怒る人、怒られる人。
ちょっと思い出したことがあるんでつらつらと書き並べてみます。過去ネタの使いまわしだろとか言わないように。当たってるんで。こら。
んじゃちょっと脳内カレンダーを8ヶ月程遅らせてみますねん。
その日は晴れた日の金曜午後、でしたか。待ち焦がれた週末まであと少しなんてところ。あー仕事する気しねー。とりあえず手は動かしてるけどさー。かったりぃわダルいわ眠いわでやってられませんわまったく。早く日本も週休3日制義務化してくれんかのーめんどくせー。
なんてこと考えてましたら。
「何考えてんだ!!ふざけんな!!」
突然オフィス中に罵声が響き渡りました。
あぁ?どこのどいつか知らねぇが人を人とも思わぬその侮辱。これは私に対する挑戦かぁ?どうせこちとら先の短いご身分よ失うモンは何もねぇ。そこまで言うならばそのケンカ買ってやらぁ!どっからでもかかって来いや口先だけのボンクラがぁ!!
「今まで散々探してたんだぞ!ずーっと連絡もよこさないで!それで『取れませんでした』とはどうゆう了見だぁ!?」
・・・あり?(ルパン3世風にお読みください)
なんだ、私に向かってのモンじゃないのか。よかったよかった一安心。こんなしょーもないことで前科増やしたくないもんねぇ。そーじゃなくて。大体こうゆう場合には光の速さで逃げるのが信条だろ俺。そーでもなくて。
派遣プログラマなんてことやってますと(現在は自社仕事のため中断中)、その常駐先の社員さんとかと同じフロアでおしごと、なんてことも珍しいことではありません。そのためか本来ならば全然関係のない業務の人達の会議なんかも聞こえてきたりするもんなんです。お陰様でこれまでにも幾度となく美味しいネタを・・・ごほんごほん。
とりあえず情報収集してみます。先ほどの罵声はどうやらそのグループの上司(らしき人)が発したもののようです。未だにカミナリを落とし続けてます。声からすると40代ちょっと過ぎた、というところかな?
一方ひたすら黙りこくってるのはその部下に当たる・・・えーと、6人位でしょうか。私の席から30m程離れた打ち合わせ用テーブルで皆が皆、頭をたれてます。
会話の節々から判断するに、
- 午前中にトラブル発生。
- 今手持ちにいる人間だけでは手が足りないらしく、外に出てるメンバーに応援を頼んだ。
- でも携帯が繋がらないとかの理由で捕まらなかった。
- ラチがあかないのでいる人間だけで対処した。その結果トラブル修復にも時間がかかってしまった。
- 午後になって外に出てたメンバーも帰ってきて、一連の経過をまとめるミーティング上。理由聞いてるうちに上司の怒りが爆発。
- フロア中に響き渡る罵声。
どうもこうゆう状況だったようです。なんで半年以上も前のことそんなに鮮明に覚えてるんだ俺。エディタでメモをとりながら会議盗み聞きしてたからです。そんなメモを取るな俺。
でまぁ全般的には「まぁお怒りなのは至極ごもっとも」という感じでしたかな。勤務時間中に連絡の取れない状態を長時間に渡って作ってしまった、その結果伝えるべき情報が伝わらずトラブルの収束に手間取ってしまった、ということですから。後でこの上司さんが方々に頭下げなきゃならないんだろうなぁ、ということを考えると同情する面もありますな。もっとも携帯だから100%繋がる、と過信してることも問題だとは思いますけどまぁそれはそれ。
ただし。それよりもちょっと気になったことがありまして。
私、自分が怒るにせよ怒られるにせよ、それが効果的かどうか、というのを判断するのにいつもこの2つをポイントとして見ています。
- 的確に怒りたい個所を怒れるか。
- 相手が反省したら許せるか。
一口に怒る、といってもその表現の方法はいろいろありますよね。冷静に諭すとか、愚痴るとか怒鳴るとか。殴るとか蹴るとか。それは暴行。刺すとか撃つとか。それ殺人。小ネタ挟むな>俺。
ただ、どの表現技法を使うにせよ、上の2点のことを忘れてしまうと、迫真の演技もすぐに大根役者並にクオリティ落ちてしまう、ということは言えると思うんですよ。で、これに照らし合わせてみますと、どうやらこの上司さん、どうやら怒るのがかなりヘタクソなようでして。いや、この際ド素人と表現しても差し支えなかろう。
ちょっと例をあげてみましょうか。私が減点対象としたのはこんなところ。
- 最初の怒号から15分、断続的に罵声が聞こえてきたこと。
- 怒号が鳴り止んでからさらに30分、各メンバーが萎縮しちゃって黙りこくる状態が続いたこと。
無意味に長い。話終わらせない。それぞれ先にあげたポイントと完全に逆を行ってますよ。かなり致命的。
え?なんで致命的なのかわからない?んじゃ立場替えて見てみましょう。
怒鳴り始めた当初ってのはいわゆる「異常事態」な訳ですから、聞く側も身構えますし、集中力も自己防衛本能も自然と研ぎ澄まされてます。でもね。悲しいかなこうゆうのって、長時間持続しないんですわーな。時間の経過と共に慣れてしまう。異常が異常ではなくなっていき、相手を対処可能な正常範囲内まで引き戻らせてしまうんですよ。
一度こうなってしまうと聞き手側の心象なんて醒めたもんで。
おそらく上司さんが怒鳴ってる間、部下さんはこんなこと考えてたんじゃないかしら。
「あーあこいついつまで怒鳴りちらしてんだよまったく。いっつもこーだもんなぁ。沸騰したら収まらない。沸点低すぎ。富士山頂で沸かすヤカンの水かおめーは。他にやり方無いんかよ怒鳴ることしか知らない能無しが。はいはい俺が悪かったですよーだ。そんなわかりやすいこといつまでもこだわってないで次行けよ、他にも決めなきゃならんことあるだろーが空気読め空気。ケッ」
怒鳴り終わった後の沈黙の中では、まぁこんな感じですかーね。
「ったくよぉ。またこうやって静まり返っちまったじゃねーか。いっつもこうなんだよなぁこいつは。場沈黙させて自分が優位にたったつもりでもいるのかねこの裸の王様気取りが。でもこんな時に発言でもしようならばこっちにまで火の粉降りかかるんだもんなぁ。無視だ無視知ったことか。静まるまでは貝になろーっと。それにしてもヒマだなぁ、帰ったら何しよっかなぁ。とりあえず録り溜めしといたビデオ見て、ビールでも飲みながらゴロンとするかなぁ。最近忙しかったしノンビリごろごろしたいよねぇ。にしてもまだ続きそうだなぁ長いなぁ・・・」
ね?懲りてねーでしょ?え?そこまで普通考えない?私いつも考えますけど?私だけ?私そんなに性格悪い?うーん。
って己を振り返ってる場合じゃなくって。
でもね。この一例見てるだけでも結構いろんな人間関係の駆け引きが見えてきて面白いと思うんだけどな。これお読みの方が「怒る人」なのか、それとも「怒られる人」なのか((C)SDP「THE LATER〜後者〜」)は知る由もありませんが。
もし貴方が前者(怒る人)だった場合。一度己を振り返ってみては如何でしょう?はたして自分の怒りは相手に伝わっているのか?感情に流されてないか?論点は明確にできているのか?ワンパターンな罵倒に終始していないか?過去の経験と現在の状況を、色眼鏡抜きで検証してみるのもいいのではないかと。少なくとも怒鳴り散らしてるだけの馬鹿なんて、今時どこの組織でも相手にしてくれないよーん。
逆に貴方が後者(怒られる人)の場合。頭の奥底ででも結構ですから、「怒り方の採点」とかやってみると案外面白いかも。
「うーん、この人1分に2回は「馬鹿」って言うよなぁ10点減点」
「今の15秒の沈黙はいいプレッシャーだな。5点プラス」
「12分かぁ規定時間オーバー。30秒5点だから計20点減点っと。」
こんな感じで。どんな感じだ。で、それをそのまま人物毎に並べてみたら、 普段思ってる上司に対する評価順と案外一致してたりするかもしれませぬ。こうしてお互いがお互いに切磋琢磨することにより、より相手に対する駆け引きが高度になり、組織は殺るか殺られるか、刺すか刺されるかの一触即発な雰囲気に・・・。
あかんやんけ。怒る怒られる以前に、それが生じる原因を取り除けよ。
という訳でミもフタもなくなってしまったのでそろそろ逃走。もちろん こうゆう行動は、「懲りてない」からこそできるのであーる。
あっかんべーだっ。子供かよ。