エンドレスマラソンランナー


<はじめに>

 これを書いていたのが昨日(99/07/20)の夜。今日アップしようとして 念のためにリンク先チェックしようとしたらいきなり該当ホームページが 閉鎖されてしまいました。これで一気に沈静化するのは間違いありません。 ありゃりゃ。いきなりこの文章書く意味なくなっちゃったよ。

 この文章自体ボツにしようかどうか迷ったんですけど、今後もこうゆう ケースって出てくるんじゃないかなってことで、見当外れを覚悟の上で 掲載することにします。多少の語弊は目をつぶってね、ごめん。


 ここ数週間、インターネット上を賑わした東芝のユーザサポート問題ですが、 東芝側が事実上の全面謝罪をしたことで、沈静化に向かいそうな気配ですね。

 この問題、私が知ったときには既にWebのあちらこちらで話題になってて、 遅きに失した感があったので敢えて静観してたんですけど、東芝が完全譲歩 したことで、とりあえずはまとまったかなと判断してつらつらと書き足して みます。

 私も初めて知った時には問題となったRealAudioファイル聞きに いきました。まぁ理由がどうであれ、あの対応じゃヤクザと間違われて 仕方ねぇだろうなあ。素人はビビるわ、あれ。いくらクレーマー専門の 部署だったとは言え、この点に関しては東芝側は言い訳できないでしょ。 遅くなったとは言え素直に謝って正解だったと私は思います。

 肝心なのは、同じようなミスを今後繰り返さないことだろうね。 人間、誰だってミスするもんなんだから。政府だって検察だって裁判所 だってミスするんだし。間違いは素直にごめんなさいして、 じゃあ次にどうするか考えることが重要だと思うよ。 これができんからみんな叩かれるんだしさ。

 それにしてもやっぱインターネットの威力ってのはすげぇね。 今までに何回もこの凄さは実感してるはずなんだけど、それでも 改めてこの爆発力には驚きますわ。一個人であろうと世論すら動かす ことを示す好例でしょうね。諸刃の剣でもありますが。 今後ともこうゆうのは出て来ると思いますよ。このやり方での 成功例がこうやってできた以上、雨後のタケノコの如く、 似たような抗議サイトもできてくると思う。ただ、見てる側としては ちゃんとその抗議の正当性や重要性を見極めていく必要も 出て来るでしょうね。

 と、簡単にこの問題の感想言うならこんな感じ。でもまぁ、 この程度の感想だったら、別に私以外にもたくさんの人が書き散らして くれていますので、特に力入れて書くようなことでもないでしょう。

 でもね、私今ちょっと一抹の不安抱いてるんですよ。つー訳で こっちをメインに。

 この東芝サポート問題、予想以上に「抗議の幅」が生まれました。 実質上の導火線であった作者のWebから、「支援ページ」の形、 または従来の消費者運動の形を取ることによって さまざまな人達がさまざまな抗議活動を展開しました。

 このことによって、従来のスピードでは考えられない速度で この問題が広がった(=沈静化までの時間が縮まった)というのは あるでしょう。これは間違いなくメリットです。

 ただし。問題が解決してしまった後、ぶっちゃけて言ってしまえば 東芝が謝っちゃった後だと、この支援の体制はデメリットへと変貌する 危険性を秘めています。

 結論から言おう。

 現在支援してる人よ、カタついたなと思ったら速やかに 抗議活動から手を引け。万が一続けるつうのなら、個人で勝手に やってくれ。この作者さんを抗議活動のシンボルとして引き合いに出すのは 絶対にやめてくれ。

 私ねぇ、どうもこの問題見てると、成田空港建設反対運動や 薬害エイズ問題と雰囲気ダブってしょうがないのよ。

 例えば成田空港。もう地元農家による買収拒否、建設反対が 何十年にも渡って続けられています。しかし実際には当の地主達は もうこの争いにうんざりしてて、頑固に反対叫びつづけるのは この取り巻き達だけ、という状況になってしまっています。

 例えば薬害エイズ。当初の目的であった厚生省及び当時の重要人物の の責任追及は一通りの成果を収め、今はどうやってその責任を 償わせるか、被害者救済をどう行うかの具体的な解決の模索に 入ってます。しかし現実にはいまだに責任追及のみに固執し、 かえって解決を遅らせているような追求団体も存在しています。 (そんな事やってる場合か、時間ねぇんだぞ患者にとっては)

 この二者の共通点、わかる?共に「ゴール見失ってる」って点なのよ。 42.195km突っ走って、とっくの昔にゴール通過してるはずなのに、 心身ボロボロになりながらなおも走り続けるマラソンランナー。

 目的達成するための行動なのに、行動そのものが 目的になっちゃう典型例。もうこうなるとね、感心なんぞとうの昔に 通り越して単にあきれるだけなのよ。見てて痛いよこれ。

 これ読んで「な〜に大袈裟なこと言ってんだかこいつ」とお思いの 方もいるとは思うよ。でもね、絶対にいると思うんだよな。「東芝の 謝り方は手ぬるい。もっと明確な責任追及を」とか思ってる人。

 それはそれで考え方の違いはあるんだろうけど、一番恐いのは こうゆう考え方が他の「もうこれで十分」と思ってる人までもを 引っ張り込む可能性持ってるのよ。案外人の意志なんて弱いよ。 ずるずるとひきづられちゃう。そうなったらあっという間に この問題、長期化泥沼化しちゃうと思うよ。

 だから「これでいい」と思ったら、すっぱりと手切って、通常の 生活に戻らなきゃいけないよ。もし他になんか出てきたときには その都度自分の生活圏内で文句言えばいい。何も問題の対処中心に 生活を回す必要性なんかないって。

 こうゆう言い方するのもなんだけど、たかだか一企業の断罪だけ のために膨大な時間と精神力費やすなんて、ものすごく無駄のような 気しないかえ?

 俺、すんげぇ勿体無いように思えるんだけどな。どうせなら そのパワー他にも回せよ、というか。

 汚い言い方繰り返すけど、「どこまでが有益で、どこからが 無駄な努力か」は常に一歩引いて見ておいた方がいいと思うよ。

 最小限の労力で最大限の効果得るのが一番じゃない? なんてことを思ったりするんですな。何事も引き際を見極めて、 すっぱりさっぱり美しく。これできたら、すっげぇカッコ良くねぇ?

 で、残った余力でいろんなことを。稼ぐとか遊ぶとか寝るとか抜くとか。

 何を抜くんだコラ。またこのオチかい。


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