音楽を聴くために


「CDシングル3枚ですね。当日返却ですか?2泊3日にしますか?」

 あ、2泊3日で。

「ありがとうございます。450円になります。」

 あ、はいはい。

「日曜日までにご返却お願いします。ありがとうございましたー。」

 あ、どもども。

 ・・・・・・ぷはー。

 実に4年振りにレンタル屋さんなんてものを利用しました。免許証提示して会員証新しく作って。あまりにも久しぶりなものだから実はちょっとレジカウンターに差し出す時に緊張してしまいました。

 この世の中便利になったもんでして、春日井市は高蔵寺ニュータウンというちょっとヘンピな場所においてもレンタルビデオ・CDショップというのが立ち並んでおります。一番近い所で車で3分(徒歩でも15分)、ニュータウン全域なら7、8軒はあるんじゃないでしょか。

 んでも私この4年の間、どこのレンタル屋にも会員入ってなかったんですよ。これいっつもみんなに驚かれてるんですけど事実。

 理由はごく単純で入る必要がなかったから。以前にも書きましたが、私「物語アレルギー」という性格的欠陥(もちろん自称)がありまして、映画はもちろんテレビドラマやアニメ、果ては小説やマンガでさえも体が受け付けないという特異体質です。そのため、そもそもビデオを借りて家で見たいという願望そのものが起こらなかったというのがひとつ。

 一方、わすの精神的な糧となる音楽CDの方なのですが、こっちはこっちで「借りるのではなく手元に常に置きたい」という物欲の方がどうしても上回ってしまうんですよね。だからもっぱら利用するのは新品扱うレコ屋か中古CD屋。

 そんなもんですから、どんどんレンタル屋さんからは足が遠のく一方だった、はずなのですが。結果はご覧の通り。

 なぜそんな私が再び足を踏み入れるようになったのか。

 理由はみっつ。

 その1。最近のヒットチャートの変化により、わす好みの曲とかでもレンタル屋さんに並ぶようになったこと。やっぱりDragon Ashの台頭ってすごいわ。HIPHOPの、それも12インチシングルがレンタル屋さんに並ぶなんて以前は考えられなかったもん。レンタルに並ぶことで、「あ、聴いてみよう」となる人も増える訳だし、それによって裾野も広がるしね。「奴等は本物じゃない」と批判ぶってる人もいるみたいだけど、HIPHOPをちゃんと文化として(商品としても)根づかせること考えたら、やっぱDragon Ashの功績は称えなきゃいかんよ。

 ・・・って話ずれたな。まぁ実力勝負曲勝負のアーティストが活躍するに伴い「レンタル屋には行ったけど聴きたい曲が皆無」ということが無くなったってのが大きいです。

 その2。これは個人的ですけど、CD-R環境が整ったこと。去年末にデータ保存用のために導入したんですけど、最近の使い道はもっぱら音楽CD焼きです。元CDと焼いたCD聞き比べてみると多少音は劣化してるみたいですが、気にならないですね。許容範囲。

 今までは録音できる媒体がカセットしかなかったもんですからいまいちレンタルしてダビングする気にならなかったんですけど、導入で変わりましたねぇ。やっぱベンリよ。CDパソコンに突っ込んでほけーと待ってればCD勝手に焼いてくれますから。複数のシングルCDをまとめて1枚に焼いてしまってCDウォークマン用に持ち歩くとかね。わすはMDを持っていないのでなおさら重宝しますです。

(ついでに言及。以前散々悪口(といってもその大半はJASRACに向けてのものですけど)言ってたMP3に関しても今ではそこそこ使ってます。マシン替えてエンコードが苦にならなくなったってのが大きいですね。シングルを予めまとめておいて、暇なときにBGMにしています)

 そして理由その3。これが一番大きい。

 ・・・・・・貧乏ナンテ、大ッ嫌イダァー!!ダァー!アァー、ァー。

 えぐえぐえぐ。だってだって。お金ないんだもん。聴きたいのまだまだいっぱいいっぱいあるのに、次から次に出てくる新譜ラッシュに追いつけないんだもん。

 アルバム1枚買えば3000円。5枚買えば15000円。先月はつらかったんだよ〜。チェック対象のアーティストがリリース連発して。食費削って他の趣味事全部我慢してお金ためて。そんでも6枚しか買えなかったんだもん。車買い換えたばっかりでとうの昔に貯金使い切ってたもん。

 今まで散々生活削ってCD買い続けてきたんだもん。アーティストにもJASRACにも金貢ぎ続けてたんだもん。ここらでちょっと位ラクさせてもらったってバチ当たらないじゃんかー。

 うをー!つべこべ言わんと俺に金よこせおらー!!

 名古屋の少年恐喝犯罪者か俺は。

 とまぁそんなことがありましてね。泣く泣くレンタル使用派に寝返ってしまった訳でございます。ごめんねー、「CDは買ってナンボ」派の皆さん。力不足な私を許しておくれー。いつか君の所に帰るからね〜。だからそれまで僕のことずっと待っていて〜、僕のことずっと待っててね〜、親愛なるハック〜。

 はっ、いつの間にか逆上して歌になってる((C)「ハック」ザ・カスタネッツ)。

 そこまでして話そらしたいか俺。わざとだろ。

 わざとです。

 とまぁ例の如く、だらだらだらだら爺の小便が如く無意味に言葉並べさせてもらったんですけど。

 あのねぇ、やっぱりずっとCD買ってばかりの生活だったもんですから、金額差見てて愕然とするものがあるよ。

 この1ヶ月の間にアルバム新譜1枚に、シングル新譜5枚借りていますが、これをもし全部新品で買ったら3000+(1200*5)=9000円。これがレンタルだと350+(150*5)=1100円。

 余り金でアルバム2枚買い足せるじゃないですか。結局そうなるのか。

 これじゃあみんなレンタルに流れるよなぁ。JASRACは目ひんむいて怒りそうなんだろうけど、やっぱてめぇらの金銭感覚が狂ってるだけだよ>JASRACの腐れジジイ共。

 中高生のこづかい銭に1万はやっぱでかいよ。今の子供が昔に比べて格段に小遣い銭が増えてるとは言え、そんでも根本的に金銭感覚が違う訳ですしね。実際に比べてみて、今の中高生にMDが必需品だってことよくわかったな(友達同士で共同でシングルを何枚も借りて、レンタルCDを回しっこしながら各自のMDに録音するのね。そうすればレンタル代は頭割りできると)。

 うーん。もうちょっと安く買えるようにならないかのぉ。新品3000円が2000円になるだけでもかなり違うと思うんだけどな。

 いくら今のレンタル業界が拡大化傾向にあるとはいえ、そこはやっぱり営利優先でしょ。必然的に回転率の高い人気作にコストを集中させて借りられそうにない作品は切り捨てざるを得ない訳で(逆にレンタルにそこまで求める事自体にムチャがあるわね)。

 となると邦楽洋楽を問わず、やっぱりレンタルに出てる作品だけでは音楽という範囲はサポートしきれないんだよな。深く知れば知るほど面白くなってくるのが音楽。

 ましてや10代後半〜20代前半の時って、興味ある人にとっては一番音に飢えてる時期だと思うしね。他にないか他にないかと獲物求めてさ迷い続けるライオンみたいなもんですよ。吸収力も速いし、感性も敏感になってるし。

 そんな時にこれ!これ!これ!と次々に良質な音叩き込むのは絶対に有益なことなんだよな。

 その世代がお金無いがために吸収する機会を減らしてしまう、ってのは決して業界全体考えてもいいことではないように思えるんだけどなぁ。まさか「CD代欲しかったら同級生恐喝してでも稼げ」なんてこた言えないでしょ。

 今、音楽業界が右肩上がりでないのも重々承知なんだけどさ。10年後、20年後に種を蒔く意味で。

 なんとか値段下がりません?ねぇ。ねぇ。

 もちろん、若い世代を隠れ蓑にして自分もドップリそのおこぼれに預かりたいなんてことがある訳・・・。

 あるに決まってるじゃないですか。あーもっと買いてー。金くれー。

 台無し。逮捕。


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