ホワイトカラー・エグゼンプションは機能しない


 多分。言い切れないんだったら卑怯なタイトルつけるなよ俺。

 まぁそれはそうとホワイトカラー・エグゼンプションなんですが。

 ものすごーく乱暴に説明してしまえば、これ以上人件費払いたくないから残業手当も休日手当も合法的に払わなくてすむようにしちまおうぜー!サービス残業合法化で人件費抑制いやっほーい!そうゆう制度ですな。労働条件柔軟化のお題目でメッキ付けした事実上の「奴隷復活制度」。事実上死に体化してる各種労働法に正攻法でトドメを刺しましょう、てのがヤツらの狙い。

 この存在自体別に真新しいという訳でもなく、2005年の夏の時点で既に日本経団連が堂々とまたは厚顔無恥に提言していたりするんですが。ここに来て厚生労働省「今後の労働時間制度に関する研究会」が経団連の提言寄りの報告をまとめている等、キナ臭さを濃くしてます。これだけだと叩かれそうだから有給休暇の取得義務化とセットにしてるあたりに「こっそり通してしまえ」感が否めませんが、如何せんこれらを「問題」と言い切ってる諸団体が現段階ほとんど存在しない。取り上げてるのはせいぜい赤旗と連合位。よりによってそこかよと。従ってほとんど話題になってない=経団連の思いのままというのが残念ながら現状。

 ・・・・・上2段落だけで、既にありとあらゆる方面を敵に回してしまった感もあるのですが。じゃあ書くなよ俺。んでも実際どこをどう見たって奴隷制度にしか見えないんだから仕方ないでしょ。俺の脳味噌とこの制度、どっちが腐ってるかは読んでるテメェで判断してくれ。あっさり「両方」と言われそうな気もするが。こほん。

 ただまぁ視点を現実に戻しますと。何せこの制度を阻止する能力自体が既に今の日本から消滅してますからねぇ。おそらくこのままずるずると法案提出→可決→施行の動きになるんだろうなぁ、とかなり悲観的な読みをしております。労働団体の弱体化もそうですけど、それ以上に労働環境に対するモラルハザードが深刻になってますから。法律なんぞ破ってナンボ!姉歯なんかメじゃねーぜ!おそらくこの流れは止まらないのでは。

 となればだ。ホワイトカラー・エグゼンプション=奴隷制度が通った前提で、わてら末端の鉄砲玉はどうやってお金を稼ぎ生きていくか、ってのを今のうちから考えなきゃいけない。

 という訳でようやっと本題なんですが。

 「年収400万円以上のすべてのホワイトカラーに適用したい」。経団連奥田会長はこんなことを言ってるみたいです。なんだかんだで相当数のホワイトカラー職のかなりの割合をこの制度で囲い込んでしまいたいとの思惑か。ということはですよ。ホワイトカラー・エグゼンプションが施行されると同時に、日本で働いてる全てのホワイトカラー職の人間は、乱暴っちゃあ乱暴ですけど以下の選択を迫られることになる訳で。

Q:貴方の人生を選びなさい。
(A)会社に人生を捧げ、年収400万円以上稼ぐ
(B)会社と距離を置き、年収400万円以内で生きていく

 こんな具合に。まぁ人によっては、

(C)海外に逃げる
(D)フリーター→ニート→ホームレス→野垂れ死に

 といった選択肢を選択できる人もいるんでしょうけどまぁこれは例外として除外しましょう。大抵の方は(A)か(B)の2択になるであろうと。

 さて。じゃあ実際に各々の労働者さん達の意志によって選択されたとして、(A)と(B)の割合ってどのように分布していくんでしょうかね?今の私の興味ってここにあったりするんです。性格悪いとかゆーな。わかってるから。

 おそらくホワイトカラー・エグゼンプション推進派=奴隷制度賛成派は、こんな希望的観測を持ってるのではないでしょうか?

 うーむ。根拠も無く勝手に妄想しただけなのにあながち間違ってないような気がするのは何故(笑)。それはともかく。

 現実考えれば年収400万って、一人身ならいざ知らず「家族を養う」には心もとない額ですよね。日本では家賃だって養育費だってバカにならない訳だし。生活の不安をチラつかせて「やっぱりこれ位は・・・」と考える人たちを(A)に飛び込ませる、という意味で400万って数字は絶妙な設定なんだろうなぁ、と思ったりもしますが。

(もし経団連が建前通りに導入したいのであれば、閾値を最低でも600万クラスに設定するはず。そうしない時点でウラがあると読むべきだよな。)

 果たして。そこまでうまくいくんでしょうかね?

 んじゃ私の考える希望的観測。

 こんな感じで。結局はうまくいかないような気がしてるんだよなぁ。繰り返しますけど根拠ゼロよ。あくまで私の希望。

 なんだかんだで一般的な労働者さん達は(B)を選択することが「安定」に繋がらないってことを過去のリストラ経験を基に学習してますから。(B)=切り捨て、ってどうしても考えてしまうんじゃないですかね。なんだかんだ言っても失業は怖いし。

 そうゆう意味じゃ早期退職制度の募集かけると例外なく優秀な人から順番に抜けていくってのと同じ構図がホワイトカラー・エグゼンプションでも発生するんじゃないかなと。 経団連の企みとは裏腹に、安定を求める層が(A)を選択し、リスクを取れるレベル高い層が(B)を選択する。そんな逆転現象がこのままでは起こってしまうんじゃないかな?そんなことを予測、または夢想します。

 まぁもちろんそうなったら企業は評価を厳しくすることで、(B)→(A)への雪崩れ込みを防ごうとするのでしょうが。でもそれって結局ワイトカラー・エグゼンプション自体が価値崩壊起こすだけだよな。そうなったらそうなったで崩れ落ちる塔を高みの見物する楽しみが増えるだけですけど。けっけっけ。

 とまぁ勝手にぐだぐだと書いてきましたが。まぁなんだかんだ言っても最後に問われるのは自分なんだろうなぁ。たとえ企業が暴走しようと。国が沈没しようと。このご時世国や企業に救いを求める時点で馬鹿だっつー考え方もあるし。

 とりあえず最低限、自信をもって「(B)で十分だよーん。あっかんべー」できるようにしておかないと。自戒自戒。

 あと「テメェは(D)で十分だろ」のツッコミは禁止。


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