皮被って御視察


 仕事サボッて文章書いてたら、もとい、仕事するフリをして文章書いていたら、変わんねぇよ、一通のメールがやってきました。

 メールには一言「お願い」。ヘッダを見るとどうやら常駐先で働いてる人全員に同報されているみたい。どれどれ。

 ・・・・・・ふーん。お偉いさんがやってくるんだ。いわゆる「御視察」ってやつね。で、わてらは何をお願いされたんだ?

「メンバーは全員、この時間には必ず席に着席してください。」
「やむを得ない理由がある場合を除き、ミーティングや出張の時間は 視察時間前後にずらしてください。」

 要はみんな席についてろよ、と。まぁわからんくもないけどな。視察される側にしてみたら、人々が汗水働いて仕事してるところを見てもらいたい訳だから。

「予め机上は整頓しておいてください。私物は置かないでください。」
「事前にチェックして、ふさわしくないものは一時的に預らせて頂きます。」

 やべっ。VisorのクレードルとPalm関係の書籍隠さなきゃっ。でもなんだかなぁ。そこまでやる必要あるのか?

「当日は私服厳禁とします。必ずネクタイ・背広を着用してください。」
「派手なネックレスやピアスなどは慎んでください(特に男子)」
「携帯電話の電源は切ってください」

 ・・・・・・・・・・。

「視察時間中の喫煙室・休憩室の使用・立ち入りを禁止します。」
「喫煙及び飲食を禁止します。」
「コーヒー・お茶などの購入も禁止します。」

 ・・・・・・・・・・ぷっ。

 ぶははははははははは!!バカかこいつ!!なーんもわかってねぇよこの脳無し!まだ駆逐されてなかったんだっ!すげぇよ遺物発見だよ現代の奇跡だよゲラゲラゲラゲラ〜!

 こほん。失礼。つーかオフィスで堂々と声張り上げて笑うなよ俺。「ついに気でも触れたか」的視点で見られちゃったじゃないか俺。え?違うとでも?うーん。否定する自信なし。

 てなことはともかく。

 いや、ビックリしましたです。いくら要人を迎え入れるとは言え、ここまでやるかな普通。というかやってたんですね。過去も今も。

 誰がこんな事言い出したのかはわかりませんし、そもそも誰が言ったかを知る術なんてないんですけど。

 おそらくこんな感じなんだろうなぁ。「相手様に失礼のないようにしなければならない。そのためには我々の完璧な姿を見てもらわなければならぬのだ!万が一にもボロを出すなんてことのないようにしなければ!よし全員に通知しろ!戒厳令だ!万全の準備を行うように!」てな感じでお触れでもまわったのかな?知ったこっちゃねぇけど。

 これがバブル崩壊以前のイケイケドンドンな時だったらまぁ話はわかるんですな。だってその時代の御視察イコールご機嫌取り、でしたから。ゴマすって持ち上げて機嫌取っておけば利権取れたお金落ちた仕事もらえたのわかりやす過ぎる低レベルな経営戦略とっておけばよかったんですからね。

 でも、何故にそれを今更やる必要がある?今の時代にそんなやり方、根本的に間違ってるんじゃないのかえ?

 高度成長時から続いてた上意下達のトップダウンがわらわらと崩壊した原因のひとつに、部下が都合のいいことしか報告をしないがために、トップが会社の現状を正確に把握できなくなってしまった、その為に経営判断誤ってしまい会社を窮地に追い込んでしまった、つーのがあったでしょ?こんな例それこそ掃いて捨てる程あった訳でしょ?

 何故にそこから学ぼうとしないんかなぁ。やれやれ。

 で。実は今回、どこぞのバカチンの作った御通達に怒り覚えるよりも別の感情が入り込んじゃったんですな。「可哀相だなぁ。こんな所視察しなきゃいけないなんて」、という同情の念。実はこっちの方が強かったりするんですよね。

 なんでわざわざトップ層とかの人間が、視察の名の元に訪れようとするのか。これを考えたらそう難しい問題じゃないはずなんですけどね。(未だに一部には存在するであろう「よいしょされたくて御視察に向かう」ようなバカは社会的にも精神的にも存在価値ゼロなのでとっととマシンガンで蜂の巣にして大安定。よってここでは無視。)

 視察する側が知りたいのは「現状の把握」に他なりません。それも数値や言葉では表れない「ありのままの現状」これが欲しい。だからわざわざ時間と交通費割いてやってくる訳で。

 オフィスひとつ眺めてるだけでも、案外「今この会社はどうゆう状態なのか」ってのは推測できるもんなんですよ。机に積まれている書類の山やメモの溜り具合。人の流れ。休憩所の賑わい振り。ゴミの量。積まれてる荷物。人に聞かずとも材料はいっぱいある。それも普段数値や報告書とかでは見ることのできない材料ばかり。

 ですので、判断材料を多く手を入れたいのであれば、本来は「抜き打ち」でやるのがイチバンなんですよね。社員等には知らせずに、ありのままのオフィスの姿を見てもらう。そこに価値がある訳で。

 ですので、仮に視察中にマイナス材料を発見してしまったとしても、それは必ずしもマイナスになるとは限らないんです。マイナスの材料を見つけた、というプラスの発見がありますから。それを把握した上で「じゃあマイナスを打ち消すにはどうするか」と対策を立てればいいんですから。悪いことが見つかるのは悪いことじゃない。

 そう考えたら、「来るぞ〜!」と告知してお掃除して背広着せて喫煙室閉鎖して仕事しゃかりきにやってるフリさせて。何の意味があるんだ?それのどこが現状だ?嘘の報告してるだけじゃん。「OKです大丈夫です万事うまくやってます」そんなポーズ取られたって信用できるかい。

 ・・・・・・ま、ここまで書いてはきましたけど、要は程度問題ですわーね。客人が来るからお掃除しましょ、って感覚自体は悪いもんじゃないと思うし。客人来ることで社員にいい意味でプレッシャー与えるって作用もあるだろうし。

 要は「無理していい子ぶったって、バケの皮は剥がれるぜぇ」ということなんでしょう。そんな嘘っ面見せたところで、いつまでも騙せるもんじゃねーぞと。いつかはバレるさ。悪いところ出して膿出し尽くすことにこそ価値があるんじゃねーのかい?別に取って食われる訳でもあるめぇし。何事も自然体がイチバンってことにしときましょーかねー。いいかげんだけど。案外そん位でちょうどいいのかもしんないよん。

 んじゃそんな訳で。私30分位サ店で時間潰してますんで。あとは適当にごまかしといてね〜。よろしく〜。

 視察時間中に雑文書くな俺っ。しかも逃げるのか俺っ。こらっ。


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