1×1→1×1


 特に考えずにタイトルつけてみたはいいけど。どう読むんだこれ。

 まぁそれはそうと。

 先日、某幽閉先(常駐先とも言う)におきまして、オフィスの引越しがありまして。まぁ要は人数が増えすぎて収集つかなくなったので新たな場所を確保しましたそこに移動しませう、という話ですな。そんだけ人数増やせば問題解決・・・それってデスマーチ(死の行進)の超初歩的な前兆じゃん。大丈夫なのか本当に?

 まぁそれはいいや。どーせ囚人に自由なんてないし(言い過ぎ)。あと数ヶ月ガマンすれば仮出所できるし(さらに言い過ぎ)。はいはいわかりましたよー引っ越せばいーんでしょ引っ越せば。という感じだったんですけど、実はその内心で期待していた部分があったのは事実。

 というのも。ぶっちゃけた話、今までの居場所の環境が最悪だったんですわーな。これまでにも過去いろんな作業場所を流れ鳥の如く右往左往してたんですけど(意味違うよそれじゃ)、その中でも一、二を争う位ひでぇ場所で。

 まず各個人に与えられた物理スペースが幅1m×奥行き1m。言っておくけど誇張なしよこれ。メジャー使って測ったもん。測るなよ俺。厳密に言うとさらに実情はひどくて、実質使える幅は70cm〜80cmがせいぜいの限界。ちょっと気を抜けば隣の人と肩がごつん。背伸びをすれば後ろの人の頭にごつん。まぁ鉄格子の無い懲罰房みたいなもんを想像して頂ければ十分ではないかと。

 その限られたスペースにノートパソコンだの資料だの私物だの全部置かなきゃならん訳ですから。いくら立って半畳寝て一畳っつっても限度があるんだ狭ぇんだよボケカス!こんなんだったら傍らにみかん箱置いて作業したほうがまだマシだっつーの!何が「これで快適に作業しましょう」じゃナメとんかシメるぞアホンダラァ!!

 え?だからそれを改善するために引越しするんだって?やだなぁそれを早く言ってくださいよぉお兄さん。誰だお兄さんって。

 あとこれは環境というよりは性格に属することなんですけど。私、周りに自分のディスプレイ覗かれてるのがわかると、どんな作業やってようが、一気に集中力切れる人なんですよ。逆を言えば常に集中していない、ということも言えるんですけど。雑文書いてるときはもちろんのこと、マジメに設計やコーディングしている時でさえも他人の視線がわかった時点で手が止まってしまう。それだけに、できることならば隣のディスプレイ眺め放題な肩ぴったりの作業空間ってのは勘弁願いたいんですわーね。わがままと言われてしまえばそれだけですけど。よほど自費で覗き防止用フィルターでも買おうかと思ってる位、この点は不満に思ってまして。何やってても監視されてるような不信感つーのがありますわーな(まぁ実際監視されてんだけどな)。

 まぁこうゆう不満の他にも、人だけはむやみに多いから常に空気は汚れてる。暖房も冷房もロクに調節できない。電話はリンリン鳴り止まない。ミーティング机では誰かが大声でケンカしてる。どれもこれも人間の集中力を削ぐ為にわざとやってるとしか思えないような環境。毎朝あそこに通うと考えるだけで吐き気してましたし。これでやっとおさらば、せーせーのせってなもんよ。

 という訳で引越し当日でした。身の回りのモノを整理して、ノートパソコンやら資料やらを抱えて旧作業場所から新作業場所へと移動してまいりました。最低の環境サヨウナラー!最高の環境ウェルカムー!

 で?私の場所ってどこ?ここ?

 へ?ここ?

 メジャー再登場。うーんと。1m×1m。

 3。2。1。ハイ。

 広さ一緒かよぉぉおお!!みかん箱持ってこいコラー!!もうヤダー!!机なんか使うもんかぁ!みかん箱でしごとするー!!愛媛県のみかん農家の皆さん哀れなプログラマにお恵みをー!うわーん!!

 (錯乱中につき3分間お待ちくださひ)

 ・・・・・・・・・ということがありまして。現実という名の大きな壁に200km/hでクラッシュして昇天してるところでございまする。たとえ変ですけど気にするな。

 まぁただ、このオフィス環境に関する問題だけは、今の日本のオフィス事情や価格の点でもはや策無し、というのが現状なだけに苦しいもんがあるんですな。

 実際私はこんだけボロクソ言ってますけど、逆に常駐先の人間に言わしたら「こっちだって狭い中で苦労して場所やりくりしてんだから文句抜かすな!みかん箱使わないで済むところか机に椅子まで貸してやってんだから感謝されて当然だろ!なんで文句言われなきゃなんねーんだよクソーやってられっか酒持ってこーい!」てのが嘘偽り無しの正直な感想だと思いますよ。これはマジ。行く方も受けるほうも、みーんな苦しんでる。快適なオフィスでゆったりおしごと、なんて実現できてるホワイトカラーなんて、全人口の0.01%もいねーんじゃねぇのか?てのが現実なんだと思います。

 やっぱそんだけどこも余裕無いってことなんでしょうね。安くなった言われても、オフィス空間といえばやはり不動産。余裕あるスペース確保する位だったら、必要最低限のもっと狭くて安いオフィスに引っ越しますなんてのが当たり前。いつまでいるかもわかんねぇ得体の知れない外注なんぞに回す金なんか無ぇよ、というのもうなずかざるを得ないと。

 私自身は既に「客先常駐してモノ作る」という今主流のやり方に関しては完全に見切りつけてますし、将来的にも悲観的観測を立ててます(これ繰り返す位だったら異業種に逃げる)のでまだいいのかもしれませんが。まだこのやり方を続ける人達のこと思うと不憫だったりしますよ。今後の景気がどうであれ、作業場所の環境が今後再上昇に向かうとはとても予想できませんから。逆により狭く、より汚く、より騒がしい。こうゆう方向に向かっていくと思う。とことん悲観的だけど。こう考えたほうが現実的じゃない?

 ただ、こうなるとこれらの歪みを真正面から被るのは実際に現場で作業する側だったりするからなぁ。この辺タチが悪いですわ。今後こうゆう状況がさらに悪化しだしたとして、こっち(現場側)が文句言おうとするもんなら、あちらさんはこうやって切り返してくると思うんよ。

「ちょっと狭いとかうるさい位で文句言うな。そうゆう環境でも順応して成果を出すからこそ利益を得ることができるんじゃないか。それも仕事のうちだ。つべこべ抜かすな。」

 こんな感じでね。

 オメーがつべこべ言ってんじゃねーか馬鹿。大体客先常駐に頼りきって仕事してたんはどこのどいつだよボケ。「とりあえずスキルあろうがなかろうが、客先送ってしまえば机もいらないし、事務所も狭くて済むからラッキー。教育もあっちでOJTだから手間もかからず。それで育てばめっけもんだし、育たなかったら使い捨て。次取ればいいさぁケッケッケ」的な考え方してたんじゃねーのか?だからこそのこのザマだろうが。スキルあるヤツには逃げられて、残ってるのは客にも断られるようなヘボばかり。この体たらくどうケリつけるつもりなんだ?

 ここでキレてもどーしよーもないんですけどね。過去は戻ってはきませんし。

 かなり本題からずれたような。元に戻す。

 これだけははっきりと言えると思うんですけど、もはや「可能な限り人員を詰め込む」形での作業ってもはや不効率以外の何物でもないんですよね。

 「物理距離が近ければコミュニケーション取りやすいから仕事もうまくいく」なんてのも単なる幻想ですよ。見栄っ張りの嘘っぱち。ストレス溜めていくだけですって。かえってコミュニケーションの阻害要因にさえなり得ます。

 自分は集中したいのに周りにはちまちまと妨害攻撃受けて。その上自分の行為が他人の集中の妨げにもなってしまって。絵に描いたような悪循環。その繰り返しを長く続けていくことで、溜まったストレスはいつか、しかし確実に爆発しますよ。実際「そんなことでぇ?」てな些細な理由で職場を去っていく風景を幾度と見てきてるんだもん。

 コミュニケーションはお互いが(精神的かつ物理的に)適切な距離感を保つことで初めて成立するもんなんだ、てのがこの形態でのおしごと続けてて得た収穫だと思っております。必要なときは膝突き合わせて意見交える。そうでない時はお互いが考慮して、自分の作業に集中する、集中させる。それができるかできないかですよ。で、それを実現できるかできないかに大きく関与するのが机のスペースだったり、隣の人との間隔だったりするんですよ。馬鹿になんねーんだぞこれ。

 嘘だと思うんだったら。普段5人用の長机で作業してるんだったら、試しにそこを4人でやってみな。一日、一週間単位での疲労度や作業効率って、目に見える形で明らかに違ってくるはずだから。たかだか数十cm〜1mの差はそこまで影響しますから。理論云々とかじゃなく、己の経験として結果保証したる。

 ただでさえ、不況のあおりで、高いスキルを低負荷でこなすことが要求されてるんだから。思いっきりトム・デマルコの受け売りさせてもらうけど、ありとあらゆる手段用いてでも「ゆとり」作るための努力しねぇと。

 冗談抜きで潰れるぜ。人も仕事も組織も。

 ・・・・・という訳で以上、新しい作業場所の1m×1mの空間から、両隣の人の目を警戒しつつお送りいたしました。

 それではでは・・・・・・へ?何これ?

 プレゼント?ゆとりを得るために活用してくれ?

 なんでしょーね?包装開けてみるね?

 ・・・・・・みかん箱?

 ・・・・・・マジっすか?


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