遺跡に行こう!


 あ、そろそろ時間ですね。スタンバイOK?こっちもOK。

 んじゃ、よろしくー。本番5秒前、4、3、2・・・。

「つー訳でお蔭様で無事349回を迎えまして・・・何か言いにくいなぁ。なんか作者都合により今回1回早くやってくれって要請がありましてね。こうやって今くっちゃべってる訳ですが。それにしてももうそんなに回数行ってますか。なんつーかね、自己快楽もここまで来ると馬鹿を超えてただのキチガイですね。もういいから放っておいて勝手にやらしとけって感じでしょうか。ところで。今回なんかいつもと雰囲気が違いますね。いつもなら馬鹿だのキチガイだの言うのは相方の役目で、私がツッこむはずなんですけど。こうやって一人でボケて一人でツッコむには訳がありまして。今私の目の前に携帯電話が1台ポツンと置かれています。そろそろかな・・・」

 プルルルルっ。プルルルルっ。

「あ、やっぱりいかにも計ったようなタイミングでかかってきましたね。もしもしー」

「もしもしー」

「今どこにいますかー」

「平壌〜」

「嘘つけ!2時間前に打ち合わせしてたばかりだろーが!!」

「ジャブよジャブ。本当は三宅島なんですけどね。」

「をいっ!」

「もぉ泥と灰にまみれて大変。まぁあれだけキレイだった島が見るも無残な姿に。自然の力って恐ろしいですね。たかが地球の分際で人間様に何すんだバカって感じで」

「バカはお前だ!それシャレなってねぇぞ!大体春日井から2時間で三宅島行ける訳ねぇだろ!」

「一日も早い復興をお祈りしております。」

「おります。」

「つー訳で。本当は今、岐阜県の某市の境に来ております。中央線鈍行でかっとばしまして。」

「なんでそこに降りたのよ?」

「んー。こびとさんがここで降りろって教えてくれた。」

「アブねぇよその判断基準!」

「でも行き当たりばったりで降りたのは本当なのよ。で、そっから駅前の自転車屋さんでマウンテンバイクレンタルしましてね。サイクリングサイクリングやっほーやっほー めざせアームストロング〜。」

「遊んでんじゃねぇよ!こっちはてめぇの連絡待ってたんだぞ!」

「通りがかりの店で買い食いしたの。みたらしだんご。うまかったよ〜」

「食ってんじゃねぇよ!それ土産に買ってこなかったら殺すぞ!じゃなくって。とっとと本題に入れよ!」

「はいはい、せっかちなんだからもう。という訳でして、先程発見いたしました『今回の目的地』に突っ立っています。えっと、何分ぶっつけ本番なもんで住所とかはわかんないんですけど。ここは国道から一本ずれたところにある、新しい道路の工事現場です。」

「ほぉ。ちょっと状況説明してくれる?」

「ここは山のふもとなんで、おそらくこの山を横断するかなんかが目的の道路なんでしょうね。道路幅広いよー。多分両側2車線で計4車線位は余裕であるんじゃないでしょうか。で、今私は『この先立ち入り禁止』と書かれたアスファルトと土道のちょうど境目に立ってます。見事なまでに人の気配がないですね。で、どうやら最近はここの工事自体も進んでないみたい。古ぼけた車輪止めやコーンが土まみれになっておかれてます。」

「ということは・・・」

「でしょうね。不況対策の一環としてとりあえず作ってはみたものの今後は役所が不況になって見事に空中分解した類の遺跡かと思われます。」

「あー、つい先日も自民党の亀井静香が主導してクソカスな公共事業バサバサ捨てたばかりですからねぇ。それこそ県や市レベルになると、こうゆう捨てることもできないクズ建造山のようにあるんだろうなぁ。」

「実際、先ほども散歩してた近所の人に聞いてみたんですが、ここ1年位は工事も行われてないらしいです。行先の無い道路を数100m作っただけで、見事なまでに放置されてるんでしょう。」

「現実の寂しさですねぇ。でもさ、なんかそうゆう場所ってなんか不気味じゃない?」

「ですねぇ。昼間なのになんかうすら暗いですし。案外そこら辺の雑木林行けば他殺体のひとつやふたつは転がってると思いますよ。探してみます?」

「いいよそんなもんに興味示さなくても!」

「ひょっとしたら工事中断が原因で潰れちゃった土建屋社長の首吊り自殺現場も・・・」

「やめぃつっとるだろーが!!コラがさごそ言わすな探すな!!」

「・・・・・・・・・・・・・」

「ん?どうしたのよ?突然黙りこんじゃって。」

「・・・・・・あ・・・・・・」

「おーいなんか喋れー。わからんぞー。」

「・・・・・キャーーー!!、キャーーーーー!!」

「本当に死体見つけやがったな!!だからやめろ言ったろうが!!」

「エロ本見つけたよー。これお土産に持って帰るねー。」

「エロ本如きで絶叫すんじゃねぇよ!!つーか持って帰ってくんなそんなもん!!」

「なんでエロ本ってこうゆうひっそりとした場所に落ちてるのかねぇ」

「もういいよ!相変わらずくどいんだよ!!話題元に戻せ!!」

「という訳でしてね、もはや道として機能していないどこぞの道作成現場から ミニコントをお送りした訳ですが。」

「ミニコントってあんたが勝手にネタ仕込んでるだけだろーが。」

「実際、日本全国探せばこんなもんいっくらでも転がってる訳じゃないですか。せいぜい数十m規模のハナクソみたいなゴミから、それこそ長良川河口堰のような日本が世界に誇る超弩級クラスの産業廃棄物までいろんなゴミが全国各地に散らばってると。勿体無いと思いません?」

「まぁそりゃそうですわね。たかが道ひとつといったって、それ作るのには少なくても何百万〜何千万という税金が使われてる訳ですから。」

「でもさ、今までだったらその過去の投資が勿体無いから、と無理矢理理由付けして工事進めて、結果として何十億規模の赤字と巨大なゴミを作り続けてたという事実があった訳でしょ?」

「えっと、諫早湾干拓地に、地方新幹線の基礎工事、関空や中部新空もどうせこれらの仲間入り・・・」

「こうゆう無駄遣いを繰り返さないこと。それを今後の教訓にしなきゃいけない訳で。確かに今回の自民党の公共事業縮小政策も素直に評価しますよ。でも、よく考えたらこんなもんはてめぇのケツてめぇで拭かせただけの話でしょ。一回拭いたからもういいよ、じゃなくてこれからも拭かせ続けなきゃいけないんだから。」

「若干たとえが汚いような気もするが、まぁ言ってることはごもっともだね。」

「つー訳で、今回こんなものを用意してきましたー。」

「こんなものって言われても電話だとわからんぞ。」

「そこにこれのレプリカ作って置いてあるでしょ?被せてる布、取ってみて。」

「あぁ、さっき『絶対中身見んなよ』と念押してたこれ?いいの開けちゃっても?」

「どんぞー。」

「どれどれ、結構でかいな、よいしょっと・・・・・・へ?」

「読み上げてみて。」

「『名も知れぬ公共事業、安らかに眠れ』って・・・これって・・・」

「そ、慰霊碑。ちょっと準備するんで場つないでて。」

「慰霊碑って。そんな簡単に言われても。いつ仕込んだんだよこれ。ホームセンターのベニア板製とはいえ、身丈俺の身長位あるじゃねぇか。笑い取るためにはここまでやるのかあいつは?まぁご立派というか呆れ果てたっつーか・・・おーいまだー?」

「あ、終わったよー。今予め掘っておいた穴に埋めて、立派な慰霊碑が立ちましたー。こうゆう風にね、全国津々浦々の挫折公共事業の慰霊碑を建てる運動を全国に広めれば、立派な公共事業抑止効果あるぜ。これを『公共事業の霊を静める運動』と名付けます。アイデア料いらないんで、お好きな方は勝手に盗んでいってくださーい。」

「なんかネーミングがダサダサなんだけど」

「気にしない気にしない。大事なのは茶目っ気と実行力。案外こうゆうバカなことやってる方が楽しいもんだぜー。クジラ親衛隊と化してる環境団体連中見てみろよ。クジラのためだったら集団自殺しかねないような悲壮感漂わして何が楽しいんだか。あんなバカの手法真似ることないのよー。己の手段でラクして楽しくいきましょー。ついでだからクジラも殺して食おー。いえーい。」

「おーい言ってることがムチャクチャになってきたぞー。もう携帯の料金気になるし、そろそろ切るから帰ってきてねー。」

「あ、待って。今回個人的な事情もあって、先の公共事業慰霊碑の他にもういっこ慰霊碑建てといたから、それ紹介させて。」

「なんじゃそりゃ。まぁどぞ。」

「『暴言吐きHiroKi Fujiharaよ、安らかに眠れ。』んじゃ帰るねー」

 

 作者を殺すなーーーーーー!!


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