明日死んだらどーすんの?


 なにやら物騒なタイトルつけてますが。敢えてこーさせてもらいました。

 まずは例の如く私の例から書き始めましょうかね。今お守りしてるシステムのひとつなんですが。私が引き継いだ(というよりは無理矢理押し付けられた)時点で既に3年のソースそっから2年で2回のメジャーバージョンアップと幾多のマイナーバージョンアップを繰り返した結果。

 見事なまでにシステム全体が複雑怪奇になっておりまして。既にメイン管理者(といっても全部一人でやってるだけなんですが)の私でさえ、全容が理解できるかできないかの瀬戸際に立たされております。「あれ?ここどーやってんだっけ?」と自分の書いたソースを目の前にして首を傾げることもしばし。

 え?それはテメェが実力不足なだけ?もちろんそれはそうなのですが(反論しろ>俺)。

 私の実力云々を問わずして、既に目の前に立ちふさがってる問題があると。

 実はこのシステムに関してはこの話とは別に固有の問題を抱えたりしてるので、1セットにして営業とお客さん巻き込んで話持っていったことがあるんですわ。このままじゃ維持できなくなる日が来ますよと。そうなる前にシステムを縮小分割して、極端な話私がいなくなったとしても業務が回るようにシステムが回るように、持っていってはどうですか?と。

 結果ですか?もちろん却下されました。営業とお客さん両方に。以下抵抗理由。

 こんな具合に。見事なまでに営業とお客さんにタッグ組まれて秒殺されましたなぁ。無理が通れば道理がひっこむとはよく言ったもので。必死ぶりは見てて面白かったですけど(こら)。

 システムは維持拡大しろと言いながら人員リソースは足りないまんま(このシステムに限らず全社員が休出徹夜当たり前って時点で類して知るべし)。もちろん増やす目処も立ってませんし。そんな具合で、もう1年以上にわたって「トラックナンバー1」が続いておりますよと。で冒頭のタイトルに繋がる訳なんですが。長いよ前フリが。

 実際のところ規模の大小を問わず、相変わらずトラックナンバー1なシステムって多いと思うんですよね。小さいところだったらなんでも一人でってパターンだろうし。大きいなら大きいでスタープログラマへの依存、過度な作業分担化といった問題が孕んでますから、メンバーが複数いるからトラックナンバーが2以上とは限りません。

 たとえば。ちょっと想像してみましょうか。私フジハラが文字通りトラックに轢かれてぽっくり逝ってしまったと。1週間位は葬儀だのなんだのでドタバタして。ちょっと落ち着いて誰がはたと気付くのです。故人フジハラのやってたシステムを引き継ぐか。そっからが大騒ぎ。

「他に仕事あんのにそんなキャパ無ぇぞ!」
「んなもん断るしかねーだろ!作ったヤツ死んでんだぞ!」
「んげー、なんじゃこのソースは!」
「仕様書が無いぞ!どーなってんだ!?」

 会社の会議室に怒号が響くワケですよ。結局遅々として進まぬ改善。積み重なる不具合レポート。積もりに積もる客の不満。そのうち「たかが一人死んだ位でシステム止まっちゃうのか君の会社は!」とか怒鳴り込まれると。不幸の連鎖反応。それでもシステムは動かない止まらない・・・・・・。

 いいなそれ。鬱憤溜まったらやってみるか。こらこら。

 いやね、所詮人間ナマモノですから。

 わざわざ書き出してみましたけど(今回妙に箇条書きが多いな)。自発/多発を問わず離脱してしまう可能性ってのは常にある訳なのに、どーもこの辺思考停止してんじゃないの?というのを常々感じてしまいます。雇用してる。契約してる。だからいつまでも居てくれて当たり前。甘えというか現実逃避というか。

 本当はこうゆうこと考えてこそのリスクマネジメントなんじゃないのかね?ちょっとでも想像力働くのであれば、いかにトラックナンバー1の状態が危険であるか。想像には難くないと思うんですけどね?今更言霊云々でもあるめぇし。

 そう考えると逆にXPってその点に関しては「臆病」とも言える位に暗黙知も含めたノウハウ伝授にうるさいよねぇ、と改めて考える次第です。ペアプロ、ストーリーカード、メタファ等を駆使して徹底的に「1人だけが知っている状態」を排除すると。

 それができるからこそ、「トラックナンバーじゃ縁起が悪いからハネムーンナンバーにしようよ」なんてことが言えるんだろうなぁ。うらやましい。

 ただし、それができない世界では危機感を真剣に煽るためにも、特に「1」に関しては「トラックナンバー」って言葉を使い続けなきゃいけないんだろうな。

 改めて問うておこう。

 明日死んだらどーすんの?と。


 以上本編。こっからは蛇足です。暇な人だけお読みください(笑)。

 今の私の手持ちに関して言えば。「遺書」書こうかなぁ、なんてことを考えておりまして。いや普通に仕様書っつっても構わないんですけどね。おそらくこの文章読まれるのは私が今の会社いなくなってからだろうなぁ、てのを感じていますので。いつ辞めてもおかしくないですし、逆にいつクビになっても不思議ではありませんし。下手したら本当にご臨終してるかもしれませんし。その時のためにちまちまと「遺書」ディレクトリの下にHTMLファイルで書き溜めようと。

 とはいえ、やってみようとするとこれが意外と難しい。どっから書けばいいのかどこまで書けばいいのか迷うことしきり。相談できる相手も皆無ですしね。たとえシステムは小さくても、その中に含まれる暗黙知ってのは案外膨大な量になるんだなぁ、てのを実感しています。

 よく引継ぎの世界(ってそんな世界があるのかどうか知らんけど)の三大財産ってことで「動く現物」「ソース」「仕様書」とか言われたり言われなかったり私が言ってるだけだったりしますけど。

 案外重要なのはこの3ついずれにも含まれない情報だったりするのかなぁ。

 そんなことを考えたり。

 まぁそれでも書けるだけ書くしかないんだろうなと。死んじまったらそれまでだし。生きてたにせよ、何回も呼び出されるとか御免被りますしね。

 自己満足できる遺書が書けるのが先か。逝くのが先か。

 ある意味勝負。何のだ>俺。

 御清聴ありがとうございました(何の)。


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