隙間風吹きっぱなし


 ふと我に返ります。

 我が人生、思えばムチャなことばかりしてきました。会社と喧嘩しては嬉々としてネタにして。体壊しつつもこれ幸いとネタにして。己の不幸も包み隠さずネタにして。ネタまみれの人生。ヤな人生だな。

 しかし最近どうだろう?更新のペースが落ちてるのはいた仕方無いにせよ、なんか内容までこじんまりとしちゃいないか?三十路超えたからって落ち着いてる場合か?安易に評価得てしまおうといい子ちゃんになってはいませぬか?

 それじゃあいかんだろうと。人生攻めが足らないといういうことを言いたいのであります隊長!攻めてこそネタ!自ら突っ込むからこそネタができる!所詮この身はアウトロー!死んで花見が咲くものか花より団子じゃみたらし食わせろバカヤロー!

 訳わかんねぇよ。

 まぁ要はネタが無いぞと。まぁこれが一日二日であれば静かに波を待てばいいだけの話なんですが、これが数日数週間と続きますとやはり人間。焦りも出てきてしまいます。まぁ世間一般的に言うところの「魔が差した」というヤツなんでしょうか。

 気が付くと。

 結婚相談所の事務所で呆け面して応接テーブルに座っておりました。

 なんでここにいるんだろ?あはははは。

 いやぁ人間ネタが無いと何をしでかすかわからないものですね。

 お前だけだ>俺。

 まぁ経緯説明しておきましょうか。

 元々は自分で申し込んだ訳ではありませんで。まぁ端的に言うと勝手に申し込まれまして(笑)。気が付けば私の知らぬところで申し込みから入会面接のアポまで進められてしまい、気が付けば面接当日になってしまってたんですな。

 そういえばその数日前に「予定空いてる?」「空いてるよ〜」なやりとりしてたような気がします。あん時疲れてたからなぁ。会話なんて右から左だったような・・・。あかんやん俺。

 まぁもちろんその場で「ふざけんなボケ誰が行くかそんなもん却下だ却下」とちゃぶ台ひっくり返しつつキャンセルしてもよかったんですけど。

 なんか心のどこかに隙間風が通り抜けたんでしょうな。まぁいざとなればWebで実名挙げて晒し者にしてやればいいかという判断も働き、敢えて出向くことになった・・・というのが事の真相です。まぁ結局はネタなんだな俺。

 んな訳で場面は、例の結婚相談所の応接テーブルに戻ります。

 一口に結婚相談所と言いましてもその業種形態は様々だと思うのですが。私が出向いたのは某駅(今回は特定を避けるため伏せます)から車で5分程走らせたところにあるアパートの一室を借り切った形の小さい事務所でした。なんでも話に聞いたところ、去年位に脱サラ独立したばかりの所らしくて。大手ではない分、値段を下げて機動力で勝負しているらしいと。

 応接テーブルにはいかにも、な感じでお花が飾ってあり、女性好みしそうな小物が等間隔に置かれております。なんかいかにも「貴方も結婚すればこうゆうしゃれたシチュエーションの中で生活してるんですよぉ」と無言でアピールされてるようでここでまずひるみます。いきなりひよってるか私よ。

 んでもまぁいつまでもひよってても仕方あるまい、ということで、担当の人(相談所の社長兼相談員、男性/32歳位/既婚)と面接(兼システム説明、質疑応答)に入ります。

 まずは一番気になるところのお値段。通常大手とかですと平気で入会金30万だの50万ふっかける所も数多な中、ここは入会金約4万円、あとは月会費5千円弱でOKとのこと。

 この辺はこっちが聞く前に向こうがぶっちゃけてました。もう今このご時世ではこの辺の値段はとことん抑えないと人が来ないと。ただどうしてもデータベースへの登録や維持費用(外部委託)はかかってしまうので、その最小限分だけ頂いて、利益はお見合い料や成約料からまかなってると。ちなみに紹介するだけなら費用は発生せず、お見合いが発生した時点でお見合い料は成立するとのことで。

 ふむ。まぁこの辺は敢えてぶっちゃけることで信用性高めてる側面あるんだろうなと思いつつもとりあえずは及第点か。

 次いで実際の相手探しのシステムの説明に。おもむろにノートパソコンを取り出しやおら画面に入力し始めます。

 まぁこれは典型的なWebの検索画面でした。出会い系と一緒(笑)。基本的には入会すると同時にIDを付与してもらって自宅パソコンや携帯からアクセス、自分で探す・・・という仕組みなんですけど。表示されるのは氏名/電話番号/住所(番地とか)等の個人情報を省いたデータと顔写真。これらを基に相手を探して、気になる人がいたら係に相手のIDを知らせてお見合いをセッティングしてもらう・・・という段取りになってます。

 なお「顔写真無しでの登録はできるの?」と聞いてみたんですが。「できるにはできますが、そうすると声かかりませんよ」とのこと。そりゃそうだ。

 さすがに有料のデータベースとだけあって、セキュリティはとりあえず抑えてあるみたい。SSLかかってるし同姓の検索もブロックしてある(女性は男性、男性は女性しか検索できない)。敢えて1画面当たりのHIT件数を減らし全部ひっこぬくには手間がかかるようにしてある・・・。まぁこの辺は当然か。死活問題だもんなこの手のネタが漏れるのは。

 なーるほどねぇ。大体わかりました。少なくとも値段的には問題無い感じなんですかねぇ、と言ったところで向こうは「これは行ける」と踏んだのでしょうか。畳み掛けるようにセールスに入り込んできたのですが。

 こっからがいけませんでしたね。

 まず結果から言いますと、成約には至りませんでした。「ごめんなさい」して帰ってきちゃいました。こらソコ、舌打ちすんな。

 いやね。ぶっちゃけた話しますわ。上の方では確かにネタだネタだ言ってますが。正直なところその奥底深くに「もしかしたら・・・」的な下心があったことは否定しません。実際財布の中には入会金に相当する金忍ばせてたんだし。隙間風は隙間風だったんですよ確かに。

 でもね。実際に説明聞いて、やっぱり「なんか違うなぁ」というイメージの方が先行しちゃったんですな。

 説明の中で、実際のサンプルとか見させられて、よくある「この中で目に留まる方います?」とか訊かれるじゃないですか。もしくは「理想の女性のタイプは?」「好きなタレントとかいます?」とかの質問も飛んできたりすると。

 答えられないんですよね。何一つ。恥ずかしくて答えられないとかじゃなくて、本気で解答が浮かんでこない。今考えても無理。

 はぁ、たくさんの方の御顔並んでますねぇ。で、それが何か?

 こんな感じで思考停止すると。結局、私ってそこまでの欲求持ちきれてないんかのぉ?と。考え込んじゃったんですな。

 あとこれはもう単なる愚痴にしかならないんですけど、相手(相談員)に対する不信感なのも見え隠れしちゃいましたし。そりゃあ相手はそれで飯食ってるんですし悪いことしてる訳でもないんですけど、「結婚してナンボ」「彼女探してナンボ」的な価値観にどうしても違和感を感じてしまいまして。

 問答の末、結局は「テメェがそう思うのは勝手だがそれこっちに押し付けてくんじゃねぇよボケが」的な感情的拒否の方向に走ってしまいましたね。

 という訳で約30分ですか。結局「ごめん、ダメだわ」とお断りさせて頂きまして。とぼとぼと帰路につきました。パンフレットは持って帰ろうとしたら取り上げられました。ちっ。唯一のネタ資料が。をい。

 まぁそれでも唯一収穫を挙げるとするならば。わりかし頻繁に口やら文章やらでは「彼女いないもんかのぉ」「一人身は寂しいのよねぇ」とか冗談めかして言ったりしておりまするが。

 本当にそう思ってんのか、自分でも疑問に思えてきたってところでしょうかね?ミもフタも無いけど。まぁ現時点では、という前提付きになるんでしょうけど、現時点恋愛や結婚にいい印象を持ってないのかもしんないっす。夢とか希望とか、この方面に関してはちーっとも現実味ないもんな。なんかトラウマ握ってんのかな俺?

 まぁ実際決め付ける訳でもないですしねぇ。まだしばらくはのんべんだらりとふらふらとさせてくれませんかねぇ?てのが正直な感想になるかもしれません。

 そうゆう意味ではあくまで自分自身の中の問題ですしね。これお読みの方とかが結婚相談所使う分とかにはまったく問題無いと思います。むしろ結婚したい彼女欲しいとか本気で思ってるんだったらじゃんじゃんヤレ。詐欺商売にだけは気をつけて。ちゃんと説明は聞きましょう。ヤバかったら勇気持って断りましょう。

 とか言いつつ自分も、案外10年後には血眼になって各相談所のパンフかき集めてるかもしれんからねぇ。

 まぁそん時はそん時だ。

 最後に余談。最後結果を勝手に申し込んだひとに報告したとき。こんな一言が帰ってきました。

「じゃあ50になって一人身でも、文句言わない覚悟いるかもね。」

 それもいいかもねぇ。隙間風も暑さの後では涼風に・・・。

 見栄張るようなことじゃないっつーの。


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