組織崩壊サンプル発見!


「一度しくじればプロジェクトからはずされかねず、しかも二度と呼んでもらえなくなるかもしれない立場の技術者」は、「社長からどういうわけか全面的に信頼されていて、一度や二度の失敗で解雇はまだしも、減俸、叱責すらされないプロジェクトリーダー」をどういう目で見るだろうか?ってゆー疑問は去年からずっと抱いているんですけどね。

ゆうきまさみのにげちゃだめかな?「ありがちな失敗(2004-03-23)」より引用)

 あーそっか。そうだそうだ。今までずーっと頭にひっかかってたのが、この一文でスーッとひいていきましたわ。この比喩は素晴らしい。

 という訳で遅れに遅れましたがようやくこの話題ができそうです。サッカーW杯予選におけるキャバクラ騒動のことね。例の如く詳細説明は無しの方向で。「日本代表 キャバクラ」でぐぐってくださいいくらでもでてきます(笑)。

 で。正直な話、新聞テレビ等で大騒ぎになってた時には、こりゃあどっちもどっちだよなぁ的な所で宙ぶらりんになってたんですよ私。もともとジーコ自体も監督としては私好きじゃないですし。ですので騒動が発覚した時にも「またなんか騒いでるな、まぁ関係無いし好きにすれ」程度にしか考えてなかった、てのが正直なところだったんですが。

 でもね。上の一文見て俄然興味持った。悪いけど日本代表という組織形態の仕組みがゆっくりと、しかしながら確実に崩壊し始めてるよな、ということに気が付きました。

 これは単純な私の勘なんですけど。2006年のW杯、日本は予選敗退しそーな気がする。賭けてもいいよ。50円。安っ!ジュース1本買えねぇ!ネタで書いてるだけなので本気で乗ってこないよーに。

 でも、今の状況改めて確認してみると、確実に「組織崩壊」の危険信号が出てるよなぁ、というのは感じた訳で。その辺ダラダラ書いていこうかなと思うんですが。要は今の日本代表を経営組織論的に透かして見てみたらどうなるか的な試みでございます。こらソコ、無謀ってゆーなわかってるから。まぁ逆にサッカーなんてどーでもいいーや的ポジションの人は以下そこらへんの企業の話として捉えてみるのも一興かと思いまする。

 さて。今回の背景として抑えておかなきゃいけないポイントがいくつかあって。

 まず日本代表、という組織が極めて歪なピラミッド構造になっているという点。選手だけが極端に多く、その上の管理層はごくごく少数の人間によってのみ管理されていると。もはやピラミッドというよりは凸型、もっと言うなら砂場の棒倒しの棒、を想像して頂けるとわかりやすいのではと。

 有名無名を問わず掃いて捨てる程選手数、そしてその上に乗っかってるごくごく少数の管理層の図式。この中に放り込まれた場合、人はどんな反応を示すのか。

 下(選手)の場合。多くの企業や組織と同等、やはり「使い捨てされる」という感情は嫌が上にでも自然に湧き出てしまいますね。「てめぇが辞めたところで、いくらでも替わりはいるんだよ」ってのがその典型。それを打ち消すために「競争意識」とか「モチベーション」とかもしょっちゅう言われますが、元はといえばこれ自体、不満の根底にある「使い捨て感」を打ち消すために産まれた概念でもある訳で。

 一方の上(管理側)の場合。彼らにとって一番の恐怖となるのは言うまでもなく「総倒れ」です。棒倒しで根元から倒れてしまうことを本能的に恐れてしまいます。従ってそうならないようにするために無意識のうちに取ってしまう行動、以下の2つ。

 つまり、一方では替わりなんて腐る程いると脅す一方で一人たりとも場から離れることも許さない、そんな矛盾した行動を取るようになってしまうんですな。本人達はもちろん矛盾には気付いています。しかし自己防衛の心理が本能の如く働いてしまうためどうしても保身が優先されてしまうと。

 そこにサッカーの日本代表、という特殊事情を加味すると更に状況は加速されます。なにせこの場合、代価手段が無いですから。上にとっても下にとっても。日本代表がダメだったから他の国に国籍移して・・・なんてことはそうそうできないでしょ?(これをアリにしたラグビーってすげぇよなとも思うけどここでは別のお話)

 結果、上の「しがみつき」はさらに強固になりますし、下は下で「離れたくても目的のためには離れられない」というある種の諦めに似た心理状態を産みだすと。

 処分発表後、キャバクラ組がこぞって口閉ざしてるってのが端的にこの心理を表してますよね?一言を発すること自体が組織に歯向かうこととみなされる。しいては「反逆者」と認定され否応無しに組織を追放される。

 こうゆう状況においては事実上、下の者にとって「反論する権利」なんてのは事実上皆無に等しいです。逆らうこと自体が自らの生死に関わる訳ですから・・・。

 あ。なんかこうやって書いてると、どことなく似てるな、北朝鮮の国政に。つーことはあれか、あながち川渕キャプテンがあのデブオタクのジョンイルちゃんみたいなもんかわはははは。

 ・・・・・刺されるのはイヤなんで先に進もう。

 じゃあ下はいつまでも上のために奴隷の如く働き続けなきゃならないの?いや、そうじゃない。それを防ぐ「緩衝材」の役割を果たすモノが存在しますわ。つーか逆に緩衝材が無いとやってられねぇ。

 監督、今で言うところのジーコですな。

 言ってみれば監督というポジションは人間の体で言えば椎間板みたいなもんです。時には上の圧力、時には下の圧力を吸収してお互いを保護してあげなきゃならないと。サッカーの場合現場に出る一番上はどうしても監督なんで、あたかも最高責任者の如く思われがちですが、現実には世間の中間管理職と似たようなもんなんですよ、と。確かジーコ本人も以前こうゆうことを言ってたんじゃなかったですかね?うろ覚えですが。別にどっちでもいいので放っておきますが。

 じゃあなぜそこにガタが起きたと判断できるのか。極めて単純です。緩衝材となるどころか、上の不安を不必要に増幅させ、想定以上の大ダメージを下に対して与えてしまったこと。これがジーコの最大にして取り返しのつかない致命的なミスですな。

 事実上の「処分」を発表した記者会見の席上で、ジーコは般若の如く血走った目つき、人刺しそうな顔立ちで怒りを爆発させていましたよね。後日一面を飾った写真だけだと、それこそ席出る前に3人位殺してきたんじゃねぇのか的な勢いすら出ています。あんた監督辞めても役者(殺人鬼役)で十分食っていけるぞ。茶化してる場合じゃなくて。

 これ、対応としては下の下ですね。これを誰も注意できなかったということも組織全体としてバランス感覚崩壊していることを物語っているのですが。

 ジーコは淡々と無表情に、そしてポーズだけでも下(選手)に対し同情的な素振りを見せるべきでした。でも実際はそうじゃなかった。「国の代表」の威厳を借り、下に理想を強要し、背いた者への罰を与えてしまった。

 こうゆう行動自体、監督という自らの立場を放棄し、自分が上の立場、つまり棒倒しの棒の立場になったということを、上にも下にも外部にも声高らかに宣言してしまったのと同義なんですよこれ。しかも幹部連中が後追いの形でジーコを支持するようなコメントを発してたでしょ。上が棒になることを追認したことで、あの記者会見自体が「戴冠御披露目」になってしまったと同時に、「監督」というクッションの役割も放棄したことさえも意味すると。

 これ、後になって「違うんだ」と百万回言い訳したところで絶対に覆りませんから。特に選手達(キャバクラで追放された選手もそうでない選手も元々選ばれてない選手にも)に「俺はお前の味方じゃないぞ」と宣言してしまった。この罪は重いと思うぞ。下から見れば純度100%の裏切り行為。当然そんな人間誰が信用するんだ、となってしまいますな。

 人間の感情ってのは怖いもんでして。過去にどれだけ人格者なところ見てようが、一回裏の顔を見ただけでも、それまでの印象はすべて忘れて裏の顔だけが脳裏深くに切り刻まれます。一度の過ちとはいえなかなか忘れてくれないですから。現にこの文章アップの直前、ジーコが選手に外出許可出したなんて記事も出てるみたいですが。1回のアメで1回のムチ帳消しにしようなんざシロップの原液より甘いですわ。1回のムチは時として1000回のアメにも勝ります。

 かつては過去の栄光の元で思う存分威厳を出せたのかもしれませんけど。ひとつのミスからメッキがぼろぼろと剥がれ落ちるようにあっという間に失墜する、なんてのは古今東西を問わず繰り返されてきたことじゃないですかと。果たしてどこまで持つんでしょうかねぇ・・・?見てる人は見てると思うぜぇ?

 もちろん逆にこうゆうドサクサに乗じて自らの立場を有利にしようという政治的動きはあると思います。遠藤保仁(G大阪)のように「大変ですね、キャバクラ組は。」なんてことを言ってプレッシャーかける、ってのは人格的にいい悪いは別として戦略的にはお見事の一言ですから。今後もこうゆう政治的な言動は飛び回ると思いますよ。

 でももう「ジーコの名の元に」のような一枚岩な組織が形成されるようなことは二度と無いと断言していいんじゃないかな?今回の対応見てて、悪いけどそこまで感じ取れましたわ。今のままでは上へ下へのダメージがそのままダイレクトに伝わって徐々に壊れていくだけでしょうね。

 さぁてこれからどこまで持つのでしょうかね。逆にかなりの見物ですこれは。どこで悲鳴をあげるんでしょう。こうゆうのは早期発見早期治療が原則でスピード第一なんですけどね。上も下もボロボロになってから変えたところで、傷が癒えるまでには相当な年月がかかるのは確実でしょうし。どうなってしまうんでしょう。ドキドキワクワク。

 今までどちらかというと日本代表?どっちでもいいや的なおざなりな立場だったんですけど。どうやら実に興味深くウオッチングできそうです。もちろん「崩壊の工程」を見届ける格好のサンプルとして。砂場の棒倒しは見る分には面白くないんだろうけど、組織の棒倒しは見てるだけでごはん何杯でもいけそうですな。案外代表の試合よりも面白かったりして。

 ですので、こちらの希望としては、できればW杯予選でも最終予選位まではしぶとく生き残って頂きたい。骨から神経から細胞から全てがズタボロになった状態を見てみたいなぁと。すっげぇ楽しみです。こらそこ、悪趣味ってゆーな。当たってるから。

 あ、それであといっこ。これは蛇足かつ私個人の勝手なお願い。

 今回結果的に「とかげの尻尾切り」扱いされたキャバクラ組諸氏におかれましては、ぜひとも今は「忍」の一言でやり過ごして頂き、もし見事日本代表に返り咲きした暁には、その勢いで「こんな馬鹿とはサッカーできねぇよ!」とボイコットして頂けるともう最高ですね。別に全員とは言いません。1人だけででもいいです。それだけで今の仕組みにしがみついてる輩が馬鹿だ、ということを見事にかつ客観的に証明できますので。しかもそれが歴史として刻まれますので。

 5年後、10年後、いや、100年後の日本代表のためにも是非是非宜しくお願い致したく候。

 そこまで日本そのものが存在してるかどうかは知りませんが。こら。


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