大雨がやってきた。(後編)


 ・・・・ぶくぶくぶくぶく・・・沈むぅ・・・皆さんさようなら・・・。

 唐突な始まりですがご安心を。濁流に飲まれて溺れてるのではありません。湯船の中で惚けて現実逃避してるだけですので、心配しないで結構。あ、初めからされてないか。

 つー訳でよーやく地獄のよな豪雨の中を駆け抜け、無事避難場所兼寝床へと到着いたしました。湯船を通過しまして「ドブネズミフジハラ」から「湯上がりフジハラ」へ。よーやく一息つきます。

 麦茶が差し出されます。一息に飲み干します。

 ・・・・・・うめぇーーー。生き返るーーー。

 やっぱ雨水より麦茶だよウン、って何を納得してるか。

 それにしてもまぁひどい雨でした。いや、実際には現在進行形なんでしょうけど、とりあえず寝床に到着できた時点で、私の中では一区切りになってます。人間って勝手なもんですね。

 テレビの中継では、名古屋駅での「タクシー4時間待ち」の長蛇の列が映し出されてました。あーやっぱこうなっちゃうんだなー。タクシーを徹底的に避けた戦略は正解だったかも。

 ありゃままま。これ、コンビニだよね?半地階だからか、完全に水没してるー。こりゃ営業再開までは時間かかるかもなー。

 うーん、春日井市西部には避難勧告か(注:高蔵寺ニュータウンは東部)。知り合い何人もいるからなー。大丈夫なのかなぁ。んげ。西枇杷島町は町全部が避難勧告?知事が自衛隊出動要請?うわぁ、とんでもないことになってるよなぁ。

 あとこれは後から知ったことなんですが、我がホームタウンJR高蔵寺駅も見事に水没したそうです(構造上半地下駅の為)。翌日の夜高蔵寺に帰ってきたら、すべての機械処理を駅員さんがこなしてました。改札機はもちろんのこと、切符販売機、清算機、タバコの自販機、全部沈んで故障。天井にぶら下がってる電光掲示板までもがダメージくらって全滅。あーあ。駅員さんにどれ位沈んだの?と聞いたら、返ってきた答えが「泳げる位」。おーい(笑)。

 会社出てから数時間の間に起こった数々の事故・被害に半ば呆然とするしかない状態でした。うわぁ、みんな大変だなぁ、こりゃ今こうやって屋根の下に居られる事自体、幸せなのかもなぁ・・・・・・あ、安心したら眠気が・・・・・・寝る・・・・・・おやすみ・・・・・。

 

 

 ピピピピピッ、ピピピピピッ。

 いつも通りの7時20分に起床・・・・・あれ?なんかいつもの寝床と風景が違う・・・・・って寝ぼけてんじゃねぇってば。前日泊まらせてもらったんだろうが。あ、そうか。マジ寝ぼけてました。

 そういえばあの後、何回も地面に雨叩き付けてる音で何回も目覚ましちゃったもんなぁ。ひょっとしたら今も降ってんでしょうか。窓の外を見てみます。

 あらま。太陽の光が出てる。まだぽつぽつと雨粒は落ちてるけど、これならほぼ回復したんじゃないですかね?えーとすんません、テレビ見させてくださひ。

 ぽち。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 うーん、まだJRも地下鉄も復旧できてないのかー。まだ昼頃までは大雨降る危険性が残ってることと、昨日までの大雨で至る所が冠水したり、土砂崩れ起こったりしてて、交通網ズタズタに引き裂かれているのが原因らしい。

 どうしよっかなー。会社休んじゃおうかなー。でもなー。今テストの真っ只中だしなー。今日休んだら休日出勤確定だしなー。それはイヤだなー。それ以前にJR復旧してくれないことには家にも帰れないしなー。

 んじゃまぁ時間かかってもいいから出勤することにしましょうかね。少々遅刻したって構うもんか。出てくるだけありがたいと思いやがれ>会社。んじゃどうもありがとうございました〜。このご恩は忘れませぬ〜>知人及びその家族さん。

 あ、忘れたらごめんね。コラ>俺。

 つー訳で、昨夜死ぬような思いをして歩いた道を再び引き返します。昨夜ドブ川みたいになったのが嘘のように、見事に水がひいてます。そっか、水が流れてたってことはそれだけ水捌けもよかったということなんだな。

 やっぱり昨日見た車もそのまま乗り捨てられてました。後に新聞で読んだところによると、こうゆうトラブルが続出して、JAFを始めとする救護会社が数日間パニックに陥ったんだそうです。もうライバル会社だろうが何だろうが、そんなこた関係なくいかに数こなすかで精一杯だったらしい。やっぱり爪痕大変なのねぇ。こうゆう車の影響でそこら中渋滞起こしてましたし。

 さて、私の方はというとようやく駅に到着。ただ、予想通り、駅関係は全滅。昨日唯一乗れた名鉄も、どっかで事故でも起こったのかまだ運転されてません。

 うーんどうしよっかなぁ。なんか動くまで待つのも見込みなさそうだし。だったら大曽根まで行ってみるかな。歩いても5分10分の違いだし。それでJRもバスもダメだったらまぁ歩いて千種まで行くか。まぁ30分〜40分も歩けばなんとかなるだろ。

 この作戦は最高の形で当りました。大曽根についたら、なんとタイミング良くJRが運転再開。その時点では徐行運転のために1時間に2本しか来ないはずの電車がホームに上がった瞬間に到着(笑)。ぎゅうぎゅうの電車に乗り込む形だったとは言えなんとか千種から東山線経由で会社へと無事到着できました。大曽根でムリヤリ乗る時にたまたま私の前にいたお姉ちゃん。乗るためとは言えムリヤリ体押し付けてしまいました。ごめんね。謝んなよここで。

 会社に着いてからは、まぁお約束なんですが、「大雨による不幸自慢大会」でしたねぇ。駅のロビーで一晩明かした。実家が沈んだ。車が沈んだ。家族が車で事故った。etc。まぁこの辺はさすがに割愛ということで。

 ただまぁ思うんですけど、外部の人間があーだこーだとギャグにするのはともかく、当人達がこのように笑い飛ばす姿勢って、ある意味すっごく重要だと思うんですよね。こうゆうのが「なにくそっ!」という原動力にもなる訳ですし。ヘコンだままでも自分達が動かなきゃ状況は改善しないですし。

 そうゆう意味では、特に西枇杷島を始めとして今回被害にあわれた皆さん、キツいでしょうけど笑い飛ばせる位まで吹っ切って、前突っ込んでいって欲しい、とは思いますねぇ。それでも明日はやってくる、だったら前向きに明日迎えていってやれ、って感じで。

 頑張ってください。>被災された皆さん。

 で、本来ならばここで文章終わるはずなんですけど、まだこの後にもエピソード続いてんだよ、私的に。さすがにこのお話4回続ける気はないので書き殴らせてもらいます。

 あのねぇ、この日の帰り、私もう疲れ果てちゃってたもんですから、帰りは「一度名駅まで言って、そこからどんだけ待ってもいいから座って帰れる列車で帰ろう」つー作戦を取ったんですよ。

 結果的にはこの作戦は大当たりで、高蔵寺まで座って帰れたんですけど、この過程で事件ありましてねぇ。別の意味でヒヤヒヤもんでした。

 金山駅で男性二名が私の右隣とそのまた右隣に座ったんですけど。なんか足踏んだか荷物踏んだかで殴り合いの喧嘩始めちゃいまして。久々に見たよストリートファイトって。

 え?私はその時どうしてたかって?決まってんじゃないですか。席に座ったまま、イザとなればバックれられるように荷物だけまとめて、一部始終観察してましたよ(笑)。こうやってネタにできてるのもそのおかげ。現にその時左隣にいたおばちゃんから「ちょっとアンタ、止めなさいよ」と言われたりもしましたが、「いざとなったらすぐ逃げれるように荷物抱えてなさい」とだけ小声でアドバイスして、あとはじっと眺めてました。

 だって相手が激昂してエモノ取り出したらどうすんの。薄情かもしれんけど、そうなった時に私ができることって逃げることしかないのよ。だからまず第一に逃げ道を確保しておく。その上で限界ギリギリまでネタ集め。

 私は今までこうやって生きてきました。そして多分これからも。

 まぁ結果的には端で見てたおっちゃんが仲裁に入る形で収まったんですけど、なーんか今回一連の騒動を象徴するような出来事でした。

 やっぱいろんな人がいると思うんだよな。こうゆう極限状態でどうゆう反応するかって。自分だけでも助かろうとする人、相手見過ごせない人。自暴自棄に陥る人。何もしない人。その他もろもろ。

 いろんな人がいるんだなぁと思ってね。この大雨ひとつ取ったって、百種百様の反応がある訳で。これすべてに言えるんだよなぁ、ってね。

 まぁ何にせよ一生に二度あるかないかの体験でしたねぇ。濃かったですハイ。

 もう二度とゴメンですハイ。本音。


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