アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターンを写経しました(10/01/20)。

例の如く写経ついでに公開するというスタンスですので、誤字脱字や読みにくさ等はご容赦ください。もし問題等ございましたら修正するなり削除するなり対処致しますのでご連絡ください>関係者様御中。


(p.7)
仕事を終わらせることより、ミスをしないことに重きを置く企業文化がある。つまり、何かをやって間違えるよりは、何もしない方が安全だというわけだ。このような文化の中で育ったリーダーやチームは、最初から何ひとつ間違いのない決定を下すために、十分な情報を求めるようになる。チーム会議では、何をするかは1つも決まらず、何をするか決める前にあとどれだけ情報を集めるかといったことを決める。

(p.10)
「証明してみろ。成功する確率が0パーセントだと証明してみせろ。過去のプロジェクトで干からびた魚の死体の山ができたからって、結論を出そうと思うな。このプロジェクトは違う。かならず失敗すると言うなら、反論の余地がないように数学的に証明してみせろ」

(p.18)
根本原因ではなく関連痛に対処する理由としてよくあるのは、調査をしたくないことである。その原因は、組織の文化にある場合もあれば、プロジェクトに早く製品を出せという圧力がかかっている場合もある。「さあ、必要なものはわかってる。これこれのレポートを作ってくれ。すぐにだ」。しかし、本来なら、最初に勇敢なアナリストが「そのレポートが完成したら、何に使うんです?実際のところ、何をしようとしているのですか?」とたずねなければならない。

(p.33)
関係者のうち(社内の人間であれコンサルタントであれ)が異なる方法論の信者だった場合、究極の衝突が起きる。代理戦争勃発である。彼らがどれほど優秀であっても、一方を取り除いてうまくやっていけば、その方がましである。

(p.42)
たいていのプロジェクトでは、資金より時間の方が足りない。プロジェクトがある程度まで進んだところで、時間が足りないことに気づく。そのとき、プロジェクトマネージャーや経営陣は、多少のカネをばらまいてでも時間が買えたらと思うはずだ。しかし、プロジェクトがそこまで進んだ段階で、時間を買える可能性は低い。

(p.47)
「たがねは買ってやった。なのに、どうしてミケランジェロになれないんだ?」すぐに生産性を高めようと必死の組織では、そんな問いかけが聞こえてくるが、そうした組織にかぎって、能力よりも給料の安さで人材を雇う。ミケランジェロ組織にはかならずと言っていいほど、買ったきり積まれたままのツールの山がある。

(p.49)
赤は失敗を意味する。
橙は現実から目をそむけた赤である。
緑はあまり見るなという意味である。

(p.73)
オフィスが静かすぎるのは、チームが魔力を失ったしるしである。

(p.81)
優秀なアナリストは、「何をお望みですか」とは聞かない。これが不快な質問になりやすいことを理解しているからだ。人びとは、白紙から答えをつくることをいやがるが、すでにあるものは平気で批評する。

(p.97)
残業はいつも熱意とプロフェッショナリズムからくるものに見えるが、本当の原動力は恐怖である場合が多い。早い段階での常態的な残業は、燃え尽き、従業員の離脱、スケジュール遅れ、製品の完全性を損なう品質上の欠陥など、プロジェクトが思わしくない結果に終わる予兆である。

(p.108)
部外者は、作業のやり方を適切に判断できる立場にはほとんどない。作業の内容を熟知していないと、たいていは的外れな作業を求めるルールをつくることになる。結局、ルールの策定者は(自分の背後も含め)抜かりなく守りを固めておきたいのだ。そうすれば、もしまずいことが起きても自分のルールが批判されることはなく、非難を免れる。それに、誰からも自分のルールがどこか不十分だと思われたくない。

(p.114)
組織がみずからに過剰な負担をかける理由は、政治だけではない。個人も自分に過剰な負担をかける傾向がある。ノーと言えないのだ。彼らも過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉は知っているはずだが、心の中では多ければ多いほどいいと思っている。

(p.118)
エリカのチームは、完全にエリカだのみになっている。新しいリーダーが短期間で受け入れられるのは非常に難しいだろう。(snip)運が悪ければチームリーダーの何人かを入れ替えなければならず、(ほとんど)あらゆることをやってくれたマネージャーが去ってからぐらついていた組織は、さらに深手を負うことになる。

(p.136)
「おそらく1月はムリです」
 ↓
「正直言って1月では不安です」
 ↓
「1月というのは難題だとは思いますが…」
 ↓
「1月には間に合うと自信をもってご報告できます」

(p.138)
メンバーは通常、プロジェクトが困難な状況にあることを前から知っているが、それを証明できるまでに時間がかかる。文化によっては、目標の期日に間に合いそうにないと宣言するメンバーがいると、「どうしてできないなどと確信をもって言えるんだい?」と聞き返される。また泣き言だとか臆病者だなどと思われたくないため、メンバーは、惨事が誰の目にもあきらかになるまで(そして、避けられなくなるまで)黙っている。

(p.159)
無関係の機能をもたらす要求の特徴は、何がスコープの範囲内で何が範囲外か、客観的な定義がないことである。そのため、さまざまな方向から余計な要求が入り込みやすい。そして実際に入り込む。製品が断片化されるほど、製品を評価して筋の通った変更を加えることは難しくなる。悪循環が続くのである。

(p.163)
ある鼻持ちならないマネジャーは、部下のひとりが辞めたときに後任を採用しなかった。ベンが仕事好きなのを知っていたので、ベンに仕事を回せばいいと考えたのだ。マネジャーはしだいにベンの仕事を増やしたが、仕事量が耐えられないレベルに逹したために、ベンは仕事が楽しくなくなって会社を去った。それがベンであったために、会社は最高の人材を失ったのである。

(p.172)
次に組織の誰かがコミュニケーションの失敗にふれる場面に出会ったら、その下にこんな字幕がないか見てみよう。「おまえの言ってることはよくわかるが、それが気に入らないんだ」。これをコミュニケーションの失敗と呼ぶことは、人びとの注意を本当の原因(れっきとした対立)から逸らし、誤った原因に注意を向けさせることになる。

(p.184)
仕事の成果がほとんど目に見えない状況では、細部をよく見てデザインの質を評価してくれるマネジャーの存在は、設計者に大きな影響を与える。マネジャーが設計者の仕事を丹念に見れば、美しい仕事を評価できる人間を増やすことができるだろう。設計者にとって「まぁまぁのマネジャー」が「どこまでもついていきたいボス」に変わるかもしれない。

(p.187)
「わかりません」と言うと、やる気のない証拠と見られる組織もある。全員がすべてのことを知るよう期待される文化がある場合だ。しかし、すべてを知っているはずのないことは誰でもわかっている。現実を無視した組織の姿勢のせいで、人びとはあきらかに助けを求めるべきときにもそうしようとしない。

(p.199)
1つのアイデアを推進する人はプロモーターであり、過去にいくつもの優れたアイデアを考えついてきた人はイノベーダーである。プロモーターからイノベーダーになるには何年も何十年もかかるが、それは地道な努力の賜物であり、予想外の恩恵がともなう。実績のあるイノベーダーが提供するアイデアは、人びとに受け入れやすいのだ。

(p.216)
経営陣や人事部に、チームが選んだガス抜き活動を支援する手だてがないわけではない。ビリヤード台、卓球台、ダーツボードなどの娯楽は、さまざまな施設で利用されてきた実績がある。しかし、最も効果的で人気のある安全弁は、チームの内部から始まったものである。

(p.235)
製紙工場の弊害は、人びとが作成された文書の重さばかりに注目して、はるかに重要なことについて考えるのをやめてしまうことだ。それは、自分たちがプロジェクトの目標に貢献する有益な仕事をしているかどうかということだ。

(p.256)
テンプレートゾンビは、テンプレートのすべてのボックスが埋まってさえいれば、成功間違いなしと信じている。プロジェクトはすべて違うというやっかいな現実に直面し、テンプレートをガイドとして使うのではなく、心を無にして空白を埋めたいという誘惑に負けてしまう。


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