存在意義ウラオモテ。


 ハンドスプリング社が06/16に発売を開始したPDA、Visor日本語版。OSベースにPalm3.1を採用。完全日本語化、8Mのメモリを搭載していながら\29800-という過去のPalmシリーズでの最安値。外付け機能拡張ボックスに当たるSpringboardによって、メモリ、モデム、MP3プレイヤー等の様々な機能提供が可能。

 うーん。すごいぞこれ。詳細な仕様とかに関してはここでは省略しますが、 正直な話見た瞬間に「欲しい!」と思いました。

 と同時に、元ザウルスネガティブスピーカーとして(笑)、同時にこんな不安点も抱いたんです。

 「Visorってひょっとしたらザウルスキラー?」

 根拠はいくつかあるのですが、何よりも大きいのが、今まで唯一の、明確なPalmの弱点(=唯一のザウルスの優位点)であった通信機能がVisorのSpringboardを使うことで一気に補完されてしまう、という点でしょう。要は用途に応じてSpringboardを差し替えればいいだけの話ですから。

 今までのWorkPadやPalmシリーズにおいては、外付けモデムが高価だったこともあり、どうしてもモデム内臓、携帯/PHS接続が可能なザウルスにはかなわなかった側面がありました。事実、「インターネットアクセスできないから」という理由だけで購入を見送ってた潜在ユーザも多いはずなんですね。私もそうだし。

 でもこれからはそんなことはなくなる。「外でインターネットアクセスしたいんだけど何使えばいいの?」という問いに「VisorとモデムSpringboardセットで買えばいいよ」という極めて明快な回答ができてしまう。

 これってかなり強力なことなんじゃないですかね?現時点ではまだモデムSpringboardの値段ははっきりとはわかっていませんが、この値段次第によっては「ザウルス買うよりこっちの方が安いぞ」ということにもなりかねません。

 ということは。ザウルスシリーズとPalm OS群の間にあった「住み分けの境界線」が無くなってくるんじゃないの?と。そうなった時に「ザウルスはここがいんだぞ!」という主張をユーザ予備軍に主張できるの?と。そうゆう疑問が湧き起こるんですよ。

 で、実際に考えてみると、実は以前に比べてPalmとザウルスの違いってどんどんわかりにくくなってるんです。

 まずPalmの優位点と言われるソフトウェアの充実ですが、この1年でザウルスのmoreソフトがぐんぐん質量を充実させていることから、それ程重点を持って検討する必要がなくなってきたという点があります(よく考えてみたらVisorを買うユーザは標準機能で80%は満足できるでしょう。それで満足できないコアユーザはWorkPadなりPalmVxなりを使えばいいだけの話)。

 一方、ザウルスの強力なセールスポイントであった強力な日本語入力機能。これに関しても実は以前ほど重要な項目ではありません。入力なんざパソコンのキーボードでやってしまえばいい、もしくはネットから直接データ引っ張ってくればいい。今のPDAのユーザにとって優先されることが「自分が見たい時に素早く見られるか」にあるのはもう間違いないことなんですよね。入力ソースが多様化している今、ペン書きに固執する必要性そのものが存在しないぞ、と。

 要はこんな感じでPalmだから、ザウルスだからというセールスポイントがどんどん失われていっている、そんな状況だと思うんですな。

 となると残るのは何か。

 「値段」「デザイン」「壊れにくさ」といった、見て1秒で判断できるシンプルな事項、これだけになると思うんです。

 極端な話「どれ使ったって変わらないんだから安いのでいいや」とVisorを選択するであろうユーザが今後増えるのではないか、と。そんな読みをしてしまうんですが如何なもんですかね?

 ここ1年でPDAはどんどんその居場所を無くしつつある、というのが冷静に市場を見た上での判断になると思います。5万円でパソコンが買えてしまい、iモードいっこで最新情報も簡単に取得できてしまう。これが現実であり、今の世の中です。

 Palmですら選択を誤れば5年後には消えてなくなってしまっている危険性もあると思います。ザウルスに関してはなおさらでしょう。「なぜこれを作るのか」「なぜこれを使うのか」このシンプルな命題に答えられるもののみが、存在価値を持ち続ける。こうゆう事になってしまうのでしょう。

 Visorという魅力溢れるPDAの存在は、逆にPDAの未来そのものを問い掛ける重要な一里塚になっているような、ある意味皮肉な現実をも突きつけているのかもしれません。


 と、言う訳で・・・・・・・。

 うわ〜Visor欲しいよ〜じたばたじたばた!!母ちゃんあれ買ってあれ買って!!買ってくれなきゃ家帰らない買って買って〜!!うるわいわね買いません家に帰りますよ!そんな所で駄々こねるような子なんかウチの子じゃありません!このお店の子になっちゃいません!うえーんイヤだいイヤだい山田君だって買うって言ってるんだい買ってよ買ってよ〜!!

 そこまで引っ張ってオチはそこかい。そこまでして今までの文脈ブチ壊す必要性があるのか俺。えーだってさー、そこらのニュースサイト漁ればいっくらでもお目にかかれるような文章でお茶濁したって意味ないしぃ。

 いやぁでも実際のお話、かなり揺れ動いております、私のココロ。

 今回の夏ボーナスは安いクーラーだけ買って、残りはすべて貯金に回そうと思ってたんですよね。やっぱクーラー無いとカラダしんどいですし。いいかげん扇風機と氷のう頼りの夏から脱したいですし。

 この他にもケンウッドのMP3カーオーディオZ919を密かに狙っているという事情もありまして、今回のボーナスはぱぁっと使う訳にもいかないんですな。ちゃんと節約して将来用の貯金もして、それでもって物欲も満たそうという一挙三得を考えてたんですよ。

 でもさぁ、こないだの週末、クーラー探しに電気屋回ったんですけど、どこの店も安いクーラーは工事費別で別料金工事も必要でと、なんだかんだとやってたら結局8〜9万近く行くことが判明しちゃいましてね。がっくり来ております。

 8〜9万は痛すぎるんだよなぁ。よくよく考えたら毎年毎年この手でクーラー購入断念しちゃってるんですけど、現時点の財政では痛いことに変化はない訳で。

 そんな中飛び込んできたVisorのニュース。「もう今年の夏も扇風機と氷のうで乗り切って、鬱憤はこれで晴らすか!」などと邪推が走っております。買う気マンマン。

 え?その決意に理屈は通ってるのかって?上でさんざん理屈こねまわしてたクセに、そんな単純な理由でいいんかって?

 いいじゃん、「おもちゃ」で。結局は機械いじくり回してるのが楽しいんだもん。今の私にとってはVisorが使い物になるかならないかは結構二の次のお話になってしまうかもしれません。要はいじりてぇんだと。使わせろと。いじるだけいじって飽きたらそれでいーやと。

 結局「遊びたい」という欲求にはどんな屁理屈もかなわないよなぁなどと思う今日この頃なのでございます。いつまでもネガティブスピーカー続けた所で疲れるだけだしー。

 所詮人間こんなもん?


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