1000円の差異


 えっと。この場をお借りして皆様にご報告しなければならないことがあります。

 買ってしまいました。

 「200 KM/H THE WRONG LANE」t.A.T.u.

 ・・・・くぉらぁそこっ!スケベオヤジってゆーな!確かにオヤジではあるしスケベであることも否定はしないが、スケベANDオヤジと並列表記されるにゃまだ抵抗があるんだぁ!

 何を血管浮かせて力説してるか俺。

 まぁちょっと聞いてくださいな。今回の顛末を。

 よく車の中でFMとか流してると、「あ、この曲初めて聞くけど、結構いいなぁ」なんてことがあるじゃないですか。今回の購入のきっかけになった、シングルカット曲でもある「ALL THE THINGS SHE SAID」もそのパターンでして。聞いてる時は「おーこの曲のサビ結構強烈だなぁ。頭残るなぁ」と聞き入ってると。

 でも、悲しいことに当方「ド」がつく程の洋楽オンチでございまして。ついでに「レ」と「ミ」と「ファ」と・・・ベタなボケやめれ。クラリネットじゃあるまいし。

 曲の後にDJがアーティスト名と曲名を言うのですが、それがちっとも聞き取れない。つーかZIP-FMの各パーソナリティよ!頼むから曲紹介の時は「○○○○の×××××」と言ってくれぇ!「○○○○▲▲▲▲×××××□□□□□□」じゃどこからがアーティスト名でどこまでが曲名なのか全然わかんねぇぇ!!まぁこうゆうリアクション自体オヤジじゃねぇかと言われると立つ瀬が無い訳なのですが。

 まぁそんな感じで、2月中旬頃からラジオではガンガン流れていたにも関わらず「気に入ってる曲はあるんだけど、曲名もアーティスト名もわからん」つー状態が続いておりました。で、皆さんも経験あると思うんですけど、こうゆうのってスグに忘れちゃうんですよねー。考えてみればZIPの場合でも曲名問い合わせサービスとかやってますんでそれ使えばいいだけなんですけど、ついつい後回し。で5分後にはすっかり忘却の彼方。「これ買って聴きてぇ!」という欲望が、いとも簡単に記憶消去の荒波に飲み込まれてしまうと。ま、私の頭の中大半はおがくずとスポンジで構成されておりますので仕方ないんですが。開き直るな俺。

 さて。そんな個人的状況はさておきまして。世間的には相変わらず私とは無関係にもうひとつのストーリーが流れておりました。

 2月下旬〜3月上旬にかけて、とあるロシア出身のアーティストが幾度と無く芸能・音楽系のニュースに流れました。少女ふたりが濃厚なキスシーンを交わすシーンが問題となりイギリスBBCでは放送禁止になったとか。ステージ上では更に過激でキスはもちろんのこと下着姿になるはお互いの下着をふざけながら脱がしっこするはとか。

 もちろんこの問題の少女ふたりがt.A.T.u.であり、問題のPVが「ALL THE THINGS SHE SAID」であるということは、既に皆様お気付きのことかと思いますが。残り少ない脳味噌耳から垂れ流しながら人間のクズそのものな無職生活送ってる私としては、当然そんなことは露知らずでありまして。

 まずはこのニュースの存在を先に知ることになる訳です。既に方々のニュースサイトでも紹介されていましたので、それを基に問題の画像データとかを見に行く訳ですわ。だからスケベオヤジゆーなー。スケベは認めるから並列やめれー。しつこい>俺。

 ・・・・・むっほぉ!ホントにキスしてるぅ!なんかエロいぞこれは!更に、一緒に流れてたURLで見た写真がそれ以上に衝撃的で。なんじゃこりゃあ!LIVEでノーブラにTシャツかよ!透けてる透けてる!しかもそれに水かぶりかよ!ウェット&メッシー!!見えてる見えてる!すげー!すげーよ!!ロシアばんざーい!!

 こほん。失礼しました。

 とまぁそんなことがありまして。この時点でt.A.T.u.の存在はすっかり脳裏に焼き付いた訳なんですが。ただ失敗したのはねぇ。その時に画像だけにすっかり満足しちゃって。肝心の曲とかPVとかを確認するところまで頭回らなかったんですよねぇ。

 したがって、この2つの物語。私の中では交わることなく、これまで平行線を辿り続けていた訳なんです。えぇ、一昨日までは。

 なんか寝るに寝られなくて、ボケーッとスペースシャワーTVつけっぱなしにしてた時のこと。そしたら、例の「曲名知らないけど気になる曲」が流れてきまして。

 Aメロ、Bメロ、そしてサビ。あ、そうだそうだこの曲だこの曲。間違いない。あ、これPVだからラストまで見れば曲名もアーティスト名もわかるよラッキー!あ、これはちゃんと見よう、とながらモードから凝視モードへとシフトチェンジした訳です。

 そしたらあーた。画面に流れるは雨の中抱き合う少女がふたり。熱い抱擁を交わすふたり。透けブラを惜しげもなく晒すふたり。

 ・・・あれぇ?どっかでこれ見たような記憶が・・・?

 頭に「?」大量生産させながら眺める私。

 曲が終わります。表示されるテロップ。

 「ALL THE THINGS SHE SAID / t.A.T.u.」

 ふたつの川がひとつとなり、大海へと流れ込む瞬間。

 フラッシュバック。

 お前らかい!!!

 画面に向かってあらん声を振り絞ってツッコミをいれたのは言うまでもありません。

 という訳で本題なのですが。前フリ長っ!

 今手元にあります。「200 KM/H THE WRONG LANE」t.A.T.u.。昨日買ってきました。昨日今日と結構な頻度で流しております。でも一番見てるのはやっぱり映像特典のPVですか。いやぁ、改めて見てみると羞恥プレイってのはそれはそれでそそるものですなぁ。

 それはどうでもよくて。

 今回もツタヤで買ってきたんですけど、ちょうどレジのお姉ちゃんが春休みに入りたての新人さんだったみたいで。ジャケ見た瞬間に、エロ本を手に取った時と同じ、眉間の微妙な変化を示したのが妙に印象的でしたなぁ。まぁそれ位では動じませんけど。

 それもどうでもええ。つーか早く本題入れ俺。はいはいせっかちなんだからぁ。

 えっとですね。まずアルバム全体の感想から言いますと、正直なところ「良くもないけど悪くもないかなぁ」的な曖昧な評価に落ち着いてしまいました。

 というか曲単位ではキャラ立ってるんですけど、最初から最後まで同じテンポ・雰囲気が続くから途中で飽きる、とまでは言いませんけど、ダレてしまう、てな印象の方が強かったです。

 ですので現在では前出の「ALL THE THINGS SHE SAID」、あと1曲目の「NOT GONNA GET US」あたりをループさせて聴いてる、といった感じになっちゃってます。こんな感じでアルバム全体の感想としてはどうしても否定的な感情の方が前に出てしまいがち、なのですが。

 重要なのはこっからで。その割には不思議と「買って損したぁ」的な感情が浮かばないんですわ。気に入った曲が数曲あって、PV見れて。これなら妥当なところかな、てな風に思ってます。これは別にt.A.T.u.の色香に惑わされたとかそんなんじゃなくて、単純な音楽聴きとしての主観的評価。主観かよ。

 なんでこうなっちゃうのか。理由。

 初回限定価格:1980円。

 ↑結局これが全てなんですよね。ミもフタも無いけどさ。

 ぶっちゃけた話、Webで調べてて日本版初回が1980円、特典にPVつき、という情報をWebで知った瞬間。私、寸分の迷いもなく購入しようと決定したんですよ。シングル以外の曲がいわゆる「捨て曲」になるかもしれない、ってことはハナから承知の上だったと。

 で、これだけだったら別によくある話だったんですけど、そこに1980円、というのがすげぇありがたかったのが事実としてあると思うんですよ。もしこれが他のアルバムと同様3000円だったら、未だに迷ってたかもしれないし。もしくはレンタルで済ましてしまってたかもしれないです。

 でも結果的にはシングル以外にも気に入る曲あったし、捨て曲はあっても1980円だし。目くじらたてる程のことでもあるまい、むしろお買い得の部類に入るでしょう、という意味で満足度が高いんだと思うんですな。いわばマイナス1000円が「捨て曲」に対するリスクを軽減してくれたと。

 で、蛇足になるのを覚悟で付け足しますけど、1980円でちゃんと新品が買えた、というのもポイントだと思うんですな。ちゃんとジャケットもある。歌詞カードもある。対訳も載ってる。糞CCCDや糞レーベルゲートCDなんかじゃない、本来のCD。これが1980円。この価格設定って、これらのどれかひとつでも欠けた時点で機能しないんじゃないかと思うんですな。無論主観も入ってますが。

 ここまで考えたらねぇ。改めてうーんと唸ってしまうものがありましたねぇ。

 結局、本来CDを買うべき人が、レンタルで済ましたりCD-RでコピったりネットのMP3で揃えたりしちゃう根本って、「その金を払うに値しない」という部分が多分に大きいんだろうな、ってことを考えてしまうんですよ。

 音楽が売れなくなった、というのには2つの側面があると思ってて。本来CDを買ってた層がCDを買わなくなったこと。元々買ってない人を買う側に取り込めないこと。この2つだと思うんですな。

 この2つに共通することって、結局「音楽、またはCD如きにそこまで金出したくない」ってのが根本なんじゃないのかね?そりゃ考え的には汚いかもしれないけどさ。生活もある訳だし、そうそう無い袖は振れないよなぁ。

 そうゆう意味では「聴くためのハードルを下げてくれた」ということは素直に評価すべきだと思うし。CCCDにしなかった点も含めて、素直に「エラい!」と褒め称えたい気分でございますよ。

 逆にハードル下げるどころか天高くまで上げてるだけのCCCDとか見ると、改めてレーベルの工場に爆弾投げつけたくなってくるしな(笑)。

 最近、著作権がどーだ環境がどーだと言いつつ糞CCCD押しつけてる状況とか見てると、もはや現実離れしてるとしか思えない、薄っぺらいキレイゴトに終始してるんじゃねぇのかなぁ、と思うことも多々ありまして。そりゃ正論が大事なのはわかるんだけどさ。正論が正論に全然聞こえないんだよな。言ってしまえば下手過ぎて誰も騙せない詐欺師。

(話横に逸れるけど、日本レコード協会とかが出したこのポスター。これ見た瞬間、核兵器並の虚脱感に襲われました。なんか見てて何とも言いようのない寒気と虫酸が走ったのを覚えてます。あと個人的にKICK THE CAN CREWとRIP SLYME。お前ら恥を知れ。テメーがやってる音楽は何だ?)

 こんな腰砕けなことされる位だったら、それだったらいっそのこと今回みたいに、

「おらおらどけやクズ共!1980円でフルアルバム売ってやってんだぞ!ジャケットもある歌詞カードもある!MP3?WinMXだぁ?んなもん知るか勝手にやりやがれ馬鹿野郎!この値段で買わないヤツなんぞハナから相手にする気ねぇんだからケチケチしねぇで気に入ったら買えやボケ!こちとらPVまでつけてこの値段でやってんだ興味無いなら家帰ってセンズリこいてろボケカスが!」

 こん位まで罵倒してくれた方が説得力あるよな。いや、今回ユニバーサルミュージックがそこまで思ってやってるかなんて知りませんけど。所詮勝手な推測ですけど。

 でも潔いのは確かだし。素直に賞賛してよろしいでしょう。よくやった。今後も続けるように。苦しゅうない好きにいたせ。何様のつもりだ>俺。

 つー訳で、雌のフェロモン充満させて相手を腑抜けに追い込み、隙をついて漢とは何たるかを消費者に叩き込むことこそが、t.A.T.o.及びユニバーサルミュージックの真の目的だった、ということにしておきましょうか。

 どんな目的だ。


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