roots(2):NR-FM


 つー訳で第2回。

 元々ミニFMが抱えている不満点をもっと洗い出してみよう じゃないか、と言う訳で、以前ミニFMで(結果として)派手に頓挫 している過去を持つ、NR-FMさんにいろいろぶちまけてもらって 整理してみよう、ということになりました。

 NR-FMからはメールにて回答いただきました。

 それによると、ミニFMの「失敗要因」として挙げられるのはこんな感じで 羅列できます。

  1. 電波の受信距離に伴うリスナー範囲の限定
  2. 電波送信に関する技術的問題
  3. 金銭的事情
  4. 電波を送出する関係上の時間的拘束
  5. 電波法に抵触するというプレッシャー

 うへぇ、ようけあるなぁ。

 一応一通りざっとどこが問題かを洗ってみましょうか。

 ・電波の受信距離に伴うリスナー範囲の限定

 これに関してはRadio13とほぼ同じ要因。よって(1)を参照してくだされ。手抜き?

 ・電波送信に関する技術的問題

 私もよくわかってないんだけど。ミニFMの電波飛ばそうと思った場合、 「電気街で送信機買ってくる」→「電源入れる」→「放送できる」つうほど 簡単なもんじゃないらしいです。(正直な話、家電と同じレベルで使えるもん だと思ってたよ、わたしゃ)

 そりゃマニアックなことやろうとするとそれなりに知識もいる。でも そこまで追いつくことができなかった・・・こんな所かな?

 ・金銭的事情

 上の技術的におっつかない、というのはこれもあるんだろうなぁ。 機材買うにも金、技術書買うにも金だしなぁ。

 この辺は深く追求することもなく素直に納得できるな。

 ・電波を送出する関係上の時間的拘束

 これ聞いた時は一瞬「?」とも思った。一旦テープにとってオートリバース で再放送繰り返せばいいやん、と。

 でもそう甘い話じゃないらしいね。常にちゃんと送信が行われてるかの 確認は行わなきゃいけないし、そもそもテープで流すにしたって、そのチェック の為には結局機材の前に張り付いてなきゃいけない訳で。

 そう考えると、結構大変なのね、ミニFM稼業も。

 ・電波法に抵触するというプレッシャー

 NR-FMで一番懸念していたのはこれでした。前節で詳しく書く 約束もしているものですから、これに関してはちょっとだけ詳しく。

 基本的に電波というのは、個人(もちろん法人も)に対しての 所有権というものは存在せず、国から免許という形で許可をもらって 初めて飛ばせるものです。携帯電話だってそう。ドコモとかツーカーとかが 国から「ここからここまでの電波使っていいよ」という許可を得ているから こうやって使えてるんですな。

 でも、それじゃあんまりだから、という理由は正確ではないと思いますが、 ここまでの出力だったら周りにも迷惑かからんだろうから使っていいよ、 と決められているのが微弱電波。個人が無認可で行うミニFMも この既定値に従って運用しなきゃならない訳なんです。

 この規定値が3m離れた距離で500μV/m。つっても全然イメージつかめない のですが、まぁ大体子供用のトランシーバーや、市販のワイヤレスマイク・ スピーカーセット位の電波量だと思ってください(メールにて補足頂きました。多謝。)ミニFMで換算すれば、50m〜100mもいけばいい程度の強さです。

 したがって、これを無視して強い電波飛ばしてると、電監(電気通信監理局、 郵政省の管轄)に目つけられて、それでも続けてると最後はしょっぴかれる。 (この辺の説明は郵政省作成の 電波利用ホームページにも載ってますな。サワリだけだけど。)

 で、ここで若干誤解があるようでして。

 基本的にこうゆう出力オーバーに対する刑罰はせいぜい罰金刑どまり。 ですから「んなもん車のスピード違反とかわらんやん」と間違える (場合によってはなめられる)こともあるみたいなのですが。

 電波法違反の場合、裁判所で有罪が確定すると即、「前科一犯」と いう肩書がひっついてしまいます。

 言っとくけど前科は死ぬまでついて回るかんね。日本で 生活していく上で前科つくことがとんでもない障害になるってこた、 詳しく語らないでも察しがつくでしょ?

(補足:99/10/19)ちなみに、交通違反の時に支払うのは 「反則金」になるそうです。「罰金」とは区別されます。 さらには過去の交通違反歴に関しては「前科」ではなく「前歴」になります。 なるほど、効率面では両者は完璧に区別されるんですね。 アドバイスありがとです〜。)

 もちろんこうやって読み手脅してる私ですら、 こんな話聞かされたらおじけつきますよ。やだよFM飛ばすだけで 前科者なんて。

 もちろんちゃんと微弱電波を守っていれば電監にお世話に なることもないんですが、これ守ってたら試聴可能リスナーなんか ほんと微々たるものしかない。

 余りにも大きな矛盾点ですな。

 結局これらのマイナス要因、さらには本人達の物理的制約(進学のため メンバーが散り散りになってしまった)なども重なり、ミニFM版 NR-FMは自然消滅してしまいました。

 でも今こうやってインターネットラジオという媒体を経て、 堂々と復活しております。なぜ復活できたのか。つーわけでその対応策。

・電波の受信距離に伴うリスナー範囲の限定
 →インターネットつながってれば問題なし。
・電波送信に関する技術的問題
 →パソコンならある程度わかる。それでメシ食ってる人間も。
・金銭的事情
 →既にパソコン所有。録音機材もあり新規支出ほぼゼロ。
・電波を送出する関係上の時間的拘束
 →ファイルアップロードしてしまえば終わり。
・電波法に抵触するというプレッシャー
 →電波法のこと考える必要ゼロ。

 わかりやす〜。全部1行で解説できた。

 まぁインターネットラジオやる前に既にパソコン持ってたという 当たりに「運の良さ」も感じますが(Radio13がこの逆。こちらは インターネットラジオの存在を知ってからパソコンを購入しています)、 ミニFMからインターネットラジオへと移行するのは自然の流れだった のではないでしょうか。

 もちろんインターネットラジオならではのデメリットもあるにはあった。 けど、それ以上にミニFMに対するデメリットの解消は魅力的だった。 結果として、ミニFMからインターネットラジオへの移行は、 何の躊躇もなく即座に決断された・・・・とのことだそうです。

 あと重要なこと。NR-FMさん、ミニFMできなくなってから、 インターネットラジオ始めるまでに、数年間の空白期間が存在しているのですが、 その間でもずーっと「ラジオ作りてー」という欲求不満は常に抱えていたそうです。

 だからこそ、インターネットラジオの存在を知った瞬間にスムーズに 動き出すことができた、と言えるのでしょう。

 やっぱ「作りたい」つぅパワーが一番必要なんだろうね。


 つぅ訳で2回目終了。ここまではどちらかといったらミニFMの持つ 「負の部分」に焦点を当ててきましたが、だからと言ってミニFMを 「もう必要のないもの」と決め付けるつもりは毛頭ございません。 その意図もあって敢えて頭2つに「失敗事例」を挙げさせてもらったんですけどね。

 んじゃその辺を次回から攻めていきましょう。

 つづく。


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