歪曲ボトムアップ
ミーティングの席でこんなことがありました。
「すんませーん、この紙にメールアドレス書いてください。」
あ、はいはい。かきかきかき。どぞ。
「どもー。」
で、何に使うの?これ。
「あ、今後の一括送信用のメールアドレス用の集計です。簡単な連絡だったらメールで行おうと。」
メールで連絡。メールで・・・メール・・・。
うえーん。えぐえぐえぐ。入社して満3年半。よーやくここまで辿り着いたよぉ。よかったよかった。ぐすんぐすん。
思えば長い道程でした。メールアドレス持ってる事自体が珍しがられた入社当時。メールで連絡したいと言ったら3秒で却下された1年目。報告形式の会議なんかやめてとっととメール連絡に切り替えましょうよ言ったら津波のようにひかれた2年目。3年目に入ってからよーやく上司とかがメールを使用するようになって、ちらほらと業務連絡がメールで来るようになって。そして今回ほんとによーやく、組織としてのメール使用が始まったっと。
あーーーーーーー長かったよー、おーいおいおい。
もっともこの遅れが世間一般で言えば、もう十分すぎる位に遅れに遅れまくってるというのが現実なんですけどね。3ヶ月経てば別物な世界なのにもはや既に3年。そりゃ遅いわ、どー考えても。ましてや今回のだって組織としてメールアドレス推進ではない訳ですしね。集まったメールアドレスも大半は派遣先のメールアドレスや個人のメールアドレスの流用。まだまだ先は長いと。
まぁそのおかげで「会社に頼ってる限りは絶対にダメ」つう教訓を身を持って体験できたからいいんですけど。自分のやりたいことは会社無視して個人で勝手にやってればいいだけのことなんすから。あくまで俺がメイン。会社は利用するもの。そして給料は盗むもの。をい。
まぁそれはそうと。単純に考えてこの3年という年月を考えてみると改めて頭がクラクラしてたりします。結局はこの間、人様がやれインターネットだITだEコマースだと大騒ぎしてたのに、その流れをぽかんと口を開けてみてるだけだったんですから。
なんでここまでの差が出てしまったんだろう?企業の思考スピード・決断スピード・実行スピードが全然追いつけない?なぜそうなってしまう?
仕事そっちのけでしばらく考えてて(決まり文句ですまんが仕事しろよ俺)、こんな出来事を思い出しました。
1年半位前かな。ボーナス査定時の面談中にメールの話題になったんです。その時に私が「うちでもメールとかもっと活用しないんです?グループウェアとかメーリングリストとか・・・」とか言ったんですよ。
そしたら、こう諭されました。
「それ他の皆さんからもしょっちゅう言われるには言われるんですよ。我々にしても、それによって業務の効率化とかできれば嬉しい訳ですし。ただ、でしたらやはりここは「こうゆう理由があるので解決策としてこうゆうのやりません?」という一歩踏み込んだ提案が欲しいんですよ。」
一歩踏み込んだ提案とは何か。要はフォーマットにそった企画書を提出する、もしくは社内の人間集めてプレゼンするといった、形に残る、より明確なことをやってほしいと。単に何々欲しいといった願望だけではこちとら身動き取れやしねぇぞ、と。
まぁ一理あるわな。あれやってーこれやってーてのは社員全員から怒涛のごとく押し寄せてくるのが常な訳ですから、口頭だけじゃ訳わかんなくなるのは目に見えてるわな。うん、それはまだわかる。
でもね、これ聞いて「あーそーゆーことね」とちょっと納得できたよ。そりゃ決断スピードも実行スピードも遅くなるわ。
まず根本的にこりゃダメだなっつーのは、ボトムアップ的に自分の意見を組織に汲み上げていくためのノウハウってのがまるで存在しないんよ。それこそ「上司に相談する」以外に、意見を言える場所も手段も何もない、と。
そうなるとまず「提案をする」作業以前に「提案の仕方を調べる」作業が発生する。もっとひどいとさらに「提案の仕方を提案する」作業さえもが出てきちゃう。本来の目的果たす前にやらなきゃいかんことが多過ぎる。そりゃ遅いわ。何やるのも。
こーなると伝家の宝刀「めんどくせーからほっとこう」で伝えようとする意志メッタ斬りにされるのがオチ。自明の理ですわーね。
もしほんとに個人の意見を吸い上げていこう、という意志があるのであれば、相談以前のところで「こうゆうやり方があるよ」というノウハウ面の提供があって然るべきなのよ。上司に聞いて初めて提案できることを知るなんてのはもう問題外。
だからといって何もガチガチにフォーマット決める必要なんかないよ。んなことしたら制度作って一度も活用されずに死にました、で終わっちゃう。
提案できる制度があるよ、という事実と、過去にはこんな例がありましたよ、の簡単な例示。この2点だけ押さえてそれを広報してれば、あとは提案する側される側それぞれのセンスでどーにでもなるもんよ。つーかそれ位のセンスすら持ち合わせてないヤツはただの馬鹿。
じゃあそれを解決しましょうということになったとしましょ。で、これらの最低限の提供をスムーズに行える解決策のひとつがメールなりグループウェア、になるはずなんだけど。
俺、断言すんよ。意思疎通ができないなんとかしたい、そんな考えでメールアドレスやグループウェアにすがっても、絶対に事態は好転しない。システムは使われない使えないでゾンビ化し、従来以前の遅くて遅くてやってられない旧態依然意思疎通が重宝されたままになるね。いつまで経っても変わらないよ。
理由言ってあげようか?思想そのものに問題あるんよ。意思疎通を早くするための議論を、遅い意思疎通のやり方でやってること自体、アホみたいな矛盾抱えてんだよ。
で、こうゆうことやってるとその過程で絶対にいらん尾ヒレ背ヒレがつく。やれ会社のための存在意義定義だの、トラブル起こさないための余計な内部ルール作成だの。その結果、本来の形とは歪められたメーリングリストやグループウェアがお披露目される。それこそ一瞥した瞬間「こりゃ使えねぇな」と誰にでも判断できるよなクズシステム、がね。
力入れんでいいところに馬鹿力使いまくって、肝心なところで1%も力出せなかったでーす。桜切るバカ梅切らぬバカ。
こうゆうのやってうまく行ってるところってのは、そんな事なんか何も考えてません。「便利そうだからまぁ使ってみっか」こんだけ。で、テキトーに作ってとりあえず使い始めちゃう。案外、というか確実にこうゆう使い始めをした方がうまくいくんよ。
元々たっかるい意思疎通なんかやってらんねぇ。そうゆう土壌が既に芽生えてるから、このスピードが実現できるんじゃないの?
馬鹿馬鹿しいからやめよーぜ。「いかにイントラネットを使うかを検討する会議」だの「メーリングリスト開設決議案」だの。時間の無駄。んなことやってる暇あったら、知り合い同士で勝手に雑談メール交わしてる方がよっぽど有意義でーす。
あ、で余計な一言言っておこ。よく業務と関係ない使い方とかにいちいち眉間にシワよせるヤツとかいるでしょ。「業務に関係ない話をここでするんじゃない」とかほざくジーサンとか。お願いですから死んでくださーい。
一見ただの雑談(特に使用開始初期)に見えるようでも、こうゆうことを繰り返すことで、「上を見ないと意見が言えない」という悪環境の破壊とピラミッドに囚われない「風通しのいい環境」作りには十分に役立つんでーす。そんな事も気付けないような人間にどーこー言われたくありませーん。
とっとと消えて。シッシッ。