着くのを待つのが 常である。
いつもならば。
電車に乗り込むと同時に、私の目はとある一点に釘付けになった。
私の前に女性が立っている。どうやら日本の方ではないらしい。 女性はやや私の立ち位置に対して若干斜めに位置するため、かろうじて お顔を拝見できる。彫りの深い顔立ちと青い瞳が物語っている。
これだけだったら別に珍しいことでもなんでもない。電車通勤していれば 毎日1度は外国人の姿をお目にかかることはできる。毎朝千種駅ですれ違う 白人の女性の方。同じく朝栄駅ですれ違う、ヒゲをはやした背の高い男の 人。バングラディッシュとかその辺なのだろうか。発想が貧困なので イメージ通りに捉えてしまうが。そういえば最近ほとんど見なくなったな、 テレカ売りのイラクの人。やっぱ不況なのかな。
そもそも学校行ってた時には中国・韓国・タイ・香港・台湾の留学生と 共に講義受けてその足でゴハン食べにいってた経験持ってるので、この辺の 免疫はかなり持っている方である。はずである。だから、今目の前にいる 女性が外国の方であろうと、別にここでとりたてて書くようなことでは ない、はずなのだ。
だが、実際にはその女性に釘付けになってしまっていた。内心ひっくり 返ってしまった。
去年、キャミソールなるものが流行したのは皆ご存じであろう。 あれは正直な話、見てて嬉しかったのも事実だが、目の前でキャミソール 姿の女性が現れると目のやり場に困ったのもまた事実である。
もしかしたら、今年はこうなってしまうのであろうか。
その女性もキャミソールを着ていた。背中越しにブラのラインがはっきりと 確認できる。だが、私の視線はそこにはない。さらにとんでもないところで 私の目は止まってしまっている。
スカートだ。スカートがメッシュだ。キャミソールのスカート版だ。 正式にはなんて言うか知らないのだが、とにかく透けているのだ。
な、なんだなんだなんだ。今年はこれが流行る、ってことで既にファッション業界は 手を打っているのか。知らないぞこんなの。何の予備意識もなしに こんなものを見せるな。嬉し、いや、びっくりするではないか。
女性は紺色の下着を付けてるので、なおさら目立ってよく見えてしまう。 おいおい、こんなのいきなり目の前で見せつけられてた日には、 私はどう反応すればいいのだ。
じっくり見てしまったらそれこそえろおやじそのものだし、かといってなぁ。 こんだけインパクトあるもん見せられると、なおさら気になってしまうではないか。
まぁおそらくは、テニスのスコートみたいなもんで、「見せて構わない下着」 だとは思うよ。でもね、勘違いしてもらっちゃ困るんだ。野郎にとっちゃ 「見せていい」「見せてよくない」の区別は関係ないんよ。下着は下着。
こんなあられもない服を来ていられるのはやはり外国の方だからなのか? 無条件に「アメリカ・ナンタラ州のカンタラヌーディストビーチ」の紹介 Webページが脳裏に浮かんでしまう。あまりに単純、私の脳味噌。
たかだか電車に乗っているだけなのに、顔を真っ赤にして目を泳がせている 藤原宏樹26歳独身CD中毒患者及びインターネット中毒患者。心臓に難あり。
「千種〜。千種〜。」
あ、ようやく駅に着いた。これでようやく緊張感から解放される。何の。
ドアが開くと同時に、人がどっとホームになだれ込む。私も降りる。 女性も降りる。あ、この人も中央線乗るのかな。
罠はここに待っていた。
千種駅から中央線に乗る場合、中央改札口を抜ける必要があるのだが、 この中央改札口にいくための階段がとても狭い。よって、電車を 降りてもしばらくラッシュ状態は続く。前の人後ろの人横の人に ぶつかってしまうこともしょっちゅうである。よけることもできず、 ただ注意しながら前に進むしかない。
私が歩く。女性がその目の前を歩く。
私が階段を上る。女性も階段を上る。
あわわわ。あわわわわわわわわわわ。
私の目の前にある。お尻が。スケスケの下着が。
ちょ、ちょっと待て。それはちょっと予想できなかったぞ。何なんだ このシチュエーションは。
こ、こら女性の人よ。歩くのはいいが、腰を左右に振るのはやめい 女性の人よ。こ、こ、こら後ろの人よ。急ぐのはわかるがさりげなく 背中を押して催促するのはやめろ後ろの人よ。
ぶつかるじゃないか。
後ろに反ることもできず、ただひたすら強制的に、目の前15cmで 展開されるお尻。これもまた外国の方の特徴なのだろうか。 右に左に、よくもまぁここまでとばかりに揺れる揺れる。
これはやはり男として喜ぶべきことなのか。
そんなことを考えている余裕はなかった。たかだか十数秒、たかだか 十何段の階段が、無限の距離、無限の時間に思えた。
女性が階段を上り終える。私も上り終える。女性は足早に改札口を 通り抜け、雑踏に消えた。
ぐったり疲れ、しばし足を止める私。半ば放心状態のまま、 JR改札口を抜け、地上のホームに出る。陽がまだ眩しい。
いいもん見せてもらいました。けど疲れました。心臓に悪いですこれ。 動悸起こしてます。まだ心臓万全じゃないんです。お願いしますよホント。
ところでひとつだけ疑問が残る。
今回は後ろ姿、つまりお尻しか見えなかったのだがやはりあれ、 前も透けてるのでしょうか。
どうか教えてください。