リング徒然
最近増えましたねぇ。Webリング。
リンクじゃないっすよ、リング。濁音付。訳すと輪っか。
これ輪っかじゃなくってまんま格闘技のリングだったらおもろいのにね。赤コーナー青コーナー二手に分かれてタイマン張って、「おおっと、ここで『シンプルなデザインで読み手を安心させる』攻撃だぁ!!『さりげなく暴言かまして煙に巻き』で反撃はあるのかぁ!」と古館伊知郎まで登場させる程妄想を広げてしまう私は馬鹿野郎。
そうじゃなくって。
TOPページにバナーとかでリンクが張ってあって、その脇に「前へ」「次へ」というリンクも一緒にあって、それをクリックすると関連ページに飛べる例のアレ。
なんとかさん応援リングとか、かんとか活動支援リングとか、要は志を共にするWeb同士が集まって輪をぐるーっと回るようにリンクを作っていくあれです。
これさぁ、いっつも思うんだけど、便利だと思ってる人いるの?私あんまり思わないんだけど。つーか悪いけど、今までにWebリングが役に立ったってこと一回たりとも無いんですよ。
はい次です、って案内されたって、それが自分の欲するものかどうかなんて見てみないとわかんないんだし。それ以前に「次」とだけ書いてあってどこに飛ぶのかわかんないリンクなんか恐くて押せないよ。暇つぶしに使うにしても恐すぎる。
つー訳で、いつも私はリングじゃなくて、常に「リング参加サイト一覧」といった普通のリンク集の方を利用することにしています。ごめんね甲斐性無しで。
まぁ機能面においては別にいいんですわ、私が使わなきゃそれでいい。使いたい人はどーぞ、で完結する世界ですからいちいち目くじらたてるよーな事でもないです。つーかこんなんにいちいち首を突っ込んでいる私の方が迂闊もの。もしくはネタ枯れ。そこか本音は。
でもねぇ、このリングを見てると機能以上にヤバげなものを感じるんですよ正直。という訳でここんところを突っ込んでみようかと思う訳なんですが。
機能面はともかくとして、間違いなく「Webリング」を作成するメリットというのは存在します。
それは何か?
「リングに参加したものが共通して得ることができる充足感。」
これですわ。
要はある共通の趣向(スポーツでもアイドルでも何でもいいよ)を持ってる人達のお仲間に入れる、それを目に見える形で確認することができる。
ある人はこれによってWebを作ったことによる充足感を、またある人はお仲間に入れたという安心感を、という感じなんでしょう。おそらくWebリングが作り手側に支持されてる理由って90%以上はこれが理由だと思うんですよ。
またWebリングって仕組み上は作るのラクだしね。労力の割に達成感が大きいというのも積極的に作成される理由なんだろうな。
でもねぇ、天性のひねくれ者(=私)がこれを見ると、どうしてもこうゆう感情を得ちゃうんですよね。
「うっわぁ。内輪だけで固まってるよ」
わかるよね?この感情。おそらくこれ言われたらまず反論してくるはずです。「んな目的で作ったんじゃない」と間違いなく言ってくるはず。実際そうじゃないと思うしね。
でも問題はもっと深いところにある。この「内輪だなぁ」という感覚は、作り手の意志とはまったく無関係に存在するんですよ。
その根拠。リングの形で見せられると、そのリングの中にいるサイトと外にいるサイトとが、あまりにもはっきりし過ぎる、見え過ぎるんです。
同じ組織的なリンクを張る場合でも、相互リンクはここまであからさまに見えるということはありませんでした。そりゃそうだわね、リンクページがある。それに対しリンク張られているページが存在する、この1:nの関係しか見られなかったわけですから、そこから全体像をつかむってのはなかなか難しい訳で。
でもこれがリングの場合、そのサイト一覧を見た瞬間に、どこのサイトがこのコミュニティに属しているかが、一目瞭然になっちゃうんですよ。親ガメ捕まえてみたら子ガメから孫ガメから親戚一同みんな一度に捕まったみたいな。どんな感覚だ。そのため、作り手には意図しない「内輪感覚」つうのが外にいる者にとっては浮かび上がっちゃうんです。
結果、外からリングを見た人間は、リングを「参加者各個人の主張」ではなくて「コミュニティ全体の主張」と捉えてしまいかねないんですな。個々は埋没してしまうんよ。
これ、ここまで意識して作ってる人って果たしているんだろうかねぇ。なかなかいないと思うよ。知った段階では「あ、こうゆうのあるんだぁ」程度の好奇心の方が上を行くと思うし、少なくとも内側にとっては、こうゆうデメリットって見えにくいと思うしね。
で、言っとくけど内輪受けそのものを否定するんじゃないよ。つーかもともとインターネットの人脈自体が内輪レベルの小さい小さい輪っかが網の目のように連なってくイメージ、うじゃうじゃといる人と情報のコアに値するようなモノなんだしね。いわば「始めに内輪ありき」な世界でもある訳。
ただ、これを意識し過ぎると、そのいっこの内輪が独立、もしくは孤立しちゃって、他の輪っかとつながらなくなっちゃう可能性がある。わすが危惧しているのはここなんですよね。
だから「内輪だけでいいんじゃ」と開き直れる方を説得しようとは思いません。正々堂々と好き勝手にやればよし。問題はより外の輪っかと結びつこうとして、そのための手段としてリングを選択するってことなんでしょう。
せっかく個々が集まるのにリングに囚われるばかり、単純に1+1=2になっちゃうってのもなんか予定調和で面白くないんですけどね。
なんかそんなことを思ってしまう訳なんですわ。せっかく自分の立場や職業や身分、そんなもんに関係なく好き勝手できるスペースがあるんだから、わざわざそこで特定の箇所にコミットしてしまうのもなんかもったいない。
これって単なるワガママ、なんでしょうかね?