ステータスとやらを巡る攻防
「おーい」
ふぇ?
「あれ。買うことに決まったから」
あれ・・・・?
・・・・・・あぁ、あれですか。
そうですか。買いますか・・・・・・・りょうかいっす。
なんだその歯切れの悪い前フリは。
まぁ長々と状況説明する必要も無いので端折って書きますと、諸々の事情で会社のイスを買い換えることになりまして。端折り過ぎ。
数あるデスクワーク職の中でも突出して椅子に座っている時間が長い(12時間超当たり前)PG/SEにとってはいいイスで仕事できるかどうかってのはある意味死活問題だったりする訳で。腰痛しかり痔しかりエコノミークラス症候群しかり。どうせだったらいいイスで仕事したい、というのは誰しもが思うこと。自然とイス選びにも熱が入ります。
そしたらどーも熱入り過ぎたみたいで。こんなんに決まっちゃいました。
岡村製作所のContessa。価格13万円。
うひゃー。それは高過ぎやしないか?それに私自身いつまでこの会社にいるのかわかんねぇんだぞ?(とは表には言えないのだがここには書く(笑))ということでちょっと慎重な態度を取ってはいたのですが。
最終的には私もOKを出しました。私抜きにしてもいい判断だと思いましたので。
根拠はふたつ。
まずこのイスが、自分達の作業環境の向上にもなると同時に、外から人集める時の強力な武器になりうるということ。隔離棟でもネタにしましたが、いいイスに座れることに関してはやはり目の色変える方が多いんですな。それだけ切実でもあると。腰痛しかり痔(以下同文)。
業務拡張の絡みで増員の予定があるらしいので、面接の際に「このイスで仕事しません?」てのは実はかなり強力な殺し文句になるんじゃない?ていうか俺らだったらコロッといっちゃうよな?というのが開発陣の総意的思惑として存在していたというのがひとつ。
(実際ショールーム行って座り比べとかもしてみたんですけど。やっぱり定価7万以上のイスは座って10秒で違いが分かりましたね。腰、足、尻、手。負担加減が全然違いました。自分でイス買う時には参考にしておきます(笑))
そして次にこっちのほうが重要なんですけど。このイスを一部の人間だけではなく、「職場の標準」として部署に属する人すべてに割り振ることを明言してたんですね。いいイスは上から順番に、新入社員は余ったパイプイスにでも座っとけ、なんてことはしませんよと。イスを「ステータスの標識」にしない。これものすごく重要。
まぁ高いっつってもずっと使えるもんだしこれで楽になるなら安い位のもんだよねー、という訳で冒頭の決定に至った訳です。業者さんに注文して決済も通して。
後は現物が届くのを待つだけー。まだかなまだかなー、と総員なんとなく浮かれていたのです。
が。
見事なまでに冷水ぶっかけられましたな。冷水というよりは泥水。もしくは糞尿交じりの汚水。
高いイスを買うってのがどこかの上役の耳に入り、かつそれが気に食わなかったらしく。速攻強制取消させられてしまいました。名誉の為に書いておきますが、椅子を買うにあたっての予算申請は正規の手続きを踏んでおります。道楽ではなく戦略として買う訳ですから。後ろめたいことはこれっぽっちもしておりません。
にも関わらずあちらさんの「ご意向」とやらだけの理由でいとも簡単に崩壊させられてしまったと。ふざけんなバカヤロウ表に出ろと、こちら側全員総キレ状態に突入しつつあります。こりゃ会社辞める前に組織が空中分解するかもねぇ。わはははは。笑ってる場合じゃないけど。
こっからは所詮伝聞に過ぎないので推測憶測混じりまくりなのをご了承頂きたいのですが。ていうか毎回毎回推測憶測だけで書き散らかしてるという説もありますが。ほっとけ。
その「ご意向」とやらをかいつまんで解読してみると、どうやら「高いイスを買うことが部署間での不公平感に繋がる」というのが正式な拒否理由ということらしいです。やるんだったら部署単位じゃなく会社全体でやれと。そうでなきゃ新しいイスもらえなかった別部署の人間に説明ができないと。まぁ一瞬ごもっともに聞こえそうな理由ではありますな。
たださ。どんなに詭弁まくしたてようとも、その奥の感情は隠せっこないわな。
「お前等如きが俺よりいい椅子使ってんじゃねーよ!身の程知れ馬鹿!」
本意はどー考えても↑でしょ。むしろストレートにこう言ってくれた方がどんだけすっきりするか(笑)。
やはり世間一般的、というか会社世界の中ではイスはまだまだ「ステータスの象徴」なんだなぁ、ということをまざまざと見せ付けられました一件でしたね。作業者如きが贅沢抜かしてんじゃねーよと。お前等が座るイスを決める権利は俺にあるんだからごちゃごちゃ言わずに仕事しろボケと。そうゆう価値観の方がまだまだ圧倒的なんでしょうなぁ。
なんか考えれば考えるだけ腹立ってくるんですが。みんな死んでしまえ。やつあたり。
とは言いつつも実はまだこれ書いてる現時点では事態は解決しておりませんで。逆襲→やっぱり購入という逆転サヨナラホームランの可能性もまだある訳なんですが。まぁそこら辺は残った皆さんで頑張ってくださいと。それよりも書き足したいことがあって。要は蛇足。初めからそう書け>俺。
「ステータス」としてのイスが害悪な存在でしかないということは、デマルコ師匠も言及してることから日本だけに留まらず世界中のオフィスで日常的に行われていると思うんですけど。
よくよく考えてみれば「イスは会社で支給されたものを使うこと」だなんていつ誰が決めたんだかね?めいめい好き勝手に持ち込めばいいじゃねーのか?
値段以外の理由でその座り心地を必要としている人達には手の届かない存在となり。一方で座ったところでなーんにもしてないだけの馬鹿上司がふんぞり返ってる・・・そんな風景がどこかしこで繰り広げられるのも、元はといえば「イス程度のもんなんて会社が支給してアタリマエ」という考えがあるからなのかな?てのもちょっと考えたりする。
どのイスが体に合うかなんてそんなもん千差万別な訳だし。必要最小限のものあてがわれてる限りじゃ、いつまで経っても満足する人より不満に感じる人の方が圧倒的多数に決まってんじゃんと。だったらいっそのことめいめい好き勝手にしやがれ、と突き放した方が話早くないか?
とは言いつつも現状では相手にされないのも目に見えてるんですけどね。自費でクソ高いイスとか持ち込んだところで強制排除されるのがオチ。想像してみなさいって、部長課長が軒並み普通のイスに座ってるなかで一人ご大層なイスに座ってる姿を。
ただ、それが「異質」と捉えられない考え方が浸透しない限りは、いつまで経っても安さ優先、質は二の次三の次の世界から抜け切れないよなぁ。誰もがイスに対して何か訳の分からない価値観(=ステータス)、または無価値観(=備品意識)を求めてしまってるから綱引きから抜けられないのかなぁ?
よくないよそーゆーの。もっと体労わろうよ。体に合わないイスに座り続けるのは体縛りつけるに等しい行為だよ。高級ベッドなんか「人生の1/3はベッドの上で過ごすんですよ」なんて売り文句付けてばんばん売ってるんだからさ。同じように1/3、下手したら1/2以上体を預けることになるイスのこともっと考えよーよ。
という訳で。まずは高いイス買えるだけの貯金から始めよう。結局そこか。
いつか実現させてやる自費持込チェア。