僕らが残業する理由
時事ネタ中心だったはずの当雑文サイトも、ふと気がつけばいつの間にやらデジタルドカタ叩き専門駄文サイトへとすっかり様代わり。だってさぁニュースはおろかWebでさえもロクに見られない生活なんだもん。つーかもはや「人」じゃないよな。「奴隷」。いきなりそこまで卑下するか私よ。
という訳でいいかげん脱出活動記録も佳境に入りつつあるのですが。これをやろうとすると、書こうとする私はもちろんのこと、読んでもらう側にも相当の苦痛とストレスを覚悟してもらわなきゃいかんのですよ。
というのを言い訳に、今回はちと軽めの話題をさせてくださいな。つっても所詮デスマ話だから、心身健康な人が読んだらストレス感じるのには変わりないんだけどなわはははは。
はぁ。
ま、それはともかく。
やんごとなき事情(外圧、もしくは脅迫)により、毎日毎日ほぼ終電まで残業させられている(まぁこの場合はこうゆう表現の方が的確でせう)のですが、その日はちょいと状況が違いました。
というのもちょうどその日がそのプロジェクトでの飲み会だったんですな。基本的に全員参加ということでしたので、午後6時位を境目に皆わなわなと席を立っていくと。普段は私が一人勝手に席を立つことの方が多い訳で、ちょいと見てて異様な風景でした。
え?私?そりゃあもちろん欠席させて頂きましたよ。つーかだな、今の体調でこってり中心カロリーてんこもりの居酒屋メニューなんて胃が受け付けねぇっつーの。ただでさえお酒一滴も受け付けないっつーのに。倒れたその日のうちにキャンセルのメール打たせてもらいましたわい。
じゃあオメーもそれに乗じてすぐに帰ればええやろ、というツッコミが入ってきそうなもんですが(実際参加しない人もこれ幸いとほとんど帰った)。
うえーん。帰れねぇんだよー。えぐえぐえぐ。泣くなって明日があるさ。デスマってると明日さえもが苦痛にしか見えないけどな・・・追い討ちかけるなっての>俺。
まぁやんどころなき理由がありまして。どうしても進められるだけでも進めておきたかったんですな。
その日は金曜日だったのですが、飲み会に出た/出ないを問わず、ほぼ全員が土日を返上するという異常事態。その一方でわすは体力の限界のため休出を拒否したと。そのため月曜日になって一人進捗遅れてるとまた何を言われるかわかんねぇと。そんな事情がありまして。糞っ垂れな事情だけど。
んでもまぁ今さらどうにもならない訳ですし、仕方ない、やっていきましょうかねぇ。と珍しく人間のクズらしからぬ行動に出たという訳です。今度の正月は大雪で交通網マヒすんぞ覚悟しとけ。脅しの観点間違ってるっての。
飲み会参加者&便乗早退者(7時で早退ってのも馬鹿な表現だけど)の最終グループが席をたったのが午後7時。がらーんとしたオフィスの中にぽつんと取り残される私。実際には数人いるのですが、いつもの豚小屋状態を考えればこんなのいないも同然。
んじゃ始めましょっかねぇ。えっと、この仕様書まとめなきゃならんのだよな。えーと、まずは出すべきものピックアップして、分類して並べて・・・。あ、この2つの機能ほとんど同じじゃん。ついでだからひとつにまとめちまえ。そういえばあそこの記述も変えなきゃいけなかったよなぁ、これも一緒に。えっとあとはこれをまとめて図表化しなきゃなぁ。レイアウトどんな感じになるんだ?一度裏紙で落書きしてみっか。これとこれ1枚にまとめて、改めて打ちこんでページ整えて切った張った・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
ふわー。結構いろいろやったなぁ。区切りとしてはいい感じか?えっと今何時?
?
???
11時半?
やっべぇ終電!!ひえー急いで片付けてトイレいって荷物持って!おつかれさまで・・・あ、人っ子一人いね・・・あ、一人いた。普段だったら声もかけないでとっとと帰るとこだけど。こうゆう状況だもんな一声かけてきますか。
「一段落ついたんで帰りますー」
「あ、お疲れ様です。終電?」
「そそ。急がないと。あれ?いいの?まだやってて。」
「あ、私、車。」
「あ、さいですか。んじゃお先にー」
「おつかれー」えっと。あの人と初めて会話したよーな気がするな。まぁいいや急げーお疲れー。
でまぁなんとか終電には間に合いまして。ちょっと落ち着いてから、この4時間でやり終えた作業量を思い返してたのですが。
なんと昼間の仕事1日分に匹敵してました。自分でもビックリ。
あー。そうか。これだ。この感覚だ。
随分と忘れてたなぁ。
とまぁ、こんなことがありまして。
で、実はこの現象、そんなに珍しいことでもないんですよ。業種を問わず「集中してたらいつの間にかこんだけ時間経ってた」なんてのは、どなたにでも経験あるんじゃないでしょうか。
はい、もうおわかりっすねー。トム・デマルコ/ティモシー・リスター著「ピープルウェア 第2版」(日経BP社)をお持ちの方は、79ページの第10章「頭脳労働時間 対 肉体労働時間」を開いてください。ちなみに初版をお持ちの方は111ページです。なんで2冊持ってるか俺。読み返し用と貸し出し用。初版は古本屋で偶然見つけました。
(本そのものの感想とかは関心空間の方にもあげておりますのでよろしければこちらもどうぞ。つーかコンピの世界いる人間は全員これ読め。読まない奴は去れ。)
まぁそれはそうと。ここのどしょっぱに書かれている「フロー(Flow)状態」ってのが、今回私がまんま体験したのと同じ現象でございますな。誰にも邪魔されず、ひとつの物事に集中することで発生する、一種の瞑想状態。
このデスマーチプロジェクトに放り込まれて約4ヶ月ですか。初めてこの職場でフロー状態に入れましたね。ていうかはっきり言います。ここんところの泥沼で、こうゆう集中状態があることさえ、綺麗さっぱりと忘れてしまってました。こんな簡単なことさえ忘れ去られる程、追い込まれボロボロになってたんだな、と。じゃあなんでこんなことになっちゃったのかな?と思う訳ですよ。
まず今回なんでフローに入れたのか。理由はめちゃくちゃ簡単に羅列できます。
- 絶対的に人がいない。
- 電話も鳴らない。
- 人の話し声ひとつ聞こえてこない。
- 離れたミーティングでの罵詈雑言も聞こえてこない。
- 自分のやりたいペースでやりたいだけ作業ができる。
そりゃ集中できるっつーの。聞こえてくるのは自分の発するキー音だけ。割り込まれる要素が何ひとつありませんから。
じゃあ普段なんでこれができないのか。書く必要もないと思いますけど、一応並べておきましょうか?
- オフィスに押し込まれた人、人、人。騒がしいことこの上ない。
- 電話一日中鳴りっぱなし。
- 他人の話も何もかもが丸聞こえ。しょっちゅうケンカしてる。
- 隣の机では上司が部下を周りも気にせず激しく罵倒している。
- 自分のペースに持ち込む前に結局は周りのペースに飲み込まれる。
こんな環境で集中して仕事できるヤツなんかいねーわなそりゃ。当たり前だ。仕事やってるはやってるけど、あくまでやってるだけ。ダラダラとね。そりゃスピードも精度も落ちるってもんですな。
と同時に、なんで今のプロジェクトが「残業残業また残業」によってさらに泥沼にはまってるかも、くっきりはっきりと説明できますな。
今のプロジェクトのメンバー(上も下も関係なく全員)、間違いなく「まともに仕事すらできない」状態に追い込まれてるってことですよ。昼は昼で、騒がしいことこの上ない「最低の環境」で仕事を強要される。当然集中できません。作業効率はグンと落ちます。
それを挽回しようとするべく、残業を試みるも、全員が全員見事に帰らない。本来フローを生みやすいはずの静かな作業環境はそこでもやってきませんわ。結局ズルズルと昼と同じ「最低の環境」に閉じこめられたまま一日が終わってしまうと。
本来の残業する理由とは明らかにかけ離れてしまってますわーね。残業が残業として成立していない。残るのは心身共に疲れ切った体と、わずかばかりの残業手当。このご時世では手当すら怪しいのが大半ですから、まさに「何やってんでしょ」てな感じ。
本当に集中したい環境を望むなら、皆が帰らざるをえない終電後か、まだ誰も出社していない早朝。このどちらかしか無いでしょうな。でもこの強制監禁状態でそれをやったら200%死ねます。上で挨拶していた残ってた人、大丈夫なんでしょーかね?他人事ですが心配。
(ちなみに休日に関しては特別の申請が必要なためメンバーは常駐場所には入れません。そのためにメンバーは土日だけ元請けの事務所に集めさせられて作業させられてます。これやらなかったらある程度人を分散させて集中度合いを高めるとかも可能なハズなんですけどねぇ。そこまで頭回らないみたいです。言ったところで聞く耳持ってないので放っておきます(笑))
これじゃあ作業する側が持たないの当たり前だよなぁ。逃げて大正解だなぁ、という感想以外、何も抱けないのが正直なところです。
なんかね、今回のこれ考えてて、ふとガッコの時の講師の説教思い出しました。確かこんなこと言ってた。
「貴方達がこの講義つまんないと思おうが、お喋りで時間潰そうと思おうが、そんなことは貴方達の勝手。私には何にもできません。でも、貴方達のやってるお喋りのために声が聞こえなくて迷惑している人のことを考えなさい。喋るんだったら、私のためでなく、その人の為に出て行きなさい。」
なんかねぇ。当時もこれ聞いて「ほぉぉ」と感心してたのを覚えてるんですけど、本質はなーんも変わってねぇよな?むしろ今の方が原因が複数あり、かつそれぞれがそれを「悪い」とすら認識していないのだからなおさらタチが悪いです。
ていうか救いようが無い。
今の環境見てると、できる人である程、その人から引き出せる「作業効率」を自らの手で潰してるとしか思えませんもんね。それも先天的な問題じゃない。明らかに後天的な人災。
私のような人間のクズでさえ、こんだけの作業差が出たんだもん。カシコな人だったら3倍、いや4倍位はスピードも精度も違ってくると思いますよ実際の話。
考えてみたら当たり前だもんな。私のように相当性根腐ってるんならともかく、普通誰だって「わざと仕事失敗しよう」なんてことは思わないですもん。できるだけ手早くまたは慎重に、今持ってるタスクを終了させたい。そう自然なことなんじゃないですかね?本来の残業だってそうゆう意味あいなんじゃないの?昼間うるさくて仕事になんねーから静かな夜にやるんじゃねーの?
だったらいい加減「それを達成しやすい環境作り」とかにも目を向けよーぜ。大体「ピープルウェア」初版が出たのって1989年。今から13年前だぜ?俺高校生だっつーの。結局そこから何一つ進化してねぇってことじゃねーの?
できることはいっくらでもある。それこそ掃いて捨てるほどあんだろ。いつまで目背けてんだ?いつまで脳味噌使わない体力馬鹿を闊歩させておくつもり?テメーのやってることは頭脳労働だろ?考えてナンボだろ違うのか?
わかんねーんだったらそれこそ小学校からやり直して来いやボケ。
と結局はデスマ批判で終わる。あーーーーー1日も早く抜けてーーーー!!!
最後は泣き言。もはや芸。違うって。