次から次へと投げ込まれ


 転職したばかりの会社が引っ越すことになりまして。

 まぁ会社の引越しってこと自体は別に珍しいことじゃないです。特に派遣プログラマにとっては3ヶ月で引越しとか2週間で引越しなんてのも日常茶飯事。なので私もそう別段考えるまでもなく、「あ、引越しなんだな」程度にしか考えてはいなかったんですけど。

 甘かったですね。ここまで酷いとは。もうムチャクチャ。アホですわはっきり言って。

 今までは転職したばかりだから、ということもあって今の会社の悪口書くことはできるだけ控えてたんですけど、今回ばかりは黙ってられっか。暴言にタブー無し。会社の人には喋らずとも、ここには洗いざらい書いてやる。こうゆうのを「底意地が悪い」と言います。皆さんマネしないように。しねぇよ。

 まず今回の諸悪の根源として、今回引越しが対象の社員全員が望んでいない、「誰も幸せにならない」ものだった、ということを挙げておかなければなりませぬ。

 簡単に言えば立ち退き食らったんですわ。オーナー連中に。ちなみにこのオーナーってのは法人格になっておりまして、うちの会社の親会社でもあります。

 「こんなプログラマ連中に今の場所なんぞもったいない」とでも思ったかどうか知りませんけど。この馬鹿共が、今いるオフィスをほぼ独断で第三者に貸しちまったんですな。

 収まらないのはこっち側のオフィスで仕事してる連中ですよ。そんな重要なことなんで勝手に決めんだよボケと。大体こっちはこっちで仕事めいっぱい(この時点でほとんどの社員が土日返上状態)、とてもじゃねぇけどそんな余裕無いわカスと。この時点で罵詈雑言の嵐でした。

 んでも抵抗むなしく、「もう契約済ませちゃった。あんたら出ていって」の一言で強制退去、でしたね。義理も人情もあったもんじゃありませぬ。世間の風は冷たいですよおっかさん。

 仕方なしに移ることになったオフィスは、これまでの敷地の半分以下。駅からも遠く車でも不便。トイレはひとつ(当然男女共用)しかないのに無理矢理詰め込みました的な複合オフィスで、既にうちの社とは関係の無い企業がふたつ入居済み。これまでに比べたら本当に天と地の差です。これじゃあ誰も「引っ越すに値しない」と考えるのは至極当然な訳で。

 誰もが引越しの話題をすると一様に顔色が曇ってしまう。そんなモチベーション最悪の最中、引越しが強行されることになったんですが。

 それでもまだまだ話としては序の口だったんです。私が心の底から呆れ返ったのは引越し本番に突入してからでした。

 まず私個人に関して言えば、久々でしたね。こんなに「プログラマである自尊心」をズタズタに切り裂かれた気分になったのは。

 本棚の整理から始まって机、PC、食器、サーバ類その他もろもろ、全部梱包して整理して(さすがに運送だけは業者)。全部やりましたよ。

 土日完全返上無報酬で。一銭すら出やしねぇ。

 足腰ボロボロにして、途中意識朦朧としながら必死に作業してましたよ。途中本気で逃げてやろうかと考えました。

 今回の件に関しては完全に年棒制の暗部をまざまざと見せつけられたというのもありましたねぇ。完全に「コマ」としてこき使われました。「バイト2人雇ったから大丈夫だよね」って全然大丈夫じゃねぇよ馬鹿が!PC機材だけでどんだけあると思ってんだ!10人いたって足りたかどうかわかんねぇよ!オメーはなから俺らこき使うことしか考えてなかったろーが!そんなことするためにこの会社入ったんじゃんねぇよボケ!

 そんな罵声が頭の中で響いては消え、消えては響き。そんな数日間でしたな。屈辱でした完全に。職業人としてある自分、てのを糞付きの皮靴で顔面踏みにじられた感じ。

 ただ、この個人的な部分に関してはある意味「しょーがねーかな」と思うところもありまして。だって自分、現段階で「絶対にこれがやりたいからこの職に留まってる」つーのは無いんですもん。極端な話、「何やるかわかんないからここにいる」「給料貰えるからここにいる」「ここにいれば何か実験(=ネタ)になるかもしれない」的なあいまいな理由が存在することも事実ですから。そこにつけこまれてしまう、という部分は自省する必要もあるかなぁと思ってます。

 もちっと実力つけて、「そんなことするために雇われたんじゃねーよボケ」と躊躇無く罵倒できるようになりたいですな。まだまだ半人前なんでしょーね私自身。

 まぁでもここまでは私個人のことで済みますから。イタイイタイと体中に湿布張りつつ、数日ガマンしていれば痛みも消えていくことでしょう。

 でも、ここからは私個人の問題では済まされない部分に突入します。正直な話、今回一連のこれから書く動き見てて「長く付きあうことは無いだろうな」と思いました。少なくとも一生働ける職場じゃないなと。そこまで確信しましたな。残念ですけど。

 その辺の経緯を。

 みんながひーひー言いながら引越しの作業やってます。引越しつったら企業内でも一二を争う大イベントですよ。しかも期限切られてるから先伸ばしなんか不可能。当然何につけても再優先されるべきですわ。それなのに。

 なんで引越し前日や当日にまで通常の仕事押しつけてきますか?

 私には直接の被害は無かったんですけどね。引越しってことでお客さんに全作業ストップかけたし。被害に遭ったのは他の社員さん。

 例えば梱包作業してる中、「ところで○○の件なんだけど、今日中にこれこれして・・・」てな具合でお構いなしに指示が飛んでくる。指示された方は当然キレますわ。「できる訳ねぇだろ!今何やってると思ってんだ!」てな具合で。当たり前ですなそんなもん。誰だってキレる。

 でも「どうしても・・・どうしても・・・」の繰り返しで結局押しつけてくると。結局どうしたと思います?

 昼間馬車馬の如く引越し作業して、夜に徹夜で通常仕事して。次の日の昼。

 また引越し作業ですよ。しかも土日も。

 理解できませんでしたわ。それをこなしてしまった社員さんのキチガイじみた体力にもびっくりしましたが。それ以上に、こんな状況でなおも仕事を押しつける、そのキチガイじみた神経には空いた口が塞がりませんでしたな。心の底から呆れました。「しょうがなかった」の一言で済まされるような問題じゃねぇぞこんなもん。

 なんでそんなことが言えるのか。受ける側も受ける側でそれやっちゃうのか。「?」「?」「?」と考え込みながら梱包やってましたよ。

 で、結局はこうゆう文化なんだろうなぁ、というところに落ち着いた訳で。これがわかったのは、ある意味収穫だったのかもしれません。ヤな収穫ですけど。

 上司がとか社長がとかそれだけの問題ではなくて、顧客や協力会社までも含めた全体として、やれと言われたことを後先考えずこなすだけ。長き間にわたてそうゆう動き方/動かせ方をさせてきたんだろうな、と。そうゆう「文化」なんだろうな、と。

 使う側は使う側で「使ってやってんだぞ」的な動かし方をしちゃう。動かされる側もそれにガマンしちゃってる。かくして「使い捨て」的な考え方が全体を蔓延し、次から次へと仕事が投げ込まれ。かくして今日も不夜城が存在する・・・。

 タスク管理も負荷管理も無い状態、しかもそれを良しとしている様じゃ「とにかくやれ、仕事振ってるのはこっちだ」となってしまうのもわかるような気がするな、と。それでなんか納得しちゃいましたな。

 まぁとりあえずだ。引越しが落ち着き次第、早急にも自分の分に関しては顧客と直接会話して、期限や費用も含めたやりとりするようにしないと自分が潰れちゃうのも時間の問題だろうな。なんとか巻き込まれないようにして進めるしかあるめぇ。

 ていうのが今回から選られる結論ですかねぇ。

 仕事なんかに殺されたくねーよ。

 無論そこから全社的に考えを広げていって、マネジメントの概念を植え付けて・・・とできれば理想なんでしょうけど。そこまで手が行くかどうか。つーかまずは自分守るのが精一杯でしょう。そこまで面倒見切れない可能性の方が大。

 でその中で「次の5年、10年で何ができるか」を見極めて。ケリがついたらとっとと離脱、かな?これ考えるだけで数年かかっちゃうような気もしなくはないけど。でもそれだけの間いるだけでもそれなりに価値はあるでしょうと。食いっぱくれもしないだろうし。少なくとも次の機会には「体壊したんで辞めました」じゃなく、「あれこれがやりたいんで辞めました」って言いたいもんね。それまでは羊の皮被った生活が続く・・・という感じなんでしょう。

 複雑な気分ですが。


 んな訳で、最初から最後まで、悲壮感に満ち溢れた引越し騒動記でしたが(つーかこれ書いてる時点でまだ続いてるんだけどな。段ボール片づきゃしねぇ)。最後にプラス的な側面も書いておきましょうか。つーかそうでもしなきゃ社員一同で投身自殺するような印象すら与えかねんし。

 私だけではなく、周りの社員含めて、今回の出来事に関して危機感は強めているようです。会話の節々から、いかに自己防衛果たしていくか。または仕事効率上げていくか。もしくはいっそスピンアウトするか。冗談含みつつも、そんな心情が読み取れます。

 必ずしも上のせいとブチブチ言ってるだけでは無い訳で。この辺の自浄能力には期待しているところがあります。従ってまだ絶望感は抱いておりませぬ。

 逆境の中、目的の一致を果たした組織の力を。

 ナメちゃいけませんぜ旦那。


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