絵に書いたよなデスマーチ


 んーーー。どっしよっかなぁ。

 これ書いたら世間一般には立派に守秘義務違反になっちゃうのかなーやっぱ。

 んーーー。

 まいっか。書いちゃえ。なるようになれだい。

 つー訳で、話聞いてて思わず目がテンになりました。すごかったすよホント。目がテン。10個の目。10アイズ。違う。目が点。目のスコア。左0.04右0.09。やめろつまんないから。

 それにしてもこーゆう話聞くと、「世の中にはすげぇもんがあるんだなぁ」と妙な感慨に耽ってしまいましたよ。

「えっとですねぇ、本来だったら今月で設計フェイズ終わるはずだったのですが・・・」

 あー設計ですか。こうやって言葉を濁すってことはやっぱり遅れがちなんすか?

「どうひいき目に見ても終わりそうにないです。無理。絶対無理」

 あり?またえらいきっぱりと。

「だって。もうみんなてんでバラバラの設計やっちゃってるんで、どうあがこうがこれをひとつのシステムにまとめるなんてできっこありませんよ。」

 ねぇねぇ。ちょっと聞いていい?バラバラって言ってたけど、一体どれ位の規模でやっててバラバラなの?

「300人です。」

 ・・・・・・・・・・へ?

「現在総勢月300人体勢、全部で10グループ以上に分かれて、それぞれ基本設計から詳細設計から、何から何までやってます。」

 ・・・・・・・・・・ちょっと待て。よく考えろ俺。

 設計から開発からインフラから維持からマネジメントから全部ひっくるめて300人、じゃなくって?設計だけで?・・・・・・設計だけで????

「そーです。300人。」

 え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ!!!!!!!

 ちょっと待ってよ〜。それホラじゃないの〜?常識じゃ考えられへんもん〜。

「じゃあなんで本来コーディングメンバーだった私が仕様やってるんです?」

 ・・・・・・・マジ?

「マジ。もうまいっちゃってますよ。トホホって感じで〜」

 当たり前だぁ!!そんなもん百年待ったって仕様固まるかぁ!!逃げろ逃げちまえ!!そんなシステム関わりあったら人生終わるぞ!!

「はい、今そのつもりで上に交渉してもらってます。まぁどっちにしろ今仕様がまったく上がらないしこっちが上げてもそれ回らないしでやることないんですわ。どうせ何やっても無駄なんで。放っておいて遊んでます。」

 ・・・・・あ、さいですか。んじゃいいや。

 いいんかホントに。

 その後いろんなお話聞いてきました、便乗して。まぁねぇすごかったよ。お話できる範囲内で書いてみます。

 そもそもこのプロジェクト、5年間計画という、かなり巨大なプロジェクトだったらしいんですよ。依頼主のユーザもこのプロジェクトを重要と考えていたので、始めから人数的にもかなりの余裕を持って予算組んだそうです。

 そこで安心しちゃったのか、要件定義の段階からガンガン人集めて進めていった結果、もうこの時点でかなりちぐはぐなもんになっちゃったらしいです。要は担当ごと担当ごとって考えが浸透しちゃって「そこはアンタの担当でしょ、俺は知らないよ」状態になっちゃった、と。

 で、しかもそこで止まることなく、当面の目標をクリアするためにさらに人を投入しちゃったと。火にニトログリセリン注ぐようなもんですわね。もうあっという間に火の車。

 さらに悪いことに、それでいくつかの目標がクリアできちゃった(一体どんな目標だったんだ?)もんだから、人海戦術に何の疑いを持つこともなく、それを推し進めちゃったんでしょう。

 その結果が300人。船頭ばっかり300人。

 もはや船頭多くて船が山に登るどころか、船担いで誰が一番早く富士山登れるかコンテスト開催中状態。

 あーあ。

 まぁ実際にはこの300人って開発もインフラもぜーんぶひっくるめて300人だったと思うんだよ。当初は。でも、その基になる仕様がなーんにも決まらない。開発担当にやらすことがない。しょうがないから仕様やらせる。それも間違ってるんだけどね。こんなんが続いたから「君も船頭私も船頭世界の友達皆船頭」になっちゃったんだろーなー。

 あーあーあ。

 もうそんだけ人数いるから、ただでさえまとまらない仕様がさらにまとまらない。基本すら固まってないのに詳細設計まで作っちゃう。その後ユーザさんの一言があったためにそれ全部作り直し。何回も何回も何回も繰り返し。まさに賽の河原。

 あーあーあーあ。

 それでも泣きながら仕様作りました。ユーザさんにレビューしてもらいましょう。そしたらユーザさん曰く「すんませーん、他からも要望あって、できるの早くて1ヶ月後なんですよー」。でその間に他の担当箇所に仕様変更が出て作り直し無理心中一直線。

 あーあーあーあーあ。

 もう今となっては初期メンバーもほとんどいなくなり、ユーザ側の人間も入れ替わり立ち替わり、もはや誰もこのプロジェクトの全貌を理解していないし、理解できないそうです。そんな状態のまま、今日も終電ギリギリまで300人が無駄な作業を続けているそーです。

 以上、教えてもらった中でここで書けそうな内容並べてみました。あー書いてるだけで疲れた。

 ごめん、あまりにも突っ込まなきゃいけない所が多すぎて、もうそんな気力残ってないっす。皆さんそれぞれで考えるなり笑うなりしてくらはい。いろんな観点からさまざまな罵倒ができるであろう、典型的な失敗例なんじゃないのかな、これ。

 まぁ可哀相ですけど、このプロジェクトもう完全に死んでますね。つーか改めて私が宣告するまでもなく、誰がどう判断しても完全にぶっ潰れたプロジェクト。本来なら現在進行形で書くべきなんでしょうけど、過去完了形でも問題なし。

 現時点での損害額っていくら位になるのかなー。えっと、300人体勢で大体1年半位なのかな?えっと、むっちゃ単純に1人1ヶ月当たり30万で計算したとしても・・・16億2千万。あっちゃぁ。

 一刻も早く息の根を止めないと、ユーザさんにとってもベンダーにとっても不幸な結末が待ってると思いますわ。あ、既に充分過ぎる程不幸なのか。

 あーなんまんだぶなんまんだぶ。成仏せぇやあ。頼むから化けて出るなよ〜。エロイムエッサイム〜。違う。

 しかしまぁ、こうゆうのって本当に恐いね。でも、こうゆう話もたまには耳に入れておかなきゃね。

 明日は我が身、アスハワガミ。いざという時、とっさに動くために。

 マッハの速度で逃亡してやる。あったりまえじゃん。


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