情報源スピンアウト
私が通ってる派遣先の会社では喫煙スペースのところにマガジンラックが置いてあります。中には「日経コンピュータ」「日経パソコン」「日経ビジネス」といった日経雑誌群が「読みたければ読めば」てな具合でポンと置かれています。世の中こうゆう会社多いのではないでしょか。
実際ありがたかったりするんですよね、これ。タバコ吸ってる時ってなんとなーく手持ち無沙汰なことが多くて。仕事したくねぇときはなおさら。そうゆう理由かい。
だからこうゆう雑誌を手にとって眺めたりするんですな。時にはネタになることもあるし。
もはや雑誌って速報性の意味では二歩も三歩も遅れてしまう媒体なんですけど、こうゆう時にぷらぷらと眺めるのにはかなり適した媒体なのも事実ですわな。
まぁこれはいいんですよ。むしろこうやって誰でも手に取って好きな時に眺めることができるメリットってやっぱり大きい・・・ん?あそこに不満持ってる人がいます。ちょっとインタビューしてみましょ。
「何が不満なんです?」
「そりゃね、確かにこうゆうのが見られないよりはマシ。でもね。ここに置かれてる雑誌見てくださいよ。古いでしょ。全体的に。」
「確かにね。もう年の瀬も迫ってるのに関わらず並んでる雑誌は10月とか11月とか。8月なんてふざけたのもありますな。」
「でしょ?うち、新しい雑誌が出ると、まずは常務とか部課長とかに回覧の形で全部回るんですよ。で、回覧が終わってから初めてこの棚に並ぶ。せっかく雑誌は社内にあるのに、回ってくるのがすっごく遅いんですよ。」
「ああ。何冊も雑誌積み重なってる人お偉いさんの席とかありますけどあれ?」
「そう。あれ。回覧される人の中には月1、2回しかこっち来ないって人もいるから、そうなるとどんどん積み重なっちゃうんですよ。」
「なるほどねぇ。まぁこちとらそもそも雑誌に速報性は求めてないから多少遅かろうが読めればいいんですけど。」
「まぁね。でもやっぱあるからには新しいの読みたいのが人情でしょ?『この記事面白いから』とかいって1週間も2週間もキープしてる人もいるし。だったらコピー取ってとっとと回せ!!」確かにそれはあるわぁね。特に日経系の雑誌だと書店売りしてる店とかも限られるし、定期購読するには割高感強いし。そうゆう要素持ってるだけに読めるのなら読みたいってのはしごく当然の欲求でしょう。
「読めるならまだガマンできるよ。読めるなら。」
「ん?というと?」
「盗むヤツいるんよ。マガジンラックに戻ってきた瞬間にパクってそのまま持ち帰って返さないバカ。」
「あーーーー。」
「持ってくのは構わんが読んだら返しやがれ!小学生の時に図書館で習ったダロウガ!ブッ殺スゾコノ糞野郎!!」
「どうどうどう。発音がカタカナになってますよ。」
「あ、失礼。そんな訳で、結局こうゆう形になっててもそのメリットを享受できないんですよ。」なーるほどねー。あい、よくわかりますた。
「で、なんかあるの?今更こんなこと聞きにきて。」
「あ、気にしないでください。ふと思っただけなんで。」
「あ、そう。んじゃ。」ありがとうねー某Hさん。最後に際どい質問投げるのはカンベンね。心臓一瞬止まりました。
とまぁこんな感じで。こうゆう雑誌の類って、直接業務に役に立つって機会は少ない(=見聞広める為の用途が強いから?)です。ですから会社によっていろいろと迫害受けてますよ。
たとえば以前お邪魔した某社では1〜2年の日経コンピュータがキレーに並んでおります。手に取ってみると新品同様。観察してみるとこの棚、仕事スペースからは死角になる一方で、応接スペースからはよーく見える。あーそーゆーこと。つまり誰も読んじゃいねぇ訳ね。どうりで折り目ひとつついてない訳だ。ちなみに、てきとーに乱読した後てきとーに棚に戻したら後で「発行順に並べて戻してくださいよー」とやんわり怒られました。こらこら。
あと同僚はこんなこと言ってました。ラック見たら珍しく(?)業務に直結しそうなことが特集になっていたので、自分の席で「なるほどなるほど」と熟読しておりました。そしたら背後から上司が肩をポンポン。「君、そうゆうのは昼休みか休日にやりなさい」。おいおいおい。じゃあ会社で買うな。だったらさっき競馬新聞読んでたてめーは何モンだ。しばくぞ。
トドメはこれ。知り合いから聞いただけなのでウラは取れてないのですが、その会社ではまず部署長が一読して「問題なし」と判断してから初めてマガジンラックに置かれるらしい。そうでない場合はそのままゴミ箱行き。不審に思った人がこっそりゴミ箱からその雑誌を回収したところ、案の定その会社のやり方を批判した記事だったとか。
・・・ホントかこれ?でもいかにもありそうな話のような気もするな。現に「この雑誌はうちのやり方にそぐわないから取らない」なんてのはあるそうだし。これも一種の情報操作だよな。
まぁしかしどれもこれも、雑誌の編集者さんとかが聞いたら泣き出しそうな話だよなぁ。徹夜して印刷所に怒られて、身削る思いして作った雑誌がこんな扱いだもん。雑誌の内容のレベルが云々の話は別問題で、はなから読まない雑誌読ませない雑誌なんか買うなっつーに。
それにしても、だ。やっぱ私こうゆうの見てると「被害は小さいけど影響は大きいよなぁ」つーのを感じたりしますねぇ。
極端な話、雑誌なんざ読まなくても「業務」という面で見れば十分に回っていくもんですわな。それこそ、欲しい情報を探すという意味では雑誌なんかに頼るよか、上司や先輩に聞いた方が早くて確実なんだ。
でもこれを「人間」つー立場から見たらどうなんでしょうね。見聞を広める、というのは大袈裟かもしれんけど、「あ、こーゆーのもあるんだ」と気付かせる、こうゆう芽を摘み取ってしまってるような気もするよ。
せっかく材料は揃ってるんだから、いつでも見られる、いつでもチェックできるってのはすごく大きいメリットになると思うしね。
実際には、読んでみました、でも、なんら役に立つこと書いてなくてただの時間のムダでした、なんてこともあるかもしんない。でも、今読んだのが3年後になって日の目を見ることだってありえる訳じゃん?
材料吟味して「使えねぇや」と捨てるのと、吟味もせずに「使えないに決まってる」じゃ随分と差があるように思えません?
これ、根っこは「Webの閲覧禁止」と何ら変わらんような気がしてきたわ。Webもそうでしょ?どーでもいいのもあれば有用なのもある。企業側はどーでもいいものを忌み嫌い禁止する。でもどーでもいいもんがあるきっかけでダイヤモンドに変わる可能性だってあるでしょ?
やっぱもったいないと思うよ。根が貧乏性なだけになおさら。
話を雑誌に戻すけど、こんだけ血眼になってコスト1円でも削ってる中わざわざ買ってる雑誌なんですから、もっと使い回せよ、とか思うんですけどね。一人・小数の人間が独占する、ましてや誰も読まず読ませずでお飾りなんてムダ以外の何者でもないっしょ。
閲覧の優先順位なんかつけずにポンと置いておく、読みたいやつには読ませておく。そんで盗むヤツいたら後ろからケリ入れる。そんだけのことで、まだまだ使い出もあると思うんですけどね。
無駄な知識なんて案外無いもんですよ。無駄な知識だけで今まで生きてこれた私が断言できるんですもん。
あれ?なんか毎回毎回シメの言葉間違えてるような気がするんですけど。