まにあ視点の大須風景


 ちょっとした野暮用がありまして、先日久しぶりに大須に行ってきますた。会社帰りに暇つぶしも兼ねてふらふらと。

 花金なんて今じゃすっかり死語扱いされるようになってしまいましたが、まさにそんな状況を思い浮かべてしまう金曜日の午後6時半。今から飲みにいきまーす的なリーマン集団や、これから勝負です的雰囲気をぷんぷん醸し出してるカップルを横目に上舞津駅へと到着。目的の物の購入をあっさり終わらせ、まぁ時間もあるし久々に見て回るかぁ、と大須電気街圏内をぐるぐると廻っていたのですが。

 それにしても。

 エロゲ屋増えたなおい。

 前まで普通のソフトも扱ってた店がいつの間にかエロゲ専門店になってたりするし。グッドウィルもエロゲ専門ショップ2つ(3つ?)も抱えてるし。メインストリームからちょいとはずれた建物の2Fにも怪しげに点在してるし。え?それは同人ソフト屋であってエロゲ屋じゃない?わかんねーよその違い。

 で、興味半分観察半分でいくつかの店覗いてもみたんですけど、これがまた客入ってるのねー。一般のパソコンショップとかがどこもぽつんぽつん位にしか見当たらないのに、某エロゲ屋に至っては、獲物狙う野郎共でごった返してるんだもん。こうゆう光景には慣れているはず(アダルトビデオ屋のバイト経験有)の私でもさすがに一瞬ひいたぞ(笑)。

 そうなんだよなー。今の大須ってこうなんだよなー、とちょっと納得してしまったのですが。あ、言っておくけど私が言ってるのはあくまで電化街としての大須のことだかんね。街全体に対する評価ではないので誤解はしないよーに。

 ていうか実の話、冷静に観察してみればエロゲー屋が何十店もわなわなとボーフラのよに出てきた、という訳でもないんですよね。1店出てくる度の(外から見た)インパクトがあまりにも強いがためにそう思えてきちゃうんですけど。実際のところは、エロゲー屋が強くなったというよりは、相対的に既存の一般店が弱くなっちゃったのかな、なんてのを感じます。

 半年前位かな。パソコンのモニターが壊れてしまったために、知り合いに値踏み頼んで共に大須廻ったことがあったんですけど、その時に知り合いがこんなことを言ってまして。

「大須も以前に比べたら活気無くなっちゃったねー。わざわざ大須まで来てモノを買う理由が無くなっちゃった。」

 その時はあーそーかもねーと生半可に返事返してたのですが、今を思うとこのセリフに妙に納得している自分がいますね。

 確かにちょいと前、それもほんの数年前までは「名古屋でパソコン買うんだったら大須で買うのがデフォルト」的な暗黙の了解があったような気がします。つーかその更に前ですと大須に行かないことにはパソコンなんか買えなかった。

 まぁ単にこうゆう昔を知っているから、こんな発想が出てきてしまうだけなのかもしれないけど。

 やっぱり時ってのは残酷なもんでして。ここ数年、コンプマート、グッドウィル、コムロードといったパソコン小売大手がこぞって、郊外に大型店舗をどーんと構えるようになりました。無料の大型駐車場も当たり前、値段も大須の本店とまったく一緒、品揃えも在庫も豊富だから買う側の心配何も無し。

 そりゃ足向かなくなって当然かなぁと。特に名古屋圏に生活していますと、必然的に車の使用頻度が高くなりますから、有料駐車場しか用意されてない大須がどうしても不利になるのは否めないですし。

 更に今ではこれに加えてインターネット通販なんてのがありますからね。家にいながらにして安い部品捜し求めてそのまま注文宅配でお届け、なんてのが簡単にできちゃうとなれば、わざわざ足を棒にして商品探し回る必要もなくなっちゃうもんなぁ。

 実際、私が大須めったに行かなくなったのも春日井にコムロードやらエーデンやら出来てからですしね。行くことになっても、目的はPDA関連のマニアックな部品とか、一般の本屋では買えないような技術書とか、そんなのばっかりですから。

 ・・・マニアック・・・・・・あ、そっか、これか理由は。

 どんだけ郊外店が乱発しようが、インターネット通販が普及しようが、大須のお店は大須のお店としてやっていかなきゃならん訳で。となれば売上確保する為にエロゲーに鞍替えするってのは自然な発想のよーな気がしますな。エロゲー屋が固まることで、ユーザにとっては「エロゲー買うなら大須」てな雰囲気も形成されていき、それによってさらに客足を引き付けることも可能になってくと。

(ただ、実際にはエロゲー屋も厳しいなんて声も聞きますからなんとも言えないんですけどね。供給過多とユーザ層の硬直化(新規ユーザが手を出さない)が原因で市場としては頭打ちになってるのが現状なんてのも小耳に挟みます。)

 同じような理由で、「大須でしか買えない」PDA部品やら、Macの周辺機器やら、そうゆうのを置いていかないとお客さんが寄ってこない、みたいな状況ってのが既にあるんだろーな。

 パソコン街としてぐいぐいと知名度を存在感を上げてきたはずの大須が、あまりにもパソコンが普及し過ぎたがために存在感を無くし始めてるという現実。なーんか寂しいもんがありますね。

 でも、なんだかんだで馴染みもあるしね、この街。メモリの値段見たその足で春物のジャケット見たり大判焼き買い食いしたりなんて芸当ができるのはここだけだろーし。一般人とマニアとヤっちゃんと外国人と業者がここまで違和感無く混ざり合う光景が見れるのもここだけだろーし(笑)。

 もし仮に今後パソコン産業が衰退したにせよ、この街の雰囲気だけはどこかで残っていて欲しいもんです。

 んじゃ次回行ったときには、今後の大須の平穏無事をお祈りしつつ、エロゲーの一本でも買うことにしましょうか。

 買うんかい。


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